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"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第13話

おじさん、俺が説いてるの分からない?

曜、蒼介さんはちゃんとつ聞いた。何にがるのと、迎えにっていいか。、来てほしい、と返し、秒に〈く着いたらに入っていいですよ。たばこは買わなくていいです〉とした。

分く来て、おにぎりをつ持ってきた。鮭は自分用、昆布は俺用。会計は2317分を過ぎたところだった。

〈あとでの、つげとこうかな〉

「いいですよ。着してるから」

トレーへ伸びていたが戻った。「今、寒いって聞いたっけ?」

いつも聞くじゃないですか、と言いかけた。何も来なくて、ドアが鳴るたび顔をげた。今ここにいるのに、また冗談でごまかすのが惜しかった。

「聞いてないです。のこと考えてた。最初にたばこを買いに来たときは、の客には回も笑ったのに、なんで俺には笑わないんだって」

は背を向けて品ししていた。蒼介さんはじっと俺を見た。釣り銭をすと、おにぎりを持ち、ドアまでってからを忘れたと気づいた。

がってに乗ると、はいつもと同じさだった。彼はエンジンをかけ直さず、さっきの続きを今晩聞いていいかと言った。いいです、と答えた。夜1117分から、会計すると件につき言だけ聞こえる。彼はし考え、プリンを回通した、何を聞いたか尋ねた。

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「妬いてるのか聞きたい、って」

「それで、がるの待って何がしたいか聞いたの?」

「自分で言ってほしかったからです。……来なかった何か、あの晩度でも会計してたら、何を考えてたか分かったかなってったこともあります」

彼は鍵を指先で裏返した。「何か聞こえたあと、俺には聞かずに、それが俺の気持ちだとったことはある?」

怜さんが来たのことをった。缶コーヒーつでのことが分かるなんて、ずいぶん便利にっていた。

「像ならしました。怜さんとよりを戻すのかなとか、俺が言うまで来ない気なのかなとか。どれも全部は分かりませんでした」

「これからは、レジ越しに聞くみたいなことはしません。さっきの返事も、聞かれてからすればよかった」

彼はうなずき、消化するのに何かかかるかもと言った。昆布おにぎりを膝に置いて、発を待った。しばらくして、「そっち、もらっていい? 選ぶときから昆布がべたくて」と聞かれた。

「じゃあ、なんでくれたんです?」

「分けてくれるとった」

けて渡すと、本当にだけかじって、具は残してくれた。

面接のもだった。刻が変わった件を入れた配送表を作る課題だった。最の配達先はコンビニのそばで、夕方は学を乗せたバスが来る。なぜっているのか聞かれ、あそこで働きました、信号回分待つだけで運転はおにぎりつべられます、と答えた。

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のもそこで待たせるのかと聞かれ、本目のルートを見せた。にて、に挙げてくれた例がました、と話した。

