みかん小説
本棚

"死んだふりの母" 第20話

それらが彼のく縛り付けているのはだった。 しかし、共に卓を囲み、もない話をし、庭のむしりをしながら汗を流すうちに、拓也の表るくなっていった。失われた5の祖母と孫のを取り戻すかのように、私たちはたくさんのことを語りった。

あるれたの午、縁側で2でお茶をんでいると、拓也がポツリと呟いた。

「おばあちゃんは……お父さんとお母さんのこと、もう憎んでないの?」

その問いに、私は庭の々を揺らすに目を細めながら、静かに答えた。

「憎しみ、ねえ……もうそんなは、どこかくへってしまったみたいだね。ただ、れだなとはうよ。本当に切なものが何なのか、最まで気づけなかったあの2がね」

私の言葉に、拓也は黙って頷いた。

「拓也、おは両親をむ必はないんだよ。どんな親であろうと、おがこの世にを受けたのは、あの2がいたからだ。その事実は消すことはできない。だから、いつかおが許せるが来たら、くからでいい。あの2の平穏を祈ってやりなさい。それができるようになった、おは本当ので、過から自由になれるんだから」

私の言葉を、拓也は真剣な差しで聞いていた。そしてく息を吸い込むと、れやかな顔で言った。

広告

「うん……分かった。おばあちゃん、僕、頑張ってみる」

その笑顔を見た、私は自分の復讐が本当ので終わったことを悟った。この子の未来から、憎しみの連鎖を断ち切ること――それこそが、私の戦いの最の目だったのだから。

そして私のにも、しい目標ができた。 あのに記した「財産の寄付」、あれを正式に実することにしたのだ。 健太夫婦の裏切りによって、度はに戻りかけたき夫との約束。それを、今度こそこので果たすのだ。 正と古田弁護士の助けを借りて、私は社会福祉法「青い鳥の会」の代表を訪ねた。私のこれまでの経緯とき夫の志を伝えると、代表の方はし、私の寄付を謹んで受け入れてくれることになった。

寄付の贈呈式がかれた、私は拓也を伴って会に赴いた。 私の名を冠した、しい児童養護施設の建設計画が発表されると、会は温かい拍に包まれた。壇った私は、マイクをにして静かに語り始めた。

「私はのほとんどを、たった1の息子のために捧げてきました。しかし、そのは必ずしも正しい形で伝わったわけではありませんでした。私はきな過ちを犯し、い暗を過ごしました」

私は客席にいる拓也の方に、優しい線を送った。拓也も誇らしげな、そしてし照れくさそうな顔で私を見つめ返してくれた。

広告

「ですが、その暗で、私は1つのを見つけました。血の繋がりだけが族を作るのではない。本当に切なのは、相いやり、支えい、未来を信じるなのだと。今、この所に、私のしいきな族が誕します。この施設で育つ子供たちが、いつか青い鳥のように幸せを掴んで、広い世界へと羽ばたいてくれること。それが、国の夫と私の、最です」

スピーチを終えると、会からはこれまでできな拍が巻き起こった。その拍で、私は拓也のを固く握りしめた。 憎しみから始まった復讐の物語は、こうして未来への希望を紡ぐの物語へとまれ変わった。 の夕暮れに差し掛かった私に、神様が与えてくれた、あまりにも尊い2度目の。私はこの掛け替えのないを、しい族と共に、瞬を慈しみながらきていこう。 窓のでは、澄み切った青空のを、1羽の鳥が軽やかにんでいった。それはまるで、私たちの未来を祝福してくれているかのようだった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: