"録音機が暴いた義実家" 第17話
そこには、華やかな訪問着にを包んだ母の浩子と、弓のおで買った5万円の級ドレスを着飾った妹の美穂。そして、そのに挟まれるようにして、派なブランド物の着物を着た見らぬ若い女が、まるで自分がこの宴のヒロインであるかのように、い声で笑い声をげていたのだ。
さゆり――町内会の娘で、母たちが私の「次の妻」として目論んでいる女だ。部者である彼女が、親族の宴の座にデカデカと陣取っている。その異常な景に、私は奥歯をく噛みしめた。
私たちが部に入ったことに気づいた母が、さゆりに何かを打ちした。すると、3は斉にこちらを振り返った。そして、古いワンピースを着てそうに私のろにつ弓の姿を、からまで値踏みするように眺めた、3はまるで示しわせたかのように、嘲笑に満ちた、気悪い笑みを浮かべたのだ。 「あら、ゆみさん。遅かったわね。男の嫁なんだから、もっとく来て準備を伝うのが常識でしょう。さっさと荷物を置いて、さゆりさんのお茶をお入れしなさいな」
静まり返った広に、母のたい声が響き渡った。親戚たちの線が斉に、私と弓に突き刺さる。
さあ、獄の宴の幕けだ。私は胸ポケットの類に軽く触れ、能面のようにえ切った顔で、その言葉に静かに頷いた。
広告
次の瞬、親族全員ので真実が暴かれるのだと、私はので静かにカウントダウンを始めたのだった。
「あら、ゆみさん。遅かったわね。さっさと荷物を置いて、さゆりさんのお茶をお入れしなさいな」
30い親戚が集まる広に、母の浩子のたく、刺々しい声が響き渡った。やかだったお祝いの空気が、瞬にして凍りつく。親戚たちの線が斉に、入りにつ弓に向けられた。本来であれば、男である私とその妻である弓は、主役である父のくの座に座るのが筋だ。
しかし、用されていた弓の席は、仲居さんが入りする扉に番い座の、さらに隅っこに置かれたさな補助子だった。その方で、完全な部者であるさゆりは、まるで自分がこのの主役であるかのように、座のど真んにでんと腰をろしている。 「弓、お茶なんて淹れなくていいよ。俺と緒に座にこう」
私がい声でそう言うと、弓は私の袖を引っ張り、青ざめた顔で力なく首を振った。 「うう、いいの……私が、お茶を入れるから。たかし君はお父さんのところへって。お願い、ここで喧嘩しないで……」
これ以、親戚ので私に恥をかかせまいとする、弓の痛々しい配慮。私は奥歯を噛みしめながら、弓の震えるから荷物を受け取り、彼女が座へと向かうのを黙って見送った。
広告
弓がお盆に急須と湯呑みを乗せ、さゆりのに運んでいく。 「お待たせいたしました、さゆりさん」
弓が々とをげてお茶を差しすと、さゆりはで元を隠し、い声をげた。 「あらあ、お義姉さんすみません。私ったら部者なのに、なんだか番いい席に座っちゃって。でも、義母様がどうしても『ここに座れ』って言うものですから」
悪びれる様子など微もない、を馬鹿にしたような態度。すかさず妹の美穂が、弓に聞こえるようなきな声で同調した。 「いいのよ、さゆりさんはうちの事なお客様なんだから、気なんて使わなくていいわよ!」
親族たちのに、ざわめきと戸惑いが広がっていく。 「ねえ、あのお嬢さん誰なの? なんでお父さんの隣に座ってるの?」 「さあ……でも、さち子さん、お嫁さんのゆみさんにあんな態度を取らなくても……」
ひそひそと囁きう声が聞こえてくるが、誰として面と向かって母を注するものはいない。母は昔から面が良く、親戚内での発言力もかったため、皆が腫れ物に触るように接していたのだ。