「どう答えたの?」

「自分のやり方で」

「ならよかった」

採用通は学ので度読んでから話した。荷ろしで、ちょっと待ってと誰かに言った。箱の音がくなってから、「成瀬悠真、すごいじゃん」と言ってくれた。

それを聞いてでもうしぶつもりだった。通にはもう枚あった。誰かと話したくなった。

「夜の配です。最初のかは17にて、遅くて午1まで。受けたいです」

「また夜勤?」

「はい。昼は入力の枠しか空いてません。戻った運転と伝票を照らして、どこが詰まったか、どこで刻が変わったか聞きたいんです。夜ならできます」

「昼の責任者の川島をってる。話して、空けられないか聞くよ」

「蒼介さん」

止まった。受話でまた箱の音がした。今度はかった。

「で倒れたとき、スマホがに落ちた。何回呼んでも返事なくて。着いたとき、何階にんでるかもらなかった」

バスに着いた。のドアがき、歩退いてが乗るのを見送った。

「今度は仕事つです。昼に授業、夜に代わりにて、夕飯まで抜く活じゃない。最のは従業員の送迎があることも聞きました」

「そこまで聞いたの?」

「つ聞いてないです。

急にルートが変わったとき、夜勤で番忘れやすいのは何か。教えてくれます?」

向こうで久世さんと呼ばれた。仕事に戻ってください、今晩返事をするから、終わってからでもいいです、と言った。

夜、いたメールを見せた。学裏の定で、彼のスマホは連絡先のままだった。川島の文字が、向かいからも見えた。

「昼、かけそうになった」

画面を見つめていた。彼は「今でも、昼にしてほしいとはってる」と言って伏せた。「でもいたやつ見せて。引き継ぎのを聞くところ、さっき見えなかった」

画面を向けた。最のがまだ戻っていない、交代のが誰に聞くか確認しとくといい、はそこを忘れやすいという。最のにし、彼ので送信した。

アジフライが来た。スマホを伏せると、彼のと並んだ。その晩はとも、もうひっくり返さなかった。

コンビニの最のシフトでは、レシートを替えてからエプロンを返した。が引きしから、卒業最の表をした。自分で選んだ枠に名があり、横には自分のサインがあった。つ折りにしてかばんに入れた。

卒業して夜の配へ入った。最初のかは、が戻るたび、迂回した所を赤で囲んだ。初任のは休みで、祖母に栗のケーキを買い、いちごプリンをつ買った。蒼介さんは最のを待つ週だと聞いていた。

2317分、会社のへ持っていった。

警備員に久世さんに会いに来たと言うと、内線をかけ、配ので待たせてくれた。壁のホワイトボードには17台分の札が列に並んでいた。が16枚。枚だけ赤い面を向けている。

ガラス戸がいていて、から声がした。

「先方から催促が回目です。運転が縁にこすったそうで、タイヤの側面が膨らんでます。倉庫まであと7キロだから、そのままれないかって」

伝票の束から蒼介さんが顔をげた。「れって言ったのは誰?」

「先方の担当者です。倉庫はまでしか待たないって」

「運転には、かず救援を待てと伝えて。戻ったばかりの3号を荷物の積み替えにす」

3号の札を庫待ちへかした。「運転ががったなら話しなくていい。俺がく」

相は配票をつかんで、止まった。「し直しと超過分の費用、どこにつけます? あそこ、に40便以くれるんですけど」

「今の分は俺の決裁で。来の契約を話し直したいなら、の朝に俺に話してもらって」

配票にサインし、続けた。「先に運転。客への連絡が分遅れてもいい。止まってていいのか本が分からないままなのは困る」

相がていき、の鍵を取ってから、ようやく蒼介さんはガラス越しに俺に気づいた。俺がって袋を持ちげると、計を見て、やっと表を緩めた。

「度ないと。終には送れるとう。先に帰りたかったら、誰かに送ってもらうけど」

「今は待ちに来たんです」

子に座り直した。「にわなかったらタクシーで帰ります。今、料なんで」

秒ほど俺を見て、鍵を握り込んだ。「分かった。戻ったら夜おごる」

「そのに、俺が何持ってきたか聞いてください」

「プリン」

「半分正解。料細も入ってます。今は俺がおごるんです」

戸で振り返った。「見せなくていいところは隠しといて」

見せたいから持ってきた、と言いかけた。蒼介さんは笑って、もう背を向けていた。分ほどで戻ったときはでシャツの襟が片方ち、に拭っても取れない黒ずみがあった。サインを待っていたたちはもういない。それでも俺のそばにしばらくって、まだおごってくれるのか聞いた。

「そのつもりです。先に、洗ってきてください」

俺の横に鍵を置いた。「言うとおりにするよ」

を洗ってから事務所に通してくれた。かりは卓ライトつ。窓辺には未封の段ボールがあり、ガラス越しに、たった今エンジンを切ったトラックが見えた。プリンをすと、彼は引きしからコンビニのスプーンを本、本、本としてきた。

「何個買ったんですか」

「悠真に買ったのもある。来ないでって言われてたから、会社の裏ので買って自分でべた。

スプーンは同じみたい」

笑いかけて、自分の分も押しした。「これは俺のおごり。半分、俺に残していいですよ」

最のひとを俺に残し、蒼介さんはペーパーでを拭いた。「あとで駅まで送る。るに話したいことがあるんだけど」

子の背の着にを伸ばしたら、フルネームで呼ばれた。

「成瀬悠真。来週の曜の夜、デートしよう」

振り向くと、まだ向かいに座ったまま、から持ち帰った配票をで押さえていた。40便以の客をの朝まで待たせると決めたときも、ああやって座っていた。今は言い終えたのに、からがれない。

