"消えた子役の日記帳" 第6話
はもう度、証拠品の保管箱をひっくり返した。
そして、翔太の止まった腕計をに取った。
「この計が、なぜあの刻で止まったのか」
は計を握りしめた。
「これが、嘘を打ち砕く鍵だ」
彼は当の技術では能だった最の科学捜査に答えを求めた。
同に、テレビ局の資料庫を徹底に調べた。
そしてついに、事件当の最初のシーンを撮っていた未使用フィルムが、廃棄されずに保管されていることを突き止めた。
公訴効満まで、残り3だった。
科学捜査研究所で、保管されていたフィルムがデジタル復元された。
画面には、昭60の撮所が映っていた。
役者たちがき、スタッフがき交う。背景はぼんやりしていたが、解析をめると、その奥に黒孝志監督の姿が浮かびがった。
彼は、翔太のを引いていた。
そして具倉庫の方へ向かっていた。
その刻は、翔太の腕計が止まっていた刻とぴたりと致した。
黒が「会議で打ちわせをしていた」と主張していたまさにそのに、彼は翔太と緒に倉庫へ向かっていたのだ。
捜査チームは、テレビ局の仮設棟の入り誌と、警備員の勤務表も追跡した。
黒監督が会議の途で約40分席をしていた記録が見つかった。
アリバイを保証していた当の助監督は、復元されたフィルムを見た瞬、崩れ落ちた。
広告
「監督が席をしていたのはっていました。裏をわせました。申し訳ありません」
助監督はくをげた。
逃げが1つずつ塞がれていった。
黒監督に脅されていた々も、次第に背を向け始めた。
佐藤も、による辺保護の約束を信じ、もう度証言台につことを決した。
テレビ局の野局も、事件の揉み消しに加担した状況証拠がらかになり、別件で捜査の対象となった。
黒のろ盾は、音をてて崩れていった。
公訴効満当の朝、検察は止まった腕計、復元されたフィルム、遺骨のそばのライター、席をした記録、崩れたアリバイを1本の鎖でつなぎわせた。
そして満刻をわずか数に控えた、黒孝志を殺の容疑で起訴した。
法廷には、子にを委ねた徹が現れた。
は震えるをげ、はっきりと証言した。
「あの、私が目にしたものは、紛れもない事実です。監督が翔太くんを倉庫へ連れていきました」
続いて佐藤も証言した。
「夜、黒監督がのついたとスコップを隠しているのを見ました。私は脅され、黙ってしまいました」
傍聴席から、押し殺した息が漏れた。
科学な証拠と証言が斉に押し寄せた、黒の表に初めて亀裂がった。
額には汗が滲んでいた。
弁護団は最に、遺留品の埋設期を問題にした。
広告
すると検察は、コンクリートの埋設に関わった当の夫を追加証としててた。倉庫のが事件に自然に補修されたこと、黒から直接指示を受けていたことがらかになった。
もはや逃げはなかった。
黒は裁判ので、ついに膝を折った。
「私のしたことが見つかるのが怖かったのです」
声はかすれていた。
「子どものを塞ごうとして……」
黒は、翔太が倉庫で製作費の着に関わる面を見てしまったこと、その封じをしようとして命を奪ったこと、遺体をに倉庫の点検に隠し、数にコンクリートを流し込んで埋めたことを認めた。
公訴効満まで、わずか数。
15積みげられた嘘のは、7歳の子どもが残した記帳、止まった腕計、そして偶然カメラに収められた1コマのフィルムによって、崩れ落ちた。
法廷をにする黒に、民たちのりが浴びせられた。
正はその姿を見つめながら、ようやくく息を吐いた。
姉と翔太のためのが、やっときしたのだ。
最終判決の、法廷は々で埋め尽くされていた。
裁判所は黒孝志に対し、殺と証拠隠滅などの罪を認め、法定最刑を言い渡した。
傍聴席から、号泣と拍が同にあふれた。
沈黙の代償として罪を犯した者たちにも、それぞれ処罰がされた。
裏をわせた助監督や関係者、コンクリート埋設に関わった夫、事件の揉み消しに加担したテレビ局の野局も、罪の代償を払うことになった。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
ガジュマルの根が暴いた夜
