みかん小説
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"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第2話

も毎、俺に会いに来たよな

酔客はをし、余計な世話だと毒づいた。おじさんは言い返さず、ひっくり返りかけたトレーを戻して、俺とのにった。藤野が駆けつけて俺をがらせ、客に退を求めた。直まで倉庫からてくると、客はビールを置いてていった。帰り際に販促スタンドを蹴るのは忘れなかった。

は俺にけががないか確かめると、経緯をかせ、防犯カメラを見にった。レジ、入、たばこ棚。つの映像で計が数秒ずつずれている。はつずつ照し、直に刻を控えさせた。

「揉めたら何何分か覚えておくの。途だけ切り取ったら、言違うだけで別の話に見えるから」

がれると、直が寄ってきた。「あの、毎来るの? おを見る目、酔っ払いを見る目とはずいぶん違ったな」

おじさんはたばこも買わず、に連絡先を残してていった。エプロンをして追うと、を止め、まず俺の腰を見た。

「本当に痛くない?」

「丈夫です。ありがとうございました」

「お礼だけ?」

本気で困った顔をしたからか、「あるとき、ラーメン杯おごって」と付けされた。スマホをすと、彼は自分で久世蒼介と入力した。俺は22で、あと数かで卒業。彼は38だという。「だからか」とが滑り、じろっと見られた。

「話で言しゃべっただけで、会社のが黙るのも分かるなとって」

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初めて声をして笑うところを見た。

、交代のに駅裏のラーメンへった。蒼介さんは番奥にいた。値段を見比べて杯とチャーシューを皿頼み、肉はお礼ですと言った。主が背を向けると皿を半分こちらに寄せ、俺が麺をほぐしているに、残り半分も寄せた。

くで運送会社をやっていると教えてくれた。今はが17台あるという。

「17台、全部見てるんですか」

「鍵は俺が預かってないよ。がせなくなったら、結局ぜんぶ俺のところに来るけど」

麺を本ほど持ちげて、また丼に戻した。

「最初は古の台だけだった。昼は自分で運転して、夜は運転席で見積もり送って。話が来ると『運転さんいる?』『社さんいる?』って、順番に聞かれるんだ。同じ声だってばれないように、持つを替えてたりして」

「を替えると声も変わるんですか」

「変わらない。回目には『もういいから、いくらなの』って言われた」

吹きしたついでに、あの晩はなんであんなに怖かったのかと聞いた。同じ配担当が届け先を度変えたのに、運転には伝えていなかった。今度はその責任まで取らせようとしたのだという。

「俺が何かやらかしたかといました」

「何度も謝るから、俺まで謝りそうになった」

「そうになっただけ?」

しがあって、コップを置いた。

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「ごめん。今からでもにう?」

「にいます。チャーシューは返しませんけど」

俺のまで来ていた皿を見ろし、さく笑った。「返してもらうつもりもないよ」

「じゃあ、なんで次のも来たんです?」

「笑わないなのか、俺にだけ笑わないのか、見たくて」

「分かりました?」

「終を急ぐ客も、忘れ物をする客も覚えてることはね。横断歩までたばこを持ってきてくれたとき、次に来たら俺のことも覚えてるかなって」

「箱で袋を欲しがるは覚えますよ」

「そこまで覚えてるなら最まで。袋はもらえなかったし、たばこは忘れた」

簾ががった。いグレーの着を着た男が、主に「いつもの」と声をかけ、蒼介さんに気づくと、当たりのように卓の横に来た。

「やっぱりここにいた。これ、この返しそびれて」

あせた青い布ひものついた鍵が本、蒼介さんの元に置かれた。

「引っ越しの箱からてきた。鍵、今も同じとこに置いてる?」

「もう鍵は替えたよ。悠真、川怜」

差しされたを、ズボンでのひらを拭いてから握った。怜さんは蒼介さんの腰はまだ痛むのか、で寝るのはやめろと、いかにも慣れたぶりで言った。来週コーヒーでもと誘い、予定があると返されると、度俺を見てカウンターに移った。

急にラーメンがしょっぱくなった。残りのチャーシューを枚とも取った。

会計につと、入ったときに蒼介さんが払っていた。

「お礼はもらった。今度おごって」

「枚もべてないじゃないですか」

「じゃあ、今度は皿く頼んで」

にてもが遅くなる。追いついた彼の指に、さっきの青い布ひもが巻きついていた。

「で帰れます。用があるなら、戻っていいですよ」

蒼介さんは元を見て、ひもをほどいて鍵と緒にポケットへ入れた。鍵を替えることはに伝えたのに、怜さんは気に留めなかったらしい。それから「さっき聞きかけたの、これのこと?」と言った。気づかれているとわなかった。怜さんとどういう仲なのかも、今度なんて本当にあるのかも聞きたかった。直から無のレジの写真が送られてきて、仕方なく「次に会ったとき」と答えた。

「いいよ。でも聞きたくなったら、いつでも聞いて」

23半く、今度は川怜がに来た。えた先を赤くして、ブラックの缶コーヒーを置く。

「蒼介、俺が元彼だって言わなかった?」

首を振って、貨が入ったトレーを受け取る。バーコードを通した。

〈あの鍵なんてとっくに捨てればよかった。今はやり直せないかって聞くつもりだったのに〉

コーヒーを押ししたまま、俺のはれなかった。怜さんはそのを見て、笑った。

「もう度聞くよ。君も好きなら、いうちに本に言ったほうがいい」

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