"東京駅に消えた母" 第7話
「用件は何でしたか」
「助けてほしいと。涙を流して、をげてきたんです」
「何を助けてほしいと」
「お母さんをどこかへ連れてかなければならない。1ではどうにもならないと」
美奈代は両で顔を覆いました。
「最初は断りました。でもさんがそので膝をついて、どうか頼む、にがないんだと……私もどうかしていたんです」
宅は静かに尋ねました。
「翌、何がありましたか」
「925の朝、さんがお母さんを連れて旅館のに来ました。おばあさんはぼんやりした顔で、認症がんでいるように見えました」
「そのは」
「私がおばあさんをしばらく預かりました。旅館の裏の部にお通ししました」
宅は目を細めました。
「その、さんは何をしていたんですか」
「にっていました。2度ほど。それから駅の切符売りにもっていました」
絵柄が、ぴたりとわさっていきました。
があの、母を連れて慌ただしくき回ったのではありません。
母は旅館に預けられていたのです。
「あなたはお母様とずっと緒にいたんですね」
「はい。事を差しげて、お洗いにもお連れしました」
「そのは」
「午1頃、さんが戻ってきました。そしておばあさんを連れてったんです」
「どちらへ」
「京駅です。私も緒にきました」
「なぜですか」
「おばあさんは1では汽に乗れない。
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を貸してくれと言われたからです」
「列に乗ったのですか」
「はい。方面へ向かう普通列でした。私とおばあさんの2で乗りました。さんは乗っていません」
宅は息をのみました。
は切符を買っただけで、列には乗っていなかったのです。
「どこでりましたか」
「湯原です」
「お母様の様子は」
美奈代の声が震えました。
「眠っておられました。私が薬を入れましたから」
「何の薬ですか」
「眠り薬です。さんから渡されたものでした」
宅は拳を握りました。
計画な犯でした。
「湯原でりてから、どうなりましたか」
「駅ので、さんが待っていました。を借りていました」
「それから」
「おばあさんをに乗せ、の方へ向かいました」
美奈代はそこまで言うと、泣き崩れました。
宅は、彼女が落ち着くまで待ちました。
やがて美奈代は、かすれた声で続けました。
「をずいぶんがりました。のいないところで、さんがを止めました」
「お母様は」
「眠っておられました。さんがおばあさんを抱き抱えて、のへろしました」
「あなたは」
「ので待っていました。さんが、待っていろと言ったからです」
美奈代は目を閉じました。
「1ほどした頃、さんが1で戻ってきました。にがついていました」
「お母様は」
「いらっしゃいませんでした」
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美奈代は震える息を吐きました。
「お母さんはどこにいらっしゃるんですか、と聞きました。でもさんは何も答えず、ただをらせました」
その、2は京へ戻りました。
は美奈代を旅館のでろし、そのままりました。
それ以来、美奈代はと会っていませんでした。
「怖かったんです」
美奈代は涙を流しました。
「自分が何にを貸してしまったのか、になっていりました。27、悪いを見続けてきました。毎晩のように、おばあさんがにてきたんです」
翌、と美奈代の対面取調べがわれました。
は美奈代の姿を見るなり、うなだれました。
「申し訳ない。あなたまで巻き込んでしまって」
美奈代は涙で顔を濡らしながら叫びました。
「兄さん、どうしてだったんですか。どうして私にあんなことをさせたんですか」
は答えられませんでした。
宅は2を交互に見ました。
「これが最です。佐倉さん、お母様をどうされたんですか」
はい沈黙の、をきました。
「のののくぼみに、寝かせました」
「ご命だったのですか」
は首を横に振りました。
「眠り薬が効きすぎていたのかもしれません。からろしたには、もう……」
宅は科学捜査研究所の報告を取りしました。
「嘘はやめてください。お母様の部には、いものによる損傷が見つかっています。
蓋骨のへこみが3か所あります」
の顔から血の気が引きました。
「何を使ったんですか」
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