"亡き娘の純金バングルを、義母は義妹の再婚費用にしようとした" 第19話
季節は巡り、の寒さが緩み始めた、ひとつないの曜。
私は助席に奈緒を乗せ、ぶりに速をっていた。
助席の元には、真っなリンドウの束。そして、あのサービスエリアで買った、美咲が好きだったレモンの焼き菓子。
のあの、恐怖と混乱ので途絶えてしまったのりを、私たちは今、でんでいた。
霊園へ続く緩やかな坂を登り、納骨堂の静謐な扉をける。
柔らかなの漏れが、磨きげられた黒御のプレートを照らしていた。
『美咲 之霊』
に刻まれた女の名に、奈緒がそっと指先を触れた。
てにいリンドウを飾り、レモンケーキをお供えする。そして、奈緒は自分のバッグから、あのさな桐箱を取りした。
蓋をけると、には、あのアコヤ真珠のネックレスと、歳の記の純バングルが、静かに寄り添うように並んでいた。
「お姉ちゃん」
奈緒が御のに膝をつき、両をわせた。その瞳から、ひとすじの涙がこぼれ落ちた。けれど、それはしみや恐怖の涙ではなく、澄み切った、謝の涙だった。
「お姉ちゃんの事なもの、ちゃんと取り戻したよ。誰にも奪わせなかったよ」
奈緒は遺のの美咲に向かって、胸を張って微笑んだ。
「私ね、婚したよ。自分ので、ちゃんと歩き始めたよ。
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……お姉ちゃんが残してくれた、読んだよ。ずっとばかりしてて、ごめんね。でも私、もう丈夫だから」
が吹き抜け、堂内の々がサワサワと優しい音をてた。まるで、写真のの美咲が、「よく頑張ったね」と笑いかけてくれたような気がした。
「お姉ちゃん。私、ちゃんと帰ってきたよ」
奈緒の言葉が、静かな納骨堂に優しく染み渡っていった。
私は娘の隣に並び、静かに目を閉じてをわせた。
あのサービスエリアで見た。『お母さん、私のところに来ないで。妹のところへって!』
あの切迫した美咲の叫びが、今でもの奥に残っている。あれが本当に美咲の魂の導きだったのか、それとも娘を失った私のが見せただったのか、私には今でもわからない。
けれど、そんなことはどちらでもよかった。
あの、私は女に会いにくはずだった。
けれど、女の命に本当に会いにくべきだったのは、きているもうの娘だった。
失った娘は度と帰ってこない。その喪失の穴が、完全に埋まることはないだろう。
それでも、残された娘のを、今度こそ度とさずにいようとった。
くなった娘の物を守りにったつもりが。私は、きている娘のまで、取り戻すことになったのだから。
「お母さん、こうか」
ちがった奈緒が、私にを差しした。
その首には、傷ひとつない綺麗な皮膚のに、の柔らかな差しがり注いでいた。
「ええ、帰りましょう」
私は娘のをしっかりと握り返し、澄み渡る青空のへと歩きした。