"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第4話
480万もしてくれたんだから
親父に初めて返済を頼まれたときは、「今だけ助けてくれ」だった。
で、学に入ったばかり。にがなく、費と交通費を残してバイト代を送った。それから料になるたびに「今も頼めないか」と来る。22になった今では、連絡が来るで次の返済が分かった。
いつまで続くのか聞いたことはある。先、振込の履歴を見せたら、変なのは分かってる、落ち着いたら返すと言った。鍋の最の豆腐を取ってくれて、俺がねぎ嫌いなのも覚えていた。来からは自分で何とかして、と言いかけた。親父がごはんをよそいにったとき、卓のにけていない督促状が通見えて、結局言えなかった。
蒼介さんがったのは、夜勤が続いたあとだった。帰って靴も脱いでいないところに話が来た。夕飯はと聞かれて、カップ麺ならあると答えようとした。を取りにったところでが空を切り、スマホもに落ちた。
目をけると病院だった。子に黒いコートが掛かっていた。廊から戻った蒼介さんがを本持っていて、ふたを緩めてから渡してくれた。部がどうして分かったのか聞くと、建物の名はに送ったときに覚え、部番号は藤野に聞いたという。救急が着いた頃、彼もに着いた。
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「ごはん、べました?」
「それを聞くために話したんだけど」
子を持ってきてやろうとして、目のにあるのをいし、横になり直した。おにぎり個で過ごしたことは叱らなかった。俺がをみ終わるのを待って、「直が、今週回代わりに入ったって。、りないの?」と聞いた。
卒業でると言いかけたところに、親父から催促が来た。通を消した。蒼介さんはただ待っていて、スマホにはも伸ばさなかった。
「親父の借です。最初は今だけって。ずっと俺がしてて、まだ480万残ってます」
「送らなかったら?」
「俺がるまで、話してきます」
彼は「そっか」とだけ言った。にできただけで、し肩が軽くなった気がした。
病院から送ってもらうと、親父が建物の階段に座っていた。病院の袋より先に蒼介さんのの鍵を見て、「このがおの友達か」と言った。
「恋」
親父は度ほど彼を見て、にこっとした。「今度、で話しましょう」
「用があるなら俺ので言って」
親父はそれきりだった。部ので蒼介さんが、し緒にいようかと聞いた。で寝たいと言うとすぐに分かったと答え、をの届くところに置いてくれた。翌朝、朝ごはんをべたかと連絡が来た。こんながずっと続けばいいとった。俺も彼が忙しいに、何か取っておいてやれる。
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勤していちごプリンを個、名を貼って従業員用の蔵庫に入れた。
最初に見つけたのは直だった。恋できたのと聞かれ、否定しなかった。このも着替えをで分待ってたよ、と言ってから、社なんだろう、卒業したら雇ってもらえばいのに、と続けた。
「もう応募した。あのの会社にったら、に帰ってまで俺の表を直されそうで嫌だ」
もったいない、と笑われた。蒼介さんはプラスチックのスプーンを持ってプリンを取りに来た。半分いいかと聞くので、名を見ろと言った。それでも最初にひとくれた。直に検品に呼ばれ、おいしいと言うのがやっとだった。戻ったら彼はもういなかった。半分残したふたに、〈お腹すいたときに〉とメモが貼ってあった。
何かして、いつも送するが来た。午、親父から何も来ない。額を入力して、確定するに〈今はいくら?〉と送った。返事はなく、23半くに親父本がへ来た。古い着で、缶ビールを本持っていた。
「顔よくなったな。バイトばっかり考えなくていいぞ。恋するならしろ」
妙に嫌がいい。は用できたのかと聞いた。
「親父のの配なんかするな。おも自分の暮らしを楽しめ」
本目を通した。
〈480万もしてくれたんだ。あと200万引っ張れば、あのを取りにける〉
本目が指から滑ってカウンターを転がった。
親父はで止め、こちらへ戻した。
「相変わらずそそっかしいな。ああ、久世さん、今は何に迎えに来るんだ?」
差しされた銭を、俺は取らなかった。
ようやく分かった。〈自分の暮らしを楽しめ〉と言っておいて、親父が楽をさせてもらう気でいた相が誰なのか。