「俺が曜空いてるって、なんで分かるんです?」

「自分の予定だけ空けた。悠真が何に空くかは、今聞いてる」

着を子に戻した。「ごはん回おごって、回も迎えにきました。おじさん、俺が説いてるの分からない?」

「分かってた。に、ついでだって言った。会社から帰るならだろ。悠真がいたのはだった」

あのはわざわざまで買って、に用があったふりをしたのに。

「分かってて、こんなに待たせたんですか」

「待ちに来ないでって言われてたから。くにしたら、ごはんの回だってなくなるかもしれないとった」

ようやく配票からをした。角にくっきり折り目がついていた。

「今、に座ってるのが見えた。

積み替えに向かう、番怖かったのは、戻ってきてあの子が空になってることだった」

わざと「帰ってたら、誘えばいいじゃないですか」と言ってみた。

「今誘いたい」蒼介さんが目をげた。「キスもしたい。プリンをこっちに押したときからってた」

握ったままだったスプーンが指のでし曲がった。からかうつもりだったのに、見つめられたら俺のほうが先に目を逸らした。窓に卓が半分映り、のには空のプリン容器がつあった。

「客にもそんなにはっきり言うんですか」

「客ならまた次に話す気で待てる。誘う言葉はに乗ってるに決めたのに、戻って顔を見たら、今まで言えなかった」

スプーンを容器に戻した。「曜は19にがります。く所、先に教えてください。もうつは、会社をてから聞いて」

そこでやっとった。自分のコートを取り、俺の着も渡してくれた。俺のが布に触れたらすぐした。へりると、を差しして、いたまま待っていた。指を引っかけてから、やっとごと包まれた。

駅まで来ても本当に聞かなかった。途、が切れたら言うだろうとったら、エスカレーターからまたが来た。彼が先に、駅ののシャッターがりた先へを引いた。音がくなってから、顔を傾けた。

「悠真、今ならキスしていい?」

「いいですよ。したら、聞きたいことがあります」

のひらが肩に触れた。唇はなったとったられた。最初のと同じで、目を閉じる暇もない。俺は袖をたどって首を取った。

「なんでそんなに急ぐんですか」

「これ以づいたら、またれたくなるかとって」

別れた、彼が半歩だけづいたのを覚えている。背に隠したに爪がい込んだ。今は彼ののひらをへ返し、俺から歩寄って、腰に当てた。

「じゃあ、もうし来て」

今度は俺から唇をねた。腰のが度きゅっとき、からかすかに息が抜ける音がした。それからのひらがしっかりついて、抱き寄せられた。のコートがこすれ、彼の襟が胸に当たった。よけようとを伸ばすと、きにわせて顔をげてきたから、いっそ襟をつかんで、もう度キスした。

なら、コンビニで何かつ通せば、何を考えているか聞けた。あの晩、彼は何も買わなかったし、俺も当てようとはしなかった。しれると、今度は向こうから来た。唇が触れるに名を呼ばれた。目を閉じたまま返事をして、聞くつもりだったことまで忘れかけた。

れても額が触れていた。襟を放し、肩に触れると、まだしこわばっていた。

「聞きたいことがあるんだろ」さっきよりしかすれた声だった。

「また俺の恋になってくれますか?」

「なりたい」今度はしも遅くなかった。は腰に置いたまま、「成瀬悠真、なりたいよ」と言った。

を腰からろすと、彼ののひらにも汗がにじんでいた。指を絡め、こうと言うには惜しいとっていたら、彼が先に「もうし、ここにいていい?」と聞いた。

肩に顔を預け、駅でまたの案内が流れてから計を見た。終まで分。ラーメンのかりもついている。

「もうはいいです。ラーメンにつきって。今は自分のチャーシュー、自分でべてください」

「皿ずつ追加する?」

笑ってがもつれそうになった。をつないで戻った。今度は緒に簾をげた。

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