2008年夏、京都郊外の古寺で、台風によって1本のガジュマルの老木が倒れた。 むき出しになった根の下から見つかったのは、大人2人と幼い女の子の人骨。そばには、色褪せたピンクのワンピースと、腐食したビジネスバッグが残されていた。 それは15年前、一夜にして姿を消した北村家3人のものだった。 当時、夫の健二は勤務先の建設会社で、不自然な金の流れに気づいていた。だが警察へ告発しようとした直後、妻と幼い娘もろとも消息を絶つ。 なぜ3人は、寺の木の下に埋められていたのか。 バッグの中に残されたフィルム、少女の服に縫われた小さな梅の花、そして15年間沈黙していた男の証言。 刑事・田中恵美が古い証拠を追うにつれ、慈善家として知られる大物会長の仮面が少しずつ崩れていく。 しかし、ガジュマルの根が暴いた真実は、まだ終わりではなかった。 北村家が消された夜、その奥には、誰も触れてはならないさらに深い闇が隠されていた――。ミステリー|行方不明1.7萬字5 11 -
完結第10話
Night072の夏
2019年7月、大阪。 16歳の高校生・瀬名ほのかは、学校を出たあと家に帰らなかった。普段なら遅くなる時は必ず連絡を入れる娘。だがその夜、何度電話をかけても、返ってくるのは留守番電話だけだった。 捜査が始まる中、親友の証言から、ほのかがSNSで知り合った謎の人物と会う約束をしていたことが分かる。 相手の名は「Night072」。 優しい言葉でほのかの悩みに寄り添い、「君を理解している」と語り続けたその人物は、本名も顔も分からないまま、巧妙に正体を隠していた。 やがて、大和川で発見された黒い袋が、事件を最悪の方向へ動かしていく。 医学知識を持つ人物。消された通信記録。空き家に残された痕跡。そして、画面の向こうで優しく語りかけていた「Night072」の本当の姿。 ほのかはなぜ狙われたのか。 そして、彼女が最後に信じた相手は、何者だったのか――。ミステリー|行方不明1.5萬字5 247 -
完結第12話
井戸に沈んだ制服
1992年10月、宮城県の山あいの村で、68歳の天野越子が突然姿を消した。 越子はその日、いつものように籠に米と果物、庭の菊を入れ、村外れの寺へ向かった。自宅から寺まではわずか600m。何百回も歩いてきた道で、迷うはずなどなかった。 しかし、越子は寺には着いていなかった。 警察犬は自宅から約100m進んだ場所で、彼女の匂いを見失う。財布も通帳も家に残されたまま、争った跡も、倒れた痕跡もない。まるで、その短い道の途中で忽然と消えたかのようだった。 そして7ヶ月後。 村の古井戸から見つかったのは、40年近く前の女子学生服に包まれた、越子のものと思われる一部の骨だった。 なぜ、寺へ向かっただけの老女が消えたのか。 なぜ、古い制服に包まれていたのか。 捜査線上に浮かんだのは、越子の若い頃を知る一人の元教師だった。 彼の家の地下室で警察が見たものは、この村が長年信じてきた“平穏”を根底から壊すものだった――。ミステリー|行方不明1.7萬字5 180 -
完結第13話
嘘を握った右手
2014年、群馬県の山間部で山わさび畑を営む田中健二が突然姿を消した。 宿舎には通帳も現金も残され、畑の給水設備は止まったまま。几帳面だった健二が、何も告げずに山を離れるはずがなかった。 数日後、農業廃棄物の下から見つかったのは、遮光幕に包まれた健二の姿。右手には、最後まで離さなかった数本の髪が握られていた。 地主の女社長、解雇された若い作業員、秘密の携帯電話、108回の通話記録。 山奥の乾燥倉庫で、あの夜いったい何が起きたのか。 嘘と欲望にまみれた不倫関係が、やがて誰にも消せない証拠を地上へ呼び戻していく――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 164 -
完結第11話
五人目の白い靴
2003年夏、琵琶湖のほとりでキャンプをしていた伊藤一家4人が、忽然と姿を消した。 車もテントも荷物もそのまま。財布や鍵、子どもの持ち物まで残されていたのに、家族だけがどこにもいない。唯一、テントの中にあったのは、伊藤家のものではない片方だけの白い運動靴だった。 靴の内側には、消えかけた名前。さらに、長い年月を経て判明した血の痕跡。 捜査は難航し、事件は未解決のまま5年が過ぎる。だが、再鑑定によって白い靴が語り始めたのは、伊藤一家だけではない、もう一人の少女の存在だった。 なぜ、その靴は琵琶湖のテントにあったのか。 そして、5年前から誰にも届かなかった少女の名前とは――。ミステリー|行方不明1.7萬字5 200