みかん小説
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"録音機が暴いた義実家" 第26話

私はズボンのポケットに入っていたスマートフォンを取りした。画面には、弓からのいメッセージが届いていた。

『たかし君、お疲れ様。ナナと緒に、しい所のスーパーでお買い物してるよ。今の晩御飯は、たかし君の好きなハンバーグにするね。気をつけて帰ってきてね』

その何気ない、常の温かさに満ちたメッセージを見た瞬、警察署ので張り詰めていた私のの糸がふっと緩んだ。 「ああ、今帰るよ」

誰に言うでもなくさく呟き、私は駅に向かって歩きした。これからのは、あのさなスマートフォンのにある温かい所だけを守るためにきていこう。その決を胸に、私はしいへと向かうに乗り込んだ。

しかし、私が本当にからの涙を流すのは、しいのドアをけ、妻のある姿を見たのことだった。

らぬ駅から歩いて10分、しいマンションのエントランスを抜け、エレベーターで5階へとがる。私たちのしいまいは、実からも以んでいたからもれた、静かなにあった。

ここなら、母たちが突然押し掛けてくる恐怖に怯える必はない。誰の顔を窺うこともなく、ただ3だけで静かに暮せる所だ。 「ただいま」

玄関のドアをけ、鍵をかける。その瞬、奥のリビングから、デミグラスソースの甘くばしい匂いがふわりと漂ってきた。

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「あ、パパだ! パパ、お帰りなさい!」

パタパタという元気な音と共に、5歳のナナがしてきた。私はカバンをに置き、しゃがみ込んでナナを力いっぱい抱きしめた。 「ただいま、ナナ。いい匂いがするな」 「ふふ、お帰りなさい、たかし君。かったね」

ナナのろから、エプロン姿の弓が顔をした。その姿を見た瞬、私の胸の奥で堰き止められていた何かが気に決壊した。

弓は結婚したての頃によく着ていた、るい黄のエプロンをにつけていた。そして何より、彼女の顔には、この数ヶずっと張り付いていた、あの青い暗いが微も残っていなかったのだ。

目のにあったひどいクマは消え、頬にはほんのりと赤みが差している。無理に作った引きつった笑顔ではなく、からの、本当に穏やかで優しい、本来の弓の笑顔だった。 「たかし君、どうしたの? 玄関で座り込んじゃって……」

弓が議そうに首を傾げ、私にづいてくる。私はがることもできず、ただ両で顔を覆った。 「……ごめん。本当に、ごめんな、弓……」

が玄関のに座り込んだまま、声をげて泣きじゃくった。警察署で母たちに引導を渡してきたには滴もなかった涙が、妻のからの笑顔を見た瞬、どうしようもなく溢れしてきたのだ。

私がどれほど恐ろしい獄のに、この切な妻を放置していたのか。

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もしあの録音を仕掛けず、もし私が「族仲良く」という言葉で彼女を縛り続けていたら、私はこの笑顔を永に失い、弓は1を壊して暗で消えてしまっていたかもしれない。その恐ろしさと、髪で族を守り抜けたというが涙となって、止めどなく流れ落ちた。 「たかし君、もう泣かないで」

弓はたい玄関のに膝をつき、私のを優しく、本当に優しく胸に抱き寄せてくれた。 「ありがとう。私を信じてくれて、私を守ってくれて、本当にありがとう。私、今すごく幸せだよ」

弓の温かい涙が私の頬にぽつりと落ちた。ナナも議そうな顔をしながら、「パパ、よしよし」と私の背さなで撫でてくれた。

私たちはしばらくの、玄関のたいに座り込んだまま、3を寄せって泣き、そして笑いった。それは、私たちが本当の族になった、最初の瞬だった。

それから半が過ぎた。季節は巡り、の温かなを包み込む頃、私たちの活はすっかり穏やかな常を取り戻していた。

警察に逮捕された母と妹は、初犯ということもあり、執猶予がついたものの、そのはまさに獄だった。父との婚が成した母は1円の財産ももらえず、60代半にして清掃のパートにながら、古いアパートで美穂と2、その暮らしの活を送っているという。

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