"42人が消えた渚" 第7話
それは違いなく、27のあの、42の子供たちが最に目撃された、あのいわく付きの岸だった。
さち子は通帳の残を確認するように、胸ので静かに、しかし決然と覚悟を決めた。
「もう1度……あの所へこう」
たとえそこへっても何も得られなかったとしても、息子がを通じて遺した最のメッセージがそこにあるのなら、私はく。
数の、の切れからかすかにが漏れる曇の空の、さち子は再び、あの沿いの町にっていた。季節れの岸に観客の姿は全くなく、に混じるのは、古びた漁網と濡れた材の、じっとりとした匂いだけ。27のあのと同じように、町は気なほどに静まり返っていた。
問題の岸の入りには、「崖崩れの危険あり」という名目で、ち入り禁止の黄いロープが緩く張り巡らされていた。しかし、それが単なる建であり、本当の理由は町の々全員がを閉ざしているあの事件のせいだということを、さち子はすでにっていた。彼女はためらうことなくロープをくぐり、誰もいない砂浜へとを踏み入れた。
ギギュ、と湿ったたい砂が靴底に吸いつく触が伝わる。その瞬、胸の奥が激しくざわつき、拍数ががるのをじた。
「来てしまったわ、勇気……」
さな独り言は、吹き付けるい塩にあっさりと掻き消された。
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波打ち際を歩くと、褪せたゴミや流が気に転がっている。その奥、切りった崖のになった所に、ぽっくりと黒いをけた、古いコンクリート製の建造物がひっそりと佇んでいた。
それは、かつて子供たちが「秘密基」と呼んで集まっていた、戦に作られた古い防空壕の跡だった。
さち子がに入ると、の気が嘘のように、ひんやりとした湿った空気が肌を包み込んだ。洞窟内に、自分の音だけがやけにきく反響して響く。持参した懐灯の細いをつけ、湿ったコンクリートの壁をゆっくりとなぞるように照らしていった。
その、さち子は「あっ……」と息を呑み、そのに凍りついた。
懐灯のが照らしした壁面には、気がくなるほどの、無数の「型」がびっしりと残されていたのだ。
それは、子供のものとしかえない、ごくさな型だった。や煤のような黒いもので壁に押し付けられており、何層にも、何分もがなりうようにして残されている。それは決して、子供たちの楽しい遊びの痕跡などではなかった。暗ので、何かから必に逃れようとし、あるいはの世界へ何かを必に伝えようとして、壁を掻きむしった叫びの跡そのものに見えた。
そして、その無数の型の央部分に、際はく、鋭く刻み込まれた、見たこともない奇妙な印があった。
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円との模様を複雑に組みわせたような、議な幾何学模様。
(の……)
その瞬、廃の教で今井先が語った言葉が、さち子の脳裏に鮮烈に蘇った。「あれは、ある種の儀式のようなものだったのかもしれない」と。
そのだった。さち子の背から、ザサッ……と、砂を踏みしめる微かな音が静かに響いた。
彼女は恐怖で臓をねがらせながら、勢いよく振り返った。防空壕の入りのを背にして、1のが静かにっていた。逆のため、その表は全く見えない。
「……まだ、ここに来るがいたとはな」
聞き覚えのある、掠れたしゃがれた声。それは、数に尋ねた、あのシミのあった・良太の父親である老漁師だった。彼は防空壕のへゆっくりと入ってくると、壁に残された無数の型をしげに見つめ、静かに語り始めた。
「止められなかった……いや、止めなかったんだ、わしらが。27のあのの夜、子供たちはあの『探しの約束』を果たすために、全員でここに集まった。とが最もづく夜、この所にがくと、あのさゆりという娘が言ったそうだ。病に犯され、自分がくはきられないとっていたあの女は、の向こう側にけば、病気も痛みのない素らしい世界があると本気で信じていた。最初は誰も本気にしていなかったが、子供たちはしずつ、彼女の奇妙なに引き込まれていった。
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