"古希の夜、二人の嫁は手を引いた" 第8話
今のことについて話しいたいなら、血の繋がった息子で、責任を持って決着をつけなさい」
私はそれだけを言い捨て、通話を切った。
画面を暗転させると、テーブルの向かい側で夫がを抱えていた。
「……千里。週末、良太と会って話してくるよ」
夫の消え入りそうな声が響く。
「母さんをどうするか、でちゃんと話す。……おも、緒に来てくれないか? おがいてくれた方が、現実な話ができるとうんだ」
「きません」
私は即座に切り捨てた。
「どうして……」
「これまでは、私が先回りして段取りを組み、おを面し、親戚との緩衝材になってあげていたから、あなたたちは度も『親の老』という現実に向きわずに済んだのよ」
私は夫の目をたく見据えた。
「これは、あなたたち兄弟の親のよ。私を巻き込まないで、自分たちのとで考えなさい」
夫は反論の言葉を見つけられず、ただけなく俯いた。
曜。 夫と良太は、内のファミリーレストランできりの「族会議」をいた。
もちろん、私は歩もをなかった。 掃除をかけ、義母がって通しの良くなった階のに窓をけ放ち、溜まっていた洗濯物を片付ける。 の気配が消えたは、驚くほど静かで、どこか広々としていた。
午過ぎ。 織から、枚のスクリーンショットがLINEで送られてきた。
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良太から織に送られたメッセージの画面だった。
『母さんが膝が痛いって泣いてる。俺はから夜勤で無理だから、おの実で数預かってくれないか? おの母親もにいるんだから、寄り同士気がうだろ。しは男の嫁らしく気を利かせろよ』
画面のには、織のい返信が添えられていた。
『私は次男の嫁です。それから、先週から婚調だと何度言えば理解できますか? 度と私の実を巻き込まないでください』
わず、喉からたい笑いが漏れた。
自分の母親の面倒すら見きれず、別居の妻の実に押し付けようとする勝さ。 しかも「男の嫁」と「次男の嫁」の区別すら、都よく混同している。 この男たちにとって、嫁というき物は、記号化された「都の良い介護装置」でしかないのだ。
『本当にお疲れ様』
私がそう返信すると、織からすぐにスタンプが返ってきた。 泣き笑いの顔文字。 かつては反目しっているとい込んでいた義妹と、奇妙な連帯が芽えているのを実していた。
夜。 夫がい取りで帰宅した。 玄関のドアをける音からして、疲労と絶望が滲みている。
リビングのソファーに崩れ落ちた夫のに、私は温かい緑茶を置いた。
「どうだったの。も話しって」
夫は湯呑みを見つめたまま、くため息をついた。
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「……全然、話にならなかった」
「具体には?」
「良太のやつ、とにかく母さんをこのに戻したがってるんだ。『兄貴のなら部も余ってるし、千里姉さんの方が母さんの扱いに慣れてる』って……」
「で、あなたはなんて答えたの?」
「俺は……『千里にだって仕事があるし、そもそもここは千里のだ。おたち夫婦が引き取るべきだ』って言ったよ」
「そう。それで?」
夫は居悪そうにを縮めた。
「そしたら良太が……『織を説得して戻すから、それまでのヶだけでも預かってくれ』って。あいつ、織さんが婚調を取りげるとい込んでるんだ。『あいつはパート美容師で経済力がないから、脅せば戻ってくる』って……」
吐き気を通り越して、寒気がした。
「それで、結論はたの?」
「……なかった」
夫は力なく首を振った。
「で散々揉めたけど……結局、おや織さんがいないと、母さんの事をどうするか、病院へ誰が連れてくか、何つ決められなくて……」
「当たりでしょう」
私は淡に言い放った。
「あなたたちはこれまで、親の介護も、子供の世話も、々の事すら、自分たちのでやったことがないんだから。の成男性がを突きわせて、た結論が『嫁に押し付けよう』だけなんて、恥ずかしくないの?」
夫は顔を覆い、消え入りそうな声で呻いた。
「……母さんのが、国民だけで万ちょっとしかないことも、今初めてったんだ。
貯もほとんどないらしい。