みかん小説
本棚

"壁の奥にいた妻" 第2話

結婚、2は桂太郎の実で暮らすことになった。

1950代に桂太郎の父親が建てた、古い2階建てのだった。両親はすでにくなっており、は1息子である桂太郎に受け継がれていた。

美紀は結婚をに仕事を辞めた。

の町では、結婚した女性が庭に入ることは珍しくなかった。美紀もそれを自然な流れだとった。朝は夫の弁当を作り、掃除をし、夕方には夕を用して夫の帰宅を待つ。

最初の1は、比較穏やかだった。

だが、しずつ桂太郎は変わっていった。

い」

「掃除が雑だ」

「そのは似わない」

最初は些細な苦だった。

美紀は自分が至らないのだとい、謝った。もっと頑張れば、また優しい夫に戻ってくれると信じていた。

しかし、桂太郎の求は増えていった。

するは必ずき先を報告させられた。友との話も嫌がられた。親戚に会うことも次第に禁じられていった。

美紀はしずつ孤していった。

それでもから見る桂太郎は、変わらず真面目な警察官だった。

誰もで起こっていることをらなかった。

1989の終わり頃には、夫婦関係は刻に悪化していた。

桂太郎は毎晩のように酒をんで帰宅した。玄関の戸が乱暴にく音がすると、美紀の体は反射張った。音が廊づいてくるたびに、臓が喉元までせりがった。

広告

ある夜、桂太郎は帰宅するなり卓を見ろした。

「またこれか」

美紀は台所のさくげた。

「ごめんなさい。今は買い物にがなくて……」

言い終えるに、皿がに落ちて割れた。

所の々は、折そのから鳴や泣き声、皿の割れる音を聞いていた。だが、誰もく関わろうとはしなかった。

夫は警察官だった。

法律をり、域の々から信頼されている男だった。

誰もが「庭内のことだから」と距を置いた。

美紀は打撲の跡を隠しながら、では「転んだ」「棚にぶつけた」と説した。で偶然に会っても、く話すことはできなかった。桂太郎にられれば、また問い詰められるからだった。

199010、美紀は姉の幸子に打ちけた。

「もう耐えられない。婚したい」

の美紀の声は震えていた。幸子は妹の様子を聞き、すぐに言った。

「うちに来なさい。しばらく泊まればいい。1で抱え込まないで」

美紀は受話器を握りしめたまま泣いた。

その、美紀はしずつ準備を始めた。弁護士に相談し、必類を集め、さなスーツケースに最限の類を詰めた。翌朝には姉のくつもりだった。

19901115

3頃、美紀は所の料品った。

員はそのの美紀をにはっきり覚えていた。美紀は必なものを急いでかごに入れながら、何度も入の方を振り返っていた。

広告

誰かにをつけられているような、げな表だったという。

桂太郎はその勤だった。勤務は午6に終わる予定で、同僚たちは彼がシフトの終わりまで職にいたと証言した。

しかし、そのは曖昧だった。

美紀がきてで目撃されたのは、その料品が最だった。

所のは異変に気づいた。美紀はいつも朝になると庭に洗濯物を干していた。だがそのは庭に誰もてこなかった。夕方、所のが桂太郎に声をかけた。

「奥さん、体調でも悪いんですか」

桂太郎は表を変えずに答えた。

「親戚のに泊まっています。数戻らないといます」

その言い方はあまりに簡潔だった。

1週、姉の幸子はを抑えきれなくなった。美紀は来ると言っていたのに来ない。話にもない。にかけてもつながらない。

幸子は桂太郎のを訪ねた。

「美紀はどこにいるんですか」

桂太郎は玄関の内側から、たい目で幸子を見た。

県の親戚のです。1で考えるが必だと言っています」

「その親戚の話番号を教えてください」

「美紀が邪魔されたくないと言っています」

幸子は納得できなかった。

妹は逃げたいと言っていた。

婚したいと言っていた。

それなのに、誰にも連絡せずに姿を消すはずがなかった。

199012初旬、幸子は警察に失踪届をした。

だが、対応はたかった。

女性は自分のる権利がある。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: