"金庫に眠る遺言" 第5話
薬物にも詳しかった。
眠薬を使い、両親を別荘へ運び、寄付の計画を撤回させる。そういう計画だったと郎は語った。
1995922。
郎は阪張を装い、ホテルにチェックインした。その、夜に京へ戻った。
ゆき子と夫の健太、次郎、郎。
4は協力して、眠薬で眠らせた健と子をへ乗せた。
監装置が止まっていた帯に、きな鞄を運んだのもそのためだった。
2は箱根の別荘へ連れてかれた。
午9頃、健が目を覚ました。
「ここはどこだ」
健は鳴った。
子も目を覚まし、夫の横で泣きした。
子どもたちは6にわたり、寄付を取り消すよう迫った。懇願し、脅し、泣き叫んだ。
しかし健は拒否した。
午3頃、健は言った。
「おたちは、もう私の子どもではない。警察に通報する」
その瞬、次郎が理性を失った。
彼は父の首を絞めた。
郎は凍りついたまま見ていた。ゆき子は「やめて」と叫んだが、止められなかった。
健は息を引き取った。
子はその景を見て、臓発作を起こした。ゆき子が蘇を試みたが、助からなかった。
その、4は遺体を隠した。
、浄化槽、壁の。
は摩川沿いの駐へ置かれた。
3は1995925に再び集まり、秘密を守ると誓った。
だが、秘密は永には守られなかった。
202051。
検察は3の子ども全員を殺と体損壊の容疑で起訴した。
広告
義兄の健太も共犯として起訴された。
裁判は20207から始まった。
検察は証拠を積みげた。遺骨のDNA鑑定、繊維の鑑識報告、通信記録、融取引履歴、健の。
裁判所は、犯が計画であり、財産を独占する目があったと判断した。
2021115。
京方裁判所で判決が言い渡された。
ゆき子、次郎、郎はいずれも無期懲役。
健太は懲役20。
3は控訴したが、20218に刑が確定した。
20219、健と子の同葬儀がわれた。
方届がされてから26のことだった。
3の子どもたちは席できなかった。
彼らは刑務所の独にいた。
健が残した8億円の遺産は、裁判所の判断により、全額社会へ寄付された。児童財団と老ホームへ、それぞれ4億円ずつ。
皮肉にも、健の願いは26を経て実現した。
葬儀の、健の弟は遺ので声を詰まらせた。
「兄さん、義姉さん。やっと帰ってこられましたね。どうからかに眠ってください」
が静かにを揺らしていた。
健が最に残したには、こんな節があったという。
「子どもたちよ。おはそれほど切か。おたちに本当のを教えられなかった父を許してくれ。しかし、どうかとしてきてくれ。怪物になるな」
その願いは届かなかった。
3は親の財産を欲し、親の命を奪い、25嘘をつき続けた。
だが、どんなにく隠しても、真実は消えなかった。
1995923、麻布の級宅から忽然と消えた老夫婦。
彼らは誰にもられず、箱根の奥で眠っていた。
そして25、の貸庫に残された1通のが、すべてを暴いた。
おは彼らに何も残さなかった。
残ったのは、たい独と、毎夜に現れる両親の顔だけだった。
健と子の遺産は、ようやく本来の所へ向かった。
恵まれない子どもたちへ。
孤独な齢者たちへ。
そして、族とは何かを問い続ける、い記憶として。
― 完 ―
広告
おすすめ作品
-
完結第6話
68歳、レジで再会した友
5年前、幸子は友人・道代に笑われた。 「まだ働いてるんだね」 「月1万円の積み立てなんて、やってないのと同じじゃない」 年金10万円でスーパーのレジに立つ幸子と、余裕のある老後を語っていた道代。あの日の小さな笑い声は、幸子の胸にずっと残り続けていた。 それから5年後。 68歳になった幸子のレジ前に、道代が突然現れる。手にしていたのは、半額の惣菜と安い食パンだけ。かつて自信に満ちていた彼女の手は、なぜか小さく震えていた。 そして道代が置き忘れたポイントカードの下には、たった一言だけ書かれた紙が挟まっていた。 「相談があります」 5年前に笑った人と、笑われた人。 同じ喫茶店で再び向き合った二人を待っていたのは、思いもよらない老後の現実だった――。人生逆転|第二の人生|金銭問題8.6千字5 0 -
完結第6話
骨壷に眠る花嫁
結婚式の2日前、山田晴恵は突然姿を消した。 婚約者との口論、消えた財布、荒らされた形跡のない部屋。警察は彼女を「結婚を恐れて逃げた花嫁」と判断し、事件は自発的失踪として処理された。 家族は世間の冷たい視線に耐え、婚約者は“残された新郎”として同情を集めたまま、時間だけが過ぎていく。 しかし6年後、群馬県の国道18号線沿いで排水設備の交換工事中、コンクリート製の雨水桝から異様な包みが見つかる。 中にあったのは、人間の頭部。 歯科記録の照合により、それは6年前に消えた晴恵のものだと判明した。 彼女は逃げたのではなかった。 では、誰が彼女を殺し、なぜ道路脇のコンクリートの中に隠したのか。 “逃亡した花嫁”という嘘が崩れた時、婚約者が守り続けた6年間の沈黙が、静かにほころび始める――。ミステリー|夫婦|真実|真相9.1千字5 0 -
完結第6話
港の消失船長
1994年9月15日、橫浜港の霧深い埠頭で、貨物船の船長・木村俊助が突然姿を消した。 船長室には書類も鞄も殘されたまま。車も港內で見つかったが、本人だけがどこにもいない。最後に彼を呼び出したのは、妻の弟・佐藤健二だった。 事故か、失蹤か、それとも事件か。 真相が分からないまま7年が過ぎ、妻のゆき子は5億円の生命保険を受け取る。さらに、その一部は弟の健二へ渡り、2人は豊かな暮らしを手に入れていった。 しかし20年後、橫浜港の再開発工事で、コンテナの下から一體の遺骨が見つかる。 地下3メートルに埋められていた船長。 そして、止まった腕時計が示していたのは、失蹤當日の朝だった――。真実|裡の顔|行方不明9.3千字5 65