"「魚臭いから焼肉屋へ」30人を連れ去った義妹が広めた嘘" 第1話
曜の午半。
広の畳のに、然と並べられたの会席膳。
座布団のには、誰として座っていない。
井の蛍灯が、々としたを落としている。氷のに盛り付けられた本鮪の赤が、温に晒されてしずつ脂の艶を失っていくのが見えた。
に当てたスマートフォンの向こうからは、鼓膜を震わせるほどの嬌声と、ビールジョッキがぶつかりう鈍い音が響いている。そして、じゅうじゅうと激しく肉が焼ける脂っこい音。
義妹・理恵の声は、どこまでも軽だった。
「あ、言ってなかったっけ? 焼肉に変更したの。だって、お義姉さんの、魚臭いんだもん」
喉の奥が、からりと音をてて乾いた。
厨の仕切りカーテンの隙から、板のさんがこちらの様子を伺っている。分の宴会のために、朝からへ同し、魚を捌き続けてくれた職のが、ピクリと止まった。
鳴り散らすことはしなかった。胸の奥で何かが急激にえていくのをじながら、私はただ、静かに息を吸った。
「……そう。分かった」
「あは、分かってくれて助かる〜! じゃ、こっち盛りがってるから切るね!」
プツリと通話が切れた。
ツーツーという無質な子音だけが、誰もいない広に響き渡る。
「……女将さん」
アルバイトの佐々さんが、怯えたような声で私を呼んだ。
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まだ学の彼女は、お盆を胸ので抱きしめたまま、ち尽くしている。
「これ……どうするんですか」
元からいがってくる気をねじ伏せ、私は努めて平坦な声をした。
「まだを通していない材で、の昼に回せるものはすぐに蔵庫へ。盛り付けてしまって、持ち越せないものは……すべて廃棄に回します」
「女将さん! いくら内だからって、そりゃあんまりだ!」
さんが包丁をまな板に叩きつけた。温な職が、顔を真っ赤にして肩を震わせている。
「朝番で仕入れた然の鯛ですよ! 予約のために常連さんの予約を組も断ったんですよ! それを、魚臭いから焼肉だぁ!? ふざけるのも概にしやがれ!」
「さん」
私は静かに職を制した。
「っても、魚への支払いは消えません」
その言葉に、厨がしんと静まり返った。を荒らげている暇など、秒もなかった。
私はスマートフォンを構え、つかずのまま並ぶ分の料理を、あらゆる角度から撮した。座席に置かれたままの「〇〇同窓会」の式次第、名札、付かずの椀物からちる湯気。すべてが、理恵というが引き起こした損害の確定な証拠だった。
客単価千円。名で万円。さらに、断ってしまったのお客様の売と、臨に呼んだアルバイトの件費。
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零細の個料理にとって、夜で数万円の穴が空くことが何をするか。理恵は何も分かっていない。
ただの甘え。いつものが儘。いつもの、内に対する軽な搾取。
そう自分に言い聞かせ、痛むこめかみを押さえながら片付けの指示をしていただった。
帳に置いてある固定話が、けたたましく鳴り響いた。
計の針は、午分を指していた。理恵から話があってから、ちょうど分が過ぎていた。
「はい、魚でございます」
受話器を取ると、話の主は名乗るに、異様なまでにく沈んだ声で言った。
「……魚の、奈緒さんか」
聞き覚えのある、ししゃがれた声だった。同じ駅商の裏で、炭焼肉「牛吉」を営んでいる主の森田だった。
商の組の会で顔をわせる程度で、個に親しく話したことはほとんどない。個同士、互いに客を取りうライバル関係とも言える相だった。
「はい、藤本ですが……森田さん、何かご用でしょうか」
受話器の向こうから、苦しい沈黙が返ってきた。くで、換気扇の回るい音と、賑やかな客たちの笑い声が聞こえる。森田のも、今まさに曜の夜のピークを迎えているはずだった。
森田は、周囲を極度に警戒するように声を落として言った。
「失礼を承で聞く。
……おの、さっき毒をしたのか?」
臓が、ドクンとねがった。
「……は?」
「とぼけないでくれ。