"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第6話
付まで払ったんだぞ
さっきまでじゅうに聞かせたかった親父が、がないと聞いたとたん、袋を拾った。
「のことは関係ない。ビールを本買いに来ただけだ」
蒼介さんが濡れた傘を入にてた。「そのおの話は別です。先に、さっき悠真に言ったことを」
作業の客は窓際に残っていた。藤野は直に別のレジを頼み、引継表を受け取った。封筒を最に見たのは、表を取りにく。振り返ったとき、カウンターに俺がいたという。
「持っていくのを見た?」
「そこまでは」
「なら、そこにいたのを見たのね。混ぜないで」
親父が入へずれた。蒼介さんは引き止めず、コートからスマホをし、俺に見えるよう写真をいた。480万円。受け取ったのサインと、その横に親父のゆがんだサインがある。
「ご自分でいたんですよね?」
親父のが止まった。「違うなんて言ってない。ただ、族みたいにつきってるのに、誰のだっていちいち――」
「分けてください」蒼介さんは顔をげた。「頼んだのはあなた。貸したに払ったのは俺。悠真がどこに関わってるのか、指で示してください」
親父は本当に度、画面を見た。何も言えず、顔を背けた。さっき俺を目当てと呼んだときは、目を見ていたくせに。
蒼介さんはスマホを指本分、俺に寄せた。「悠真は事にらなかったし、俺に円も頼んでない。
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さっき言わなかった分、今言ってもらえますか」
ここ何もごはんとがりの話はしていたのに、言も聞かなかった。写真を送ってもらうと、彼は親父とのやりとりもし戻して見せた。
〈このままじゃ卒業まで、あいつは俺の分を稼ぎにる。本に聞いても放っといてくれって言うだけですよ〉
聞き慣れたぶりだった。俺が嫌だと言うたび、別のにされる。親父がのぞき込み、済んだことを取っておいてどうする、と言った。写真を保した。誰が払ったかくらいっておく。に借用を見せてくれと言ったら、忙しいからあとでと言われた。そのあとを待った。
「自分で払いたかったんだろ。途まで助けて、あとは親父が病院にけなくてもいいのか?」
「その、付いくら入れたの?」
「20万も入れたんだぞ。まるごと損しろってのか?」
答えてから、親父は俺の返事を待った。袋の音すら止まった。傘の女性が持ちを半回転させた。
「さっき入院するっておっしゃってませんでした?」
仕事を探すにもがる、く稼ぎたいからだと言い、最には自分でも入院と結びつかないと分かったらしい。俺をにらみ、「で恥かかせたいのか」と言った。
袋を親父の側に寄せた。「買うかやめるか自分で決めて。俺は200万を頼まない」
ていく親父は度をけたが、結局、傘をでずらしただけだった。
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蒼介さんがて直して戻ってきて、俺はののエプロンがしわくちゃだと気づいた。
は俺と直から別々に話を聞いた。は袋に入れ、で数えてサインする。今は断され、の担当が残した額しか表にない。くの引きしを探しても封筒ごとない。俺はビール本、親父が台を叩いたこと、通を空けた順を話した。直がいつカウンターを通ったかは見ていない。
昨、蔵庫ので直に、恋の会社に雇ってもらえばと言われたのをいした。あれを今の話と並べられたら、俺だってがどううか分からない。調べ終わるまでシフトを残してほしいと頼むと、「証拠で判断する。埋めわせにのへ回したりしない」と言われた。
「今晩はともあのレジは触らないで。映像を全部見る。悠真はこのあとは品し」
にると、蒼介さんはへこんだカップの温かいお茶を持って待っていた。帰るかと聞かれ、受け取ってから、なぜ黙っていたのか聞いた。
「言ったら止められるとった」
正直すぎて、瞬返事ができなかった。彼は言いしかけ、結局、「病院で目が覚めてまで、バイトにられるか配してた。し休んでほしかった」と言った。
「休みたいですよ。でも今は戻ります。お取ったって言われて、帰れない」
顔にを伸ばしかけて、ほどけたエプロンのひもを渡してくれた。
「じゃあっておいで。待ってる」
結び直して戻った。ドアが閉まるに、彼がのほうへ歩くのが見えた。映像のことを聞くんだとい、台を押して奥の棚へった。
その夜は結論がなかった。は正面の画面で直と刻だけ確認し、また客が来た。がる頃、直が引継表の写しを枚、倉庫の古入れに投げた。番で俺の名が太く囲まれていた。気づいたのを見て、彼はを押し込んだ。
「気にするなって。ってることを言っただけだから」
ほかは鉛なのに、俺の名だけ赤で度なぞってあった。