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"4000円を頼んだ私に、死んだはずの父から4000万円" 第4話

「単刀直入に申しげます。昨お送りいたしました千万円は、条先の個資産から拠された、純粋な『先支援』でございます」

「支援……?」

「はい。返済の義務はございません。また、これを受け取ったからといって、何らかの契約や条件に同したとみなすような性質のものでもございません。梨様とお母様の当面の活費、および度な医療を受けるための費用として、まずはお元に置いていただきたいというのが、条先のご向です」

私はテーブルのの類を見つめた。文字が然と並んでいる。だが、その丁寧な文面のから、透けて見える傲さに吐き気がした。

「を、馬鹿にしないでください」

私は類を押し返した。

「座番号をどうやって調べたのかりませんが、見ずらずのから、いきなり千万円を振り込まれて『はい、そうですか』と受け取るがどこにいるといますか? 私たちは貧しいですが、施しを受ける筋いはありません」

杉浦弁護士は眉ひとつかさず、静かに私を見つめ返した。

「梨様。お調べになったかもしれませんが、条先は、国内で数の級ホテルをチェーン展する『条リゾート』の創業者であり、会でいらっしゃいます」

っている。昨夜、夫が寝静まったあと、暗い台所でスマートフォンの検索窓にその名を打ち込んだ。

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画面に現れたのは、財界の鎮として経済誌の表を飾る、髪の老紳士の姿だった。格式いホテルのロビーで、完璧に仕てられたスリーピーススーツを着て、自信に満ちた笑みを浮かべている男。総資