"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第12話
このラーメンは俺のおごり
学裏の定を選んだ。に蒼介さんが壁の姜焼きを見て、今度頼みたいと言った。いろいろあって今度は来なかった。く着いたので窓際の卓に座った。おかみさんがお茶を置いていった。んで、向かいの分もめないように卓の真んへ寄せた。
分に、ぶらで来た。席まで来ても勝に子を引かず、「ここ、座っていい?」と聞いた。うなずくとコートを脱いで背に掛ける。いくつも言うことを用したのに、先に目ののくまに気づいた。
「最寝てないんですか」
「はずっと配の刻を直してた。あとは、会いたいとって、俺の顔見たら嫌かなって」
「ちょっとは」
案すぐうなずいた。注文を取りに来たおかみさんにアジフライを頼み、蒼介さんには姜焼きでいいか聞いた。壁のを度見て、うんと答えた。おかみさんがれると、両を卓に置いた。
「悠真、ごめん。に、悠真の仕事は俺が決められると言った。ちゃんと聞かれて、はっきり答えた」
そこまでそのまま認めるとはわなかった。も聞いたんですから、聞き違いなんて言わないでください、と用していた。どれもらなくなって、どうして俺がうなずくとったのかりたくなった。
蒼介さんは湯呑みを見つめていた。
「あのはので、とにかくく悠真を連れすことばかり考えてた。
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が途で止まったら、誰かが最初に指示をさないと、あとのもけない。俺は真っ先にをすのに慣れてる」
「に言うに、俺がるっていませんでしたか」
「ったよ」こっちを見た。「晩腹をてても、朝になれば俺がそうした理由は分かるとった。おのことをちゃんとさせるから戻るって言ってたよね。聞いてた。そのうち俺に同するだろうと、まだってた」
めないように寄せておいた茶を持ちげ、元まで来て、また置いた。
「別れようと言われてからも、りが収まったら、どこから説すれば俺のほうが正しいと分かってもらえるか考えてた。帰って晩座ってたのに、あのとき悠真が番聞いてほしかった言葉が何だったのか、俺には答えられなかった」
テーブルので靴の先をこすった。別れたにいちばん腹がったのは、まさにそれだった。帰れないと言ったら、待ってる、と言ってくれた。俺が背を向けたら、のところへった。もう度腹をてて同じことを言うことも、別のことを聞くこともできた。
「あの部は?」
「解約した。戻らない分は俺が払う。にも話した。これからシフトのことは悠真に聞いてって」
ってます、次のに表を送ってくれたから、と答えた。彼はお茶をみ、何か言いかけてやめた。
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ならプリンでも通せたらとった。今は向かいにいる。
「ほかにもありますか」
「480万のこと。お父さんが来た、度話したよね」
覚えていた。病院から帰った翌朝、まだ布団にいた。今もうし寝られるか聞かれて、寝られると答えたら、そのまま寝てていいよと言った。
「本当は何を言うつもりだったんです?」
「借を片づけられるなら、を貸していいか聞くつもりだった。まだ寝起きの声を聞いたら、どうせらないって言うと先に決めた。切ってすぐ、お父さんに相を呼んでもらった。元の借用で額をわせて、そので払った」
「らないって言ったかもしれません。でも俺、話が来てうれしかった。声が聞きたいだけで、かけてくれたとったから」
彼は顔をげ、し待って言った。「聞きたかったよ。話を切りたくないのに、く切りたくもなるなんて、そのときは自分でも分からなかった」
おかみさんが盆を持ってきた。彼は湯呑みをどけて姜焼きを受け取り、れてから言った。「あのは自分で払ったものとして引き受ける。お父さんがまた俺に言ってきたら、悠真に話す」
うなずいてアジフライをべた。とっくに腹は空いていたのに、でお茶をにして、むことも忘れていた。姜焼きの皿が真んへ来た。番脂のあるところを取ったら、彼がようやく息をついた。
途で況を聞かれた。卒業課題はした、運送会社から面接の連絡が来たと言った。名を伝えると、っているらしく、箸を持ちげかけて止めた。
なぜ配の仕事がしたいのか聞かれた。
「学科の配送シミュレーションで、俺の考えたルートは通れないって言うやつがいたんです。納得いかなくて自転を借りて、荷ろしか所とも実際に見にきました。か所は向こうの勘違い。か所目は俺が、トラックの入すららなかった」
「それで?」
「最初のか所は写真を送って、先に違いを認めてもらいました。か所目は直して、あとでそいつにおにぎりをおごりました」
蒼介さんの元がしいた。「それ、面接を見てほしくて言ったの? か所は自分が正しかったって聞かせたくて?」
「両方です」
箸を置いた蒼介さんがナプキンを取り、でルートが変わったときの例を描いた。話し終わるにり方を答えたら、を指で叩き、つ目の荷ろしは16に閉まると言った。ナプキンを向こうに戻して、俺が引いた折れ線を示した。
「ってます。だから先に件目にくんです。件目は帰りで」
もう度、目で線を追った。「そっか。俺がとちりした」
澄ました顔でお茶をんだ。このがそう言うのを聞くのが、俺は好きだ。
「自己紹介、見ようか?」
「それはお願いします。先方には連絡しないで」
「分かった」
わず笑った。社をってると言われたら、箸を置いて姜焼き代も自分で払ってと言うつもりだった、と話したら、彼は本気でレジを見た。
「今なら払っていい?」
「だめです。このラーメンは俺のおごり」
定だけど、と言うから、姜焼きを取りながら、最初のラーメンだって払わせてもらえなかった、度おごらせてくれないと、と言った。しかけた財布をしまった。会計でもをさず、着から落ちそうなマフラーだけ拾ってくれた。
をて、灯まで緒に歩いた。交差点で今はで帰るか聞かれ、そうしたいと答えると、そのにとどまった。数歩歩いて、俺から呼び止めた。
「これからも夜勤だったら?」
「何にがるか、迎えにっていいか聞く」
「じゃあ、来週の曜に聞いてください」
駅までずっと笑っていたことに、着いてから気づいた。に乗ると、刻表でも帰りの確認でもなく、〈ごはん、おいしかった。今度は俺にも度おごらせて〉と来た。〈いいですよ〉と返し、それだけではすぎるから、した。
〈会いたかったら言ってください。次はごはんを実にしないで〉
秒もしないうちに返った。
〈会いたい〉