みかん小説
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"深夜零時、本妻へ捧げた告発" 第1話

グローブボックスの脂の留め具が、カチリと湿ったさな音をててれた。

最の曜、刻は夜の分を回っていた。第京浜のり線、都筑パーキングエリアの型トラック用駐帯から吹き抜けるディーゼルの排気ガス混じりの気が、半きになった窓の隙から内へと忍び込んでいる。フロントガラスを打つは、ナトリウム灯のくすんだオレンジを滲ませ、ワイパーのゴムが拭い残した油膜のに無数の歪んだの輪を作っていた。

「ちょっと温かいものでも買ってくるね。遥はいつもの無糖のカフェラテでいい?」

そう言い残してをりた男の背は、黒い細のダウンジャケットと、首の覗くテーパードのスラックスに包まれていた。フードコートへとりに向かうその取りは、いかにも都会で、代半の若者特の軽やかなリズムを帯びているように見えた。

男が自ドアのいの向こうへ姿を消してから、まだ分も経っていない。

助席のシートにく背を預けていた瀬尾遥は、何気なくを伸ばした。に噛んでいたミントのタブレットがなくなっていることに気づき、コンソールボックスのを探ったが、見つからなかったからだ。普段は決してのの収納を漁るような真似はしない。

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だが、半ほぼ毎週末を共に過ごし、来のには互いの親に挨拶へこうと約束を交わしていた相のだ。慮という垣根は、とっくによい親密さへと溶け崩れていたはずだった。

助席の正面、膝のに位置するグローブボックスの蓋を引きげる。 内部には、検証を収めた黒いビニールケース、角止表示板の取扱説、そして埃をかぶったサングラスケースが転がっていた。その隙に、無造作につ折りにされた青い片が挟まっているのが指先に触れた。

何かの領収証だろうか。遥は指先を滑り込ませ、片を引き抜いた。 内灯を点けるのは躊躇われた。周囲のに覗き見られるような気がしたからだ。スマートフォンの画面をタップし、その青いを片のにかざす。

それは、京力の気料等領収証だった。 記載された送先の所は、京都目黒区――彼が暮らしをしていると遥に教え、何度か泊まりにったあの目黒のワンルームマンションではなかった。

『埼玉県越成町丁目……』

遥の線が、その所のにあるお客様氏名欄で凍りついた。

『柴崎 兼 様』

臓が、トクンとく、鈍い音をててねた。 柴崎? 兼? その名に、遥はまったく聞き覚えがなかった。 彼女が付きっている男の名は、相原蓮(あいはら れん)である。

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今で歳。目黒にある堅のデザイン制作会社でWebディレクターを務めた、昨のに独してフリーランスになったと聞いていた。

「友だちのを借りてきたのかな……」

遥は喉の奥でさく呟いた。自分の声が、驚くほど平坦で乾いていることに気づく。は、予もしない異常事態に直面したとき、まず最初に現実を都よく解釈しようとする防本能が働くらしい。蓮は自分のを持っておらず、するときはいつもタイムズのカーシェアか、親しい先輩のを借りていると言っていた。この――濃紺のマツダ・CX-5も、その先輩のものなのだろう。そう自分に言い聞かせ、片を元の所へ戻そうとした。

だが、指先がもう枚、検証ケースの底に隠されるように差し込まれていた類の端に触れた。 引きずりされたのは、自損害賠償責任保険証だった。 台番号、登録番号、そして契約者名。

『柴崎 兼』 所は、先ほどの領収証と同じ越の戸建て宅の番。 そして、その横にある契約者の欄。

『昭』

昭。 。

遥の界が、ぐらりと揺れた。 スマートフォンのライトを持つが微かに震え、青いが類ので刻みに揺する。 昭まれということは、暦で言えばだ。

今は何だ。〇。 計算が、のでうまく噛みわない。

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