"2億円の幽霊屋敷で、腹ぺこの悪霊を雇いました" 第14話
今度は誰の音?
最初の客がったとき、の古い戸は交換するつもりだった。がゆがんで、がいと鳴る。寸法まで測ったが、朔はしばらく調べて、蝶番を戻せば使えると言った。
「はしてしまいたいくらい嫌ってたのに」
「はられなかったから。今はけたいときにけられる。置いといてもいい」
朔が戸を直したに、れに部番号がついた。側の窓もそろえ、泊まれる部が増えた。斗が方の友達を連れてきたとき、脚の欠けた座卓は捨てないでほしいと言った。朔は「残してもいいけど、見たいが自分で拭け」と答えた。
玄関脇に移して平にし、茶と湯を置いた。欠けた理由を聞かれたら、腹をすかせたがかじったんです、と答える。たいてい冗談だとわれた。台所から顔をし、あとの焼きなすも塩がりなかったと言うのは朔だけだった。
客をけてから初めてひと分の帳簿を締めた。売りげは、夜の肝試しだけで営業していたの3倍になっていた。帳面から顔をげると、朔が戸にもたれ、料をげてほしいといたを持っていた。
「いくら?」
「夜の分は別。閉めたあとも、そばにいろって言うがいる」
「それは残業。閉なら断っていいよ」
「引き受けるよ。がいくらすか聞いてるだけ」
笑って胸元にもたれると、のでさく音がした。
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聞き違えたかとって顔をげ、し待った。もう度。のくで、ゆっくり、確かに鳴った。
僕が黙ると、朔も肩に置いたを止めた。
「聞こえた?」
すぐには答えられなかった。朔が僕のを取って、自分の胸に置いた。布の触、そのの温かさ、さらに奥から、ひとつずつ打つ音が伝わる。
「いつ気づいたの?」
「さっき。おが帳面を度も計算して、ずっと笑ってただろ。おが笑うから机が揺れてるのかとった」
あの夜、朔の部で、枝が夜通し瓦をこすっていた。眠るまで待っても、2目の臓の音は聞こえなかった。今はを置くだけで分かる。なのに言葉がてこない。
朔は急かさず、僕のにをねた。やがて自分からづいて、「おのも速いな」と言った。
「うん。今度は、どっちのか分かる」
胸に頬を戻した。回まで数えて、料のをしくへ押した。今の帳面は終わった。続きはでいい。