そんな異常な空気の、1だけ鋭い線で母たちを睨みつけている男がいた。父の弟であり、元ので支を務めげた叔父の修だ。事に私からすべての真実を聞き、証拠の音声や通帳の履歴を確認しているおじさんは、腕を組み、彫刻のように微だにせず、母と妹の醜悪な振るいを静かに観察していた。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
福嫁の逆転茶屋
江戸の日本橋にある茶屋「泡雪屋」の若旦那・宗介は、店の立て直しのため、評判の商人・泉屋五兵衛の娘を妻に迎えることになる。 宗介が望んでいたのは、江戸でも噂になるほど美しい姉・お花だった。美しい女将がいれば、傾きかけた店にも客が戻る。そう信じていたからだ。 しかし、五兵衛が宗介に差し出したのは、お花ではなく、ふくよかで目立たない妹・福だった。 祝言の日、客たちは陰で笑い、宗介自身も心のどこかで落胆を隠せなかった。だが、福が作る菓子と入れる茶は、少しずつ泡雪屋の空気を変えていく。 派手ではないのに忘れられない味。人の心の奥にしまわれた記憶を呼び起こす菓子。福は、宗介が見落としていた“商いで本当に大切なもの”を静かに見せていく。 やがて泡雪屋は、思いがけない形で評判を取り戻していく。 なぜ、泉屋五兵衛は美しい姉ではなく、福を宗介に嫁がせたのか。 そして若旦那が、かつて落胆した嫁に深く頭を下げることになった理由とは――。嫁姑|夫婦1.9萬字5 23 -
完結第14話
35万円の空冷蔵庫
大晦日、妻の弓が35万円かけて用意した正月料理が、冷蔵庫から一つ残らず消えていた。 持ち去ったのは、夫・健一の母と弟。松阪牛、タラバガニ、有名料亭のおせちまで奪いながら、彼らは笑ってこう言い残す。 「明日はカップ麺でも食べてなさい」 20年間、“長男の嫁”として姑に尽くし続けてきた弓。いつか本当の家族として認めてもらえると信じ、理不尽な仕打ちにも耐えてきた。 しかし、その夜、健一は知ってしまう。食材を奪っただけでは終わらない、母と弟が5年前から隠し続けていた金の秘密を。 元日の新年会。食卓に並んだのは、豪華な料理ではなく一箱のうどんだけ。 だが、襖の向こうには親戚たちが集まり、20年間隠されてきた佐藤家の本性を静かに聞いていた――。兄弟姉妹|夫婦2.1萬字5 1318 -
完結第13話
十六歳の毒薬花嫁
江戸中期、奥州郡山の大店・高野家には、余命三月と告げられた若旦那・湊がいた。 歩くこともままならず、医者からは「春までもたぬ」と見放された男。誰も嫁ぎ手など現れないと思われたその家の門を、ある冬の朝、十六歳の娘・凛が一人で叩く。 「三月なら三月、三日なら三日でも構いません」 そう言って自ら若旦那の嫁になった凛だったが、彼女には誰にも明かしていない目的があった。 苦くないはずのない薬。帳簿に増え続ける不自然な数字。井戸へ捨てられた父の形見。 病とされていた若旦那の命、罪人にされた父の名、そして大店に二十一年隠されてきた嘘。 十六歳の娘が嫁いだ本当の理由が明らかになる時、高野家の運命は大きく変わり始める。夫婦2.0萬字5 15 -
完結第14話
銀行にいた偽妻
60歳の斎藤かよ子は、夫・剣一を大阪出張へ送り出したはずだった。 しかし午前11時17分、銀行から一本の電話が入る。 「ご主人が、奥様と同じ名前の若い女性と一緒に来店されています」 その女性は、かよ子の名前を名乗り、住所や生年月日、家族の情報まで正確に答えていた。しかも夫は、その女を自分の妻として銀行に紹介し、かよ子名義の資産に関わる重要な手続きを進めようとしていた。 ただの浮気ではない。夫は、かよ子の服装、癖、署名、人生の記録までも利用し、“もう1人の妻”を作り上げていた。 37年間信じてきた夫が、本当に奪おうとしていたものは財産だけだったのか。 そして、何も知らない妻を演じ続けたかよ子が、最後に銀行で見せた反撃とは――。人生逆転|夫婦2.1萬字5 624 -
完結第10話
消された妻の逆転乾杯
夫の昇進祝いの宴席で、佐木美和は信じられない光景を目にする。 35年間連れ添ってきた夫・孝志が、120人の招待客の前で、若い愛人を「妻です」と紹介したのだ。 本当の妻である美和は、会場の端の席に座らされ、まるで無関係な招待客の一人のように扱われていた。夫からは事前に「今日だけは黙っていろ」と言われていた。 けれど、美和は怒鳴らなかった。 ただ静かにグラスを持ち上げ、夫と愛人に向かって乾杯した。 なぜなら彼女は、17年間にわたって夫が奪い続けてきた功績、不正に使われた経費、そして自分の名前を消された証拠を、すでに会長へ渡していたからだ。 祝福の拍手が響く中、会長がゆっくりと立ち上がる。 「佐木君。今の紹介で、最後の確認が取れた」 その一言で、夫の栄光の夜は、崩壊の始まりへと変わっていく――。夫婦|第二の人生|不倫1.4萬字5 834 -
完結第14話
身代わり妻の逆転帰還
夫の代わりに罪を被り、2年間刑務所で耐え続けた佐藤由美。 亡き父が残した会社を守るため、そして夫・健一を信じるために、彼女はすべてを背負った。だが出所の日、ようやく帰った家で待っていたのは、姑の平手打ちと、夫から投げつけられた離婚届、そして若い愛人の勝ち誇った笑みだった。 「前科者のくせに、まだうちの息子と暮らす気なの?」 すべてを失ったように見えた由美は、泣き崩れることなく、ただ一本の電話をかける。 刑務所で出会った一人の女性。亡き父が残していた最後の言葉。仏壇の下に隠されたUSBメモリ。 2年前の事件は、本当に由美の罪だったのか。 翌日から、夫と愛人、そして由美を切り捨てた家族の嘘が、静かに崩れ始める――。嫁姑|夫婦2.1萬字5 359 -
完結第10話
「子なし」離婚の大誤算
離婚届に署名した日、木村さゆのお腹には、まだ誰にも知られていない3か月の命があった。 夫・渡辺健二は初恋の女性との再婚に夢中で、離婚協議書には「婚姻中の子なし」と記されていた。さゆは妊娠を告げることなく、静かに名前を書き、夫の前から姿を消す。 それから10年。 さゆは一人で息子・陸を育てながら、写真館「時」を成功させ、母としても写真家としても自分の人生を築いていた。 しかし、陸の卒業式の日、思いがけず健二と再会する。 壇上で花束を渡す陸の顔を見た瞬間、健二は凍りついた。目元、鼻筋、横顔――そこには、10年前に自分が切り捨てたはずの結婚の答えがあった。 失われた10年は、金で取り戻せるのか。 父親を名乗る資格とは何か。 初恋を選んだ男が、初めて自分の過ちと向き合う時、さゆと陸が選ぶ未来とは――。人生逆転|夫婦1.5萬字5 192 -
完結第12話
午前3時の離婚届
午前3時17分。夫・俊介は帰ってこなかった。 その夜、日本へ戻ってきていたのは、夫の“初恋の女性”だと思っていた田中雪。彼女のSNSには、高層ホテルの夜景、二つのワイングラス、そして私が夫に贈ったはずの腕時計が写っていた。 3年間、木村家の嫁として髪も服も仕事も変え、良い妻になろうとしてきた私。けれど夫が本当に優しくしていた相手は、私ではなかったのかもしれない。 そう思った朝、私は義母に離婚届を差し出し、1億2000万円を受け取って家を出た。 だが数日後、夫は離婚届を握りしめ、泣きながら私を捜し始める。 初恋の女性、隠された写真、失くしたはずのブレスレット。 私たちの結婚は、本当に嘘から始まっていたのか――。嫁姑|不倫1.8萬字5 510