"夫の親孝行は、私の持ち家でした" 第13話
寄先を失った虫たちの、醜悪な絶叫。
親戚同の凍りついた線が、座で縮こまる修へと集した。
「ま、待てって! 浩、美智子さん、落ち着け! 俺がなんとかするから……!」
「どうやってなんとかするんだよ!」
浩の号がぶ。
「がねえんだろ!? 兄貴の稼ぎだけであのマンションが買えるわけねえじゃんか! 最初から嫁さんの実……いや、嫁さんの持ちをアテにしてただけじゃねえか!」
兄弟の罵りいを、私は腕を組んだまま、氷のような瞳で見つめていた。
胃の底に沈むのは、りではない。
あまりの浅ましさに対する、乾いた笑だけだ。
「……見苦しいわよ、浩」
突如、座から震える声が割り込んできた。
子だった。
訪問着の膝を両で握りしめ、青ざめた顔で私を睨みつけている。
「修はね、あなたたちのために良かれとっていてくれたのよ! なんで兄を責めるようなを利くの! 悪いのは全部――」
子はちがり、尖らせた指先をまっすぐに私へと突きつけた。
「全部、この嫁が欲だからでしょうが! 族が困っているのに、自分の名義だの何だのとし渋って! あなたさえを売る類に判を押せば、何もかも丸く収まるのよ!」
個のに、子の切り声が反響する。
親戚たちを見回し、同を求めるように首を振る義母。
だが、そのにいた親族の誰ひとりとして、子に頷く者はいなかった。
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本の叔父が、い溜息とともにいをいた。
「……子さん、いい加減にしなさい」
「叔父さん!?」
「真由美さんが結婚に自力で買ったを、なぜ修が勝に売れるとうんだ? それを『欲』と呼ぶなら、の財産をかすめ取って見栄を張ろうとしたおたちのほうこそ、浅ましいとはわんのか」
老の静かで峻厳な言に、子の顔がみるみるうちに赤黒く染まっていく。
私はバッグからスマートフォンを取りし、画面をタップした。
「浩さん、美智子さん」
がハッとして私を見る。
私は保していた画像を、座卓の央に滑り込ませた。
「美智子さんからいただいたLINEの履歴です。『居では私たちもずっとんでいいんですよね?』とありますね」
美智子の呼吸が喉で詰まる。
「そして、これが先ほど修さんが提示された資計画です。もう度よくご覧なさい」
私は面の最部を指先で弾いた。
「居の所権名義は『修単独』。浩さんたちの持ち分は厘もありません。費用負担の欄にも、あなた方の名はない」
浩が目を見き、類の文字を凝する。
「おわかりですか? 修さんは、私の財産で買ったにあなた方をタダでまわせるつもりだったのではない。自分の名義のにあなた方を『のがらない居候』として囲い、親族ので都のいい来として従わせるつもりだったのですよ」
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浩の線が、類から修へとねがった。
「……兄貴。お、俺たちを助けるフリして、最初から見す気満々だったのか?」
「ち、違う! 浩、誤解だ! 俺は男として――」
「何が男だ、この嘘つき野郎!」
浩が修の胸ぐらを掴み、座布団のへ引きずり倒した。
料理の鉢がひっくり返り、めた吸い物が畳に染みを作っていく。
「ふざけんなよ! 俺たちのアパートどうすんだよ! 敷も戻らねえし、次の部探すだってねえんだぞ! せよ、兄貴なんだろ!? 払えよ!」
「やめなさい浩! お兄ちゃんに何てことするの!」
子が叫びながらのに割って入ろうとし、をもつれさせて畳にをついた。
着物の裾が乱れ、結いげた髪が崩れ落ちる。
親戚たちは斉にちがり、関わりいを避けるようにずさりした。
本の叔母が、吐き捨てるように呟く。
「……けない。のの恥晒しだわ」
「修くん、会社で課になったと聞いてしていたが……は昔のまま、見栄っ張りの甘ったれだったんだな」
叔父の酷な言葉が、倒れ込んだ修のに突き刺さる。
修は畳にいつくばったまま、誰の顔も見げることができなかった。
私は提げバッグをに取り、静かにちがった。
埃ひとつ落ちていないネイビーのスーツをえる。
「修さん」
私のたい声に、いつくばっていた夫がびくりと肩を震わせ、顔をげた。