みかん小説
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"赤いドレスの代償" 第24話

そして、にへたり込んでいる健を見ろすと、胸の内ポケットから黒い帳を取りし、静かに提示した。 「警察のものです。田さんですね。に対する詐欺、並びに印私文偽造の容疑で逮捕状がています。署までご同願います」

その言葉が落ちた瞬、座敷の空気は完全に凍りついた。 「た、逮捕……?」 健は目を剥き、畳のうようにしてずさりした。 「ゆ、弓! お、約束が違うじゃないか! 数は待ってくれるって言っただろう!? なぜ警察を呼んだんだ!?」 恐怖と混乱で狂乱する健に、私は静かに首を振った。

「私は、私から証拠をしにくのは待つと言っただけです。でも、会社のメインバンクや佐藤ホールディングスが、すでに昨付で被害届と告訴状を提していることまで、私が止める権利はありません。これほどの罪が、あなたの個な都で待ってもらえると本気でっていたのですか?」

私の徹な返しに、健は絶句した。彼は自分の罪のさを、ただの夫婦喧嘩の延、あるいは内の揉め事程度にしか考えていなかったのだ。会社のを横領し、の実印を盗んで公な契約を偽造することが、どれほどな犯罪であるかを、彼は全く理解していなかった。 「違う! 俺は悪くない! 全部、経理の林美っていう女が勝にやったんだ! 俺はそいつに騙された被害者なんだよ!」

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は刑事の元にすがりつき、見苦しく叫んだ。しかし、刑事の目はややかだった。

「林美容疑者は、昨夜すでに業務横領の容疑で逮捕されています。彼女の供述はもちろん、あなたの会社から押収された裏帳簿、パソコンの復元データ、そして何より、偽造された融資契約跡鑑定の結果など、あなたが主犯であるという証拠は分に揃っています。見苦しい言い訳は署でゆっくりと聞かせてもらいましょう」 「そ、そんな……証拠なんて……俺は社だぞ! 田男なんだ! 1億円の遺産があるんだ! 弁護士を呼べ!」

は完全に錯乱し、から泡をばして叫び続けた。「1億円の遺産などどこにもなく、あるのは8000万円の借だけだ」という現実すら、彼の壊れかけたからはすでに抜け落ちてしまっていた。刑事たちが健の両脇をがっちりと固め、引にがらせる。 「せ! 触るな! 俺を誰だとってるんだ!」

暴れる健首に、たい錠がガチャリと音をててかけられた。その乾いた属音を聞いた瞬、健の全から力が抜け、彼は操り形のように項垂れた。 「う、あ……弓……」 引きずられるようにして座敷をていく健が、最に1度だけ振り返り、私を見た。その目には、かつて私を見していた傲さも、社としての威厳も、に溺れていた頃の自信も、何つ残っていなかった。

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ただすべてを失い、完全に1ぼっちになった老いた男の、れで惨めな絶望だけが浮かんでいた。

「助けてくれ……俺が悪かった……おがいなきゃ、俺は……」 消え入るような声で命乞いをする彼に、私は何も答えなかった。ただ、静かに礼をしただけだった。それが、26私の夫であった男への、永の決別だった。

が警察両に乗せられるため、へ連れされていく。私もそのを追うようにして、静かに玄関をた。ると、夕暮れの静かなに、警察両の赤い回転灯がっていた。騒ぎを聞きつけた所の々が、巻きにこちらを覗き込んでいる。 「あら、田さんのところの息子さんじゃない? 会社を経営して成功してるってお母さんがしてたのに、錠をかけられてるわよ。何か悪いことでもしたのかしら」 「奥様に介護を全部押し付けて、自分はと遊んでたって噂、本当だったのね」

所のひそひそ話が、容赦なく健に突き刺さる。世体を何よりもんじ、「派な社」「田派な男」という見栄だけできてきた彼にとって、ご所の目の錠姿を晒されることは、何よりも恐ろしい公処刑だったはずだ。健は顔を真っ赤にして俯き、自分の顔を隠すようにして、警察両の部座席へと押し込まれた。

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