"実母の50万円、義母の500万円" 第9話
「あんた……私を取るから、を取る気満々だったのね」
義母は震える指先で夫を指差した。その瞳には、息子へのなど欠片も残っていなかった。
「は絶対に渡さないわ! 健太、司法士の先を紹介しなさい。あのはあんたに管理してもらうからね!」
「母さん、待ってくれ! 母さん!」
夫の鳴のような懇願を、義母は酷に無した。親戚同ので孝息子の板を失い、さらに当てにしていた実の相続権まで完全に消しんだのだ。
私は静かに席をち、畳のに広げた類を際よくバッグへ収めた。
「美咲! 待てよ美咲! お、ここまで俺に恥をかかせてタダで済むとうなよ!」
夫が鬼のような形相で私の腕を掴もうと迫ってきた。私は半歩を引き、その腕を氷のようにたい線で射抜いた。
「お義母さんの老をどうするかは、ご本と息子さんたちで話しってください」
私の凛とした声に、個の空気が張り詰めた。
「私の座にあるおを使う話は、最初からミリもしません」
「俺たちは夫婦だろ! 夫の顔を潰して何ともわないのか!」
「私の母の万円を『正気か』と罵り、自分の勝な相続のために百万円を騙し取ろうとした」
私は夫の目を真っ直ぐに見据え、切の迷いなく言い放った。
「それを、夫婦の助けいとは呼ばないわ」
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夫はぐうの音もず、脂汗を垂らしたままち尽くした。文伯母が「美咲さん、今まで苦労したね」とさく呟いたが、私はく礼しただけで、振り返ることなく個をにした。
料亭をると、夜の気が照った頬を撫でた。
私は迷うことなくタクシーを拾い、あらかじめ契約を済ませていたマンスリーマンションへと向かった。
夫と同居していた賃貸マンションには、もう度と戻らない。必な類やの回り品は、昨のうちにトランクルームへ移してある。
翌朝の、私は休暇を取得し、予約していた弁護士事務所のを叩いた。
応接で迎えてくれた女性弁護士に、夫自の借用、病院の正規細、そして通帳の写しを提示した。
「ごください、美咲さん。この百万円は、婚姻の預と実父の遺産であることが確に証されています」
弁護士のな言葉に、胸のつかえがすっと消えていくのをじた。
「ご主がどれほど夫婦の予備資だと主張しようと、法な特財産ですから財産分与の対象には切なりません」
「ありがとうございます。ただちに受任通の送付と、婚協議の始をお願いします」
私は迷わず委任状に署名と捺印をった。
午にはの窓へを運び、与の振込先を自分名義の単独座へ変更した。
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夫婦の共通座のキャッシュカードも回収し、活費の自引き落としをすべて止させる。
夫が私の財産に寄するパイプを、物理にも法にも完全に切断した。
数、弁護士からの受任通が届いた夫から、狂ったように着信が続いた。
私は切応対せず、スマートフォンの通をミュートにした。
すると夜遅く、見らぬ番号からショートメッセージが届いた。夫の社用携帯の番号だった。
『美咲、頼むから話にてくれ。の夫婦のは、百万円ぽっちに負けるのかよ!』
画面に浮かぶその文字を見た瞬、私の唇からたい笑みが漏れた。
の。自分から踏みにじっておきながら、都が悪くなるとにすがる。
私は通話ボタンを押し、度だけ受話器をに当てた。
「……美咲! やっとた!」
受話器越しに、夫のけないすすり泣きが響いた。
「頼むよ、弁護士なんて取りげてくれ! 母さんには縁を切られそうだし、親戚からい目で見られて会社にも居所がないんだ! おが戻ってきてくれないと、俺のはめちゃくちゃなんだよ!」
「違うわ、公平」
私の声は、真の氷のように澄み渡っていた。
「あなたは、私を妻としてではなく、自分のを都よく支える便利な備品として見ていただけよ」
「そんなことない! してたんだ!」
「私の母の万円を無駄と切り捨て、自分の勝な相続のために私の百万円を奪おうとした」