"葬儀よりハワイ" 第6話
線にをつけ、吉郎はいこと黙っていた。
やがて、仏壇の横の引きしをけた。
古い類のから、産の登記簿謄本を取りす。
美が暮らしている、あの軒。
吉郎が3500万円をして買った。
名義の欄には、はっきりとかれていた。
田所吉郎。
吉郎はその類をしばらく見つめたあと、静かに畳んで懐にしまった。
涙はもうなかった。
代わりに、静かな覚悟があった。
「子、しろ。わしはちゃんとけじめをつける」
翌朝、1221。吉郎は1本の話をかけた。
相は本夫。元で30以産業を営む男で、吉郎とは古い付きいだった。
「本さんか。田所だ」
「吉郎さん。この度は奥様のこと、本当にご愁傷様でした」
「ああ、ありがとう。今は頼みがあって話した」
吉郎は拍置いて言った。
「息子夫婦に買ってやったあのな。売りたいんだが、すぐ続きできるか」
話の向こうで、本が息をんだのが分かった。
「吉郎さん、あのをですか? 息子さんたちが今もんでらっしゃるんでしょう」
「ああ。だが名義はわしだ。登記にも、わしの名しか入っとらん。わしのを、わしが売る。何か問題があるかね」
本はしばらく黙った。
の付きいで、吉郎がいつきでく男ではないことをっていた。余計なことは聞かなかった。
「分かりました。すぐに段取りを組みましょう」
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「頼む」
「ただ、1つだけ確認させてください。本当にいいんですね」
吉郎は迷わなかった。
「ああ。もう決めたことだ」
がけて1の半ば、本から連絡があった。
「あの物件ですが、駅からもいし、相もがっています。査定額は4200万円。いい値段がつきますよ」
「そうか」
「しかも、たまたまこの辺で探している若いご夫婦がいまして。子どもがまれるので、し広いところに引っ越したいそうです。条件がぴったりです」
「やってくれ」
吉郎の返事はかった。
内見は1旬にわれた。若い夫婦は、当たりのいいリビング、さな庭、落ち着いた宅の雰囲気をとても気に入ったらしい。
相はすぐに決まった。2初めに売買契約を結び、引き渡しは3という段取りになった。
契約が正式に決まったの夜、吉郎は正に話をかけた。
「正、話がある。しくなるから、座って聞いてくれ」
正の声はかった。
「うん」
「あのを売ることにした。もう契約も済んだ。3には引き渡しになる」
正は黙っていた。
吉郎は続けた。
「おを懲らしめたいわけじゃない。おは俺の息子だ。それは変わらん。だがな、正。おの嫁は母さんの葬儀より旅を選んだ」
話の向こうで、正が息をんだ。
「母さんは最まで、美さんに迷惑をかけたくないと言っていたんだぞ。自分がにかけているのに、あの嫁に気を使って慮していたんだ」
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吉郎の声は、しだけ鋭くなった。
「俺はあのを、おたちの幸せを願って買った。だが、あのにいたのは、幸せな族じゃなかった。子を見捨てただ」
い沈黙のあと、正がかすれた声で言った。
「分かった、親父。すまなかった」
「引っ越し先は自分で探しなさい。お自のことなら、俺はいくらでも力を貸す。だが、あの嫁が当然のような顔をして暮らす所を、俺がこれ以用してやる義理はない」
売却代のうち、吉郎は1000万円を正のために別座へ移した。息子をに迷わせるつもりはなかった。しいまいを探す資として使えばいいとった。
ただし、美に1円も渡すつもりはなかった。
残りの3000万円余りは、子が通っていた「ひまわり福祉の」へ寄付した。そこは齢者のデイサービスと、障害のある子どもたちの放課支援をう施設だった。子は体を壊す、に2回ほどそこへ通い、折りを教えたり、話し相になったりしていた。
施設の代表に会った吉郎は、静かに切りした。
「妻の子の名で、寄付をさせてください」
「寄付ですか。ありがたいお話ですが、額は……」
「3000万円ほどになります」
代表の女性は言葉を失った。
吉郎は穏やかに続けた。
「このおは、元々息子夫婦のために使ったものでした。でも事があって戻ってきた。
それなら、子がぶ使い方をしたい。