"夫の「俺の奢り」は、私のカードでした" 第7話
「いや、親父、それは……事務な違いで……」
「違いでを追いされるわけがあるか!」耕造が杖で面をく突いた。乾いた音が埠に響く。
「俺の古希祝いだと言って連れてきておいて、これは体何の騒ぎだ! 説しろ!」
正斗の顔が、脂汗でテカテカとっていた。線が定まらず、母とと父のを激しく彷徨う。
「と、とにかくホテルへ移しよう! ここで話すことじゃない! なあ、彩、直、荷物を持て!」
義妹の彩は怯えたように目を伏せ、夫の直は無言でスーツケースを掴んだ。誰も正斗を庇おうとはしなかった。
配されていたメルセデスはもういない。のが、転がすのも困難な巨な荷物を抱え、流しのタクシーを台捕まえるまでに以をした。
到着したのは、内部からきくれた、汚れたつのビジネスホテルだった。当初予約していたつのパレスホテルなど、正斗の個座の即決済枠では到底がせなかったのだ。
フロントの狭いロビーに、が押し込められる。湿気のこもったカーペットの匂い。エレベーターすら狭く、スーツケースをつ乗せるのがやっとだった。
「私、自分で部を取るわ」望美がたく言い放った。
「望美! なんでだよ、部はつ取ったんだから……」
「冗談でしょ? 義理の両親と義妹夫婦がいる空で、狭いツインに押し込められるなんて耐えられない。
広告
自分の個カードで別のホテルを取るから」
「おい、待てよ望美!」
正斗の制止を無し、望美は自分のさなキャリーケースだけを引いて、さっさとタクシーを拾いにてった。り際、苗に向けられた線には、らかな侮蔑が宿っていた。
ロビーに残された苗は、埃っぽいソファに崩れ落ちた。全の関節が軋むように痛んだ。
その夜、京のオフィスで、私はパソコンの画面に向きっていた。夜のを回っていたが、フロアのかりを消す気にはなれなかった。
「藤沢取締役、こちらが野代表の広報企企に関する過期分の取引細です」川が、付箋のびっしり貼られたファイルを私のに置いた。
「ありがとうございます、川さん。夜遅くまで申し訳ありません」
「いえ。……見ての通り、自然な点がのようにてきました」川が指し示した項目に、私は静かに目を通していった。
価格の倍から倍に設定された広報コンサルティングフィー。実態のない企画に対して支払われた着。そして、そのすべての決裁欄に、正斗の承認印が押されていた。
「これらはすべて、正斗本部の単独決裁枠の限ギリギリで処理されています」川の声はく、しかし告発のみを帯びていた。
「会社のを、の会社へ法に還流させていたと見されても弁はできません。
広告
さらに今回のクルーズの請求……野代表の客を最ランクへアップグレードした差額、百万円。これも営業本部の交際費として申請されていました」
「……全部、見通しが甘いのよ」私は乾いた息を吐いた。
「バレないと本気でっていたのね。私が数字をえ、審な伝票を事に差し戻して守ってあげていたから。自分が能だから通っていたのだと、勘違いしていた」
「の朝番で、監査委員会を招集します。正斗本部の決裁権限の即全面止、および社内資産へのアクセス制限を提案します」
「めてください。温は切です」
川が礼してったあと、私のスマートフォンがく震えた。正斗からのメッセージだった。
『おのせいで族全員が最悪な目に遭っている。親父の体調が悪くなったらどう責任を取る気だ』『いい気になるなよ。帰国したら即刻婚だ。おみたいな酷な女、こっちから願いげだ』
画面に並ぶ罵詈雑言。胸の奥を覗き込んでも、痛みもしみも湧いてこなかった。あるのは、徹底な軽蔑だけだった。
窮に陥ると、すぐにのせいにする。親の体を盾にして、自分を正当化する。、私はこの男の幼稚さを「男のプライド」という言葉で包み隠し、繕ってやってきたのだ。
私は返信画面をき、く打った。
『解しました。