"録音機が暴いた義実家" 第7話
などと、彼女を自ら処刑台へと連していたのだ。
イヤホンからは、なおも弓のすすり泣く声と、それを見ろす母たちのたい音が聞こえていた。もう聴きたくない。を塞ぎたい。そうい、録音の止ボタンに指をかけた、そのだった。 「まあいいわ。何でもするって言ったわね」
母のく、値踏みするような声が聞こえた。 「じゃあ、あんたの誠、ちゃんと形で形で見せてもらうわよ」 「……誠、ですか?」
私は止ボタンにかかっていた指を止めた。 「そうですよ、お義姉さん」と、美穂の声が続く。 「今分のあれ、ちゃんと用してあるんでしょうね。まさか忘れてる、とか言わないですよね?」 「はい……には、必ずお振り込みします……」
震える弓の声が聞こえた。私は息を呑んだ。
振り込み? 今分? ただの嫁いびりではない。母と妹は、私のらないところで弓から定期に何かを脅し取っているというのか。誠とは、体何のことだ。
その瞬、私の脳裏にある恐ろしい予がひらめいた。弓は結婚、「いつか族ができたのために」と、独代にをにして働いて貯めた数百万円の貯が入った、古い通帳を持っていたはずだ。
私はイヤホンを乱暴にし、震えるでデスクの引きしを勢いよくけた。妻のを壊し、尊厳を踏みにじったあのの裏の目。
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それをすべて暴きさなければ、私は、夫を名乗る資格などない。
引きしの奥から掴みしたのは、紺の古い預通帳だった。これは弓が独代、さな会社で事務員として働きながら、何もかけてコツコツと貯めてきた切なおだ。「いつか君とのに子供ができたのために」と、結婚したに弓がし誇らしげに見せてくれたものだった。そこには、彼女の汗と涙の結晶である、300万円ほどの残が記されていたはずだ。
私は震えるで、その通帳のページをめくった。最の記帳は、つい3の付だった。そこに印字されていた数字を見て、私は自分の目を疑い、わず息を詰まらせた。
300万円あったはずの残が、たったの数万円にまで減っていたのだ。
ページを過に遡って確認すると、私が「親父のためにに2回は実に顔をそう」と提案した、まさにあの期から、自然な引きしが始まっていた。最初は5万円、次のには8万円。そして、ボーナスのには、なんと30万円ものが気に引きされている。
そして、振り込み先の名の欄には、はっきりと「タカハシ サチコ」――母の名が印字されていたのだ。 「なんだこれは……」
から漏れた自分の声は、ひどく掠れていた。ただの嫁いびりではない。母と妹は、私というがありながら、弓から毎のようにを脅し取っていたのだ。
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「を継ぐための仕度」だの「将来の同居のための貯」だの、おそらくそんなもっともらしい、しかし完全に理尽な理由をつけて、孤児である弓のみにつけ込み、彼女の全財産をむしり取っていたのだろう。
弓は、私と娘のナナとの活を守るために、自分が血の吐くいで貯めたおを、あの酷なに差しし続けていたのだ。
通帳を持つが、りとけなさでガタガタと激しく震えた。これほどのがいているというのに、つ根のに暮らしている私は、今の今まで全く気がつかなかった。妻がどれほどの恐怖と絶望ので、毎のATMに並んでいたか。その背のさを像すると、自分の無神経さに殺すら覚えた。
私は通帳と、あの黒い録音をく握りしめ、2階の斎をびした。
階段を駆けりて1階にくと、リビングのソファでナナがすやすやと眠っていた。その横で弓が、ナナの寝顔をおしそうに優しく撫でながら、さな毛布をかけ直しているところだった。柔らかな関節照に照らされた弓の横顔は、やはりひどく青く、疲れきっていた。 「弓……」
私が声をかけると、弓はビクッと肩を揺らし、ハッとして振り返った。そしてすぐに、いつものような、無理に作った穏やかな笑顔を浮かべた。 「あ、たかし君。お仕事終わったの? お茶、温かいの入れ直そうか」
その健気な笑顔を見た瞬、私の胸ので張り詰めていた何かが、音をてて完全に崩れ落ちた。
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