"骨が覚えていた名前" 第5話
最まで同居していた物。
銭問題で争っていた物。
佐藤氏の座から600万円を引きした疑いのある物。
携帯話料を払い続けた物。
族へ偽のメッセージを送った能性のある物。
すべてが氏を指していた。
しかし、氏はすでに都内のマンションをていた。民票の所にもいない。族も所をらず、も連絡が取れないと言った。
警察は融取引を追った。
クレジットカードと座のきを監した。
しばらくきはなかった。
だが、ある、氏のクレジットカードが使われた。
千葉県郊のさなモーテルだった。
200924。
遺体発見から約3か、佐藤氏が姿を消してから約19かのことだった。
刑事たちはすぐにモーテルへ向かった。フロントで部番号を確認し、2階ののにった。
ノックの音が廊に響いた。
しばらくして、ドアがいた。
にっていたのは、氏だった。
彼は逃げようとしなかった。まるでこのを予していたかのように、淡々とした表をしていた。
「稲敷警察署です。緒に来てください」
氏はうなずき、抵抗せずに従った。
取り調べで、氏は最初、何もらないと繰り返した。
「佐藤氏はっていますね」
「同居していたのは事実です」
「今どこにいるかっていますか」
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「仲違いして別れました。それ以はりません」
刑事は質問をねた。
「佐藤氏の座から600万円が引きされています」
「りません」
「携帯話料をなぜ払い続けたのですか」
「申し訳ない気持ちで払っていただけです」
「別れた女性の料を、1以もですか」
氏は答えなかった。
そこで刑事は、鑑定結果を示した。
氏が以使っていたのトランクから、微量の血痕が検されていた。DNA鑑定の結果、それは佐藤氏のものと致した。致率は99.9%。
刑事は報告を差しした。
「のトランクから佐藤氏の血がています。これはどう説しますか」
氏の表がこわばった。
やがて彼は、ゆっくりとをげた。
「話すことがあります」
その、氏は真実を語り始めた。
20075、活費をめぐる論が起きた。佐藤氏はもっとを稼いでくるよう氏を責め、氏は事業がうまくいかないと弁解した。
鳴りいの末、氏は佐藤氏を突きばした。
佐藤氏は壁にをぶつけ、血を流して倒れた。
氏は狼狽した。
しかし、119番には通報しなかった。
その、倒れた佐藤氏の首を絞めた。
突発に始まった争いは、最には取り返しのつかない殺へ変わっていた。
氏は遺体を旅用鞄に入れ、のトランクに積んだ。向かったのは、彼が普段から釣りで訪れていた利根川沿いの葦原だった。
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通りがなく、葦が密集している。
そこなら絶対に見つからないとった。
彼は遺体を葦原に放置した。穴を掘ることもしなかった。
誰もここまで来ないと確信していたからだった。
取り調べので、氏は用な言も漏らした。
「私が犯だったら、遺体をあんなふうに適当に捨てたりしますか」
刑事はその言葉を聞き逃さなかった。
遺体が埋められず、葦原に放置されていた事実は、捜査関係者しからない報だった。
「なぜ、適当に捨てたと分かるのですか。そこまでは発表していません」
氏の顔が青ざめた。
自分の言葉で、現をっていることを認めてしまったのだ。
その、氏は佐藤氏のキャッシュカードで600万円を引きしたこと、携帯話料を払い続けたこと、母親へ偽の否メッセージを送ったことを打ちけた。
すべては、佐藤氏がまだきているように見せるためだった。
裁判で弁護側は、突発な犯だったと主張した。計画殺ではなく、争いので誤ってさせたと訴えた。
しかし裁判所はそれを認めなかった。
遺体を遺棄したこと。
証拠を隠滅しようとしたこと。
被害者のを奪ったこと。
族に偽のメッセージを送り、捜索願を妨げたこと。
それらを総し、単純な突発犯とは言えないと判断した。
2009、裁判所は氏に無期懲役を言い渡した。
事件は、そうして幕を閉じた。
元の骨遺体から始まった捜査は、800の方者、1万9000の着購入者、570か所の美容科、2000の患者記録をたどり、ようやく真実へたどり着いた。
骨に刻まれた、たった1つの術痕。
それが、佐藤氏の名を取り戻し、犯を法のに引きした。
しかし、この事件には苦い事実が残った。
佐藤氏が姿を消しても、誰もすぐには探さなかった。族との連絡がかったため、異変に気づかれるまでいがかかった。
犯は、そこにつけ込んだ。
誰も探さないだろう。
そう考えたからこそ、偽のメッセージを送り、携帯話料を払い続けた。
利根川の葦原で見つかった骨は、最にひとつの問いを残した。
い、連絡していないはいないか。
今の1本の話が、誰かを守ることになるかもしれない。
2008、利根川の葦原における骨体遺棄事件。
真実を語ったのは、声ではなく、骨に刻まれたさな痕跡だった。
― 完 ―
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