みかん小説
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"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第14話

今度は、俺から鍵を渡す

引っ越した、蒼介さんはで回チャイムを鳴らした。回目は聞こえず、回目に本のから顔をげた。けると段ボールを箱、そのにみかんの袋を載せていた。

「届けに来た。入っていい? ここに置こうか」

通して、どうして本の途だと分かったのか聞いた。写真の箱がつきかけていたからテープがるとったそうだ。箱にはテープ巻、はさみ、に使いやすいと言ったマーカーもあった。

会社まで自転で数分。ベランダはさいけれど、台所は並べる。内見の、付き添いがるか聞かれて頼んだ。見は言っていい、決めるのは俺と最初に言った。軒目はがし見えた。選びかけて、台所で蔵庫をけたらを置く所もないと分かった。

軒目はが見えず、流しの脇が広かった。どううかと聞くと、で幅を取って、まな板枚いける、悠真が洗って俺が切る、と言った。産が彼に、いつ契約しますかと聞いた。を引っ込めて俺を見た。ここがいい、仕事のあとで来ます、と答えた。最初の賃の領収は社員証の裏、プリンのメモがあった所に入れた。鍵を受け取ったはだった。枚まな板を買って交差点まで来て、彼が示した幅をいし、残りの枚も買った。

箱を指定の所に置くと、彼は古のローテーブルのに座った。

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どこか気になるところはと聞いた。裏返しのカーテンと、ほぼ空きのない卓を見た。

「ちょっと空けられる? みかん置きたい」

箱ので笑って、テープをけ、卓の半分を空けた。途で親父からしい職の名札の写真が来た。叔父に言われて倉庫の仕事を始め、か続いた。は引き取らず、付がいくら戻るかも自分で聞いた。そのあと〈曜、おばあちゃんに会いにくけど緒にくか。切符は自分で買う〉と来た。

最の数文字をしばらく見た。はさみをしまっていた蒼介さんが、何かあったか尋ねた。親父に誘われて、くかはまだ決めてないと言った。

「緒に考える?」

「先に本を並べるの、伝って」

うん、と答えて何も言わなかった。きさを分け、最のまで来てから、曜は自分でく、祖母ので会おうと返した。分かった、と返った。そのの親父の通には、料の話がなかった。

夜、空き箱をねて彼が靴を履きにった。呼び止め、社員証のケースから袋をした。しく作った鍵と、い輪。裏のラベルには「」とだけいた。

けて見て、彼が俺を見た。「本当にいいの?」

「いいです。鍵があっても、晩ごはん何べたいかは聞いてください」

「じゃあ今は?」

「ラーメン。チャーシュー追加で」

靴を脱ぎ、着を掛け、つ頼もうとスマホを取った。で止めた。

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午じゅう台所を片づけたから、今は作りたい。伝うか聞かれ、ねぎを洗ってもらった。どのくらい切るか聞くから、そっちは好きに、俺はなめと言った。切った分はきれいに分けてあった。

格好なラーメンをつ並べた。彼が先にべ終え、来週いつ空いてるかと聞いた。週末、棚を組むのかと聞いたら、それもできるけど別の用、とコートからさいカードを枚した。港のそばのさな会。ガラス窓からが見えた。いつ見にきたいかと聞かれた。

「何を見に?」

「悠真が気に入るか。式を挙げたいんだ。も所も、呼ぶも、あとで緒に選ぼう。今は先に、どううか聞きたくて」

汁をんだ。麺は伸びていたけど、顔をげたら笑うだけになりそうで、もうべた。彼は待って、丼の脇で汁につかりそうなカードを引いた。式の話をしていても卓のを片づけるんだとったら、やっぱり笑ってしまった。

「いいですよ。週末見にきましょう。おばあちゃんはの列がいいです」

うなずいてカードを渡された。裏に曜14とき、予定はないか聞いた。ないと言うので、卓の端、まだむいていないみかんつのそばにてた。

洗い物のあと、彼はごみを捨てにた。棚で台代わりになるい本を探していると、鍵の回る音がした。俺の渡したほうだった。

玄関から「ただいま。みかんべる?」と聞こえた。

べる、と言った。番きいのをむいて、半分残してくれた。べ終えると、彼は玄関の着を取りにった。袖を振って広げるのを見て、「今夜、泊まっていって」と言った。

着を腕に載せたまま振り返った。「の朝、半にはるけど」

「静かにればいいですよ」ポケットを見た。「起きて鍵をかけなくていいし」

ポケットにをやり、着をまた掛けた。鍵をしてベッドのそばに置いた。俺の鍵と並んだ。自分の部をけられる鍵がつ緒にあるのは初めてで、しばらく見ていた。着るものを枚借りていいか聞かれ、ようやく顔をげた。

ゆったりした袖をした。洗面所で着替えて戻ってきても、袖はしかった。ベッドの端で、へ引っ張るのを見ていられなくなって、折りしてやった。もう片方にを伸ばした頃には、彼も腰をろしていた。マットレスが沈み、俺の膝が腿に当たった。

袖を折るを見ながら、に「ラーメンべてたとき、何か考えたいって言われるとった」と言った。

遅れて、式の話だと分かった。「向いてたのは笑ってたからです。伸びてたのに、まだ汁んでたでしょ」

「見てたよ。笑ったとき、抱きしめたくなった」

もう片方の袖は折りきらず、脇の布をし握った。

「じゃあ今、して」

彼は片でベッドを支え、俺を引き寄せた。力のかかった分だけ寄り、首筋に頬が当たると、息を吸う音がした。体をかけたかとって起き直しかけたら、もう片方のが背に回り、そのにとどめられた。

「くないよ」元で言った。「今、悠真が触ったから」

顔をげた。だけ赤くて、目はまじめだった。こらえきれず、その赤いところにキスした。そっと添えてあったに力が入り、越しにぎゅっと抱かれた。頬をつけたまま笑ったら彼も笑って、唇が頬をかすめ、の端で止まった。

「悠真、かり消す?」

「まだ消さないで」

言ってから顔がくなり、言いした。「顔が見たい」

ベッドのそばのライトが、片方の眉に当たっていた。普段なら眉が寄ると、また何か配してると分かる。そのときは眉はゆるんでいるのに、肩をつかむはしかった。の甲を撫でると、指が本ずつほどけ、俺の指と絡んだ。それからキスされた。今度はゆっくりだった。止まって、俺から触れるのを待って、また続けた。空いたがうなじを包んだ。彼がベッドの内側へしずれたとき、半を腕のに預けて、だけまだについていたと気づいた。

横になってかりを消すと、部が真っ暗になった。しい布団カバーが度こすれ、そのをしばらく探って、俺のの甲に触れた。

をつなぐとって指をいたら、先に体をし引き寄せられた。向き直ると膝が腿に当たった。今度はとも引かなかった。

こめかみにキスされた。しへずれて、暗がりので覚えている位置を探したら、顎に当たった。笑いで胸がかすかに揺れ、彼のほうから顔をげてくれた。もう度キスして、も放さず、たまに窓のをが通るのを聞いていた。

眠るし、初めて駅でつないだときのように、指を引っかけた。今度はどちらも、を急がなくてよかった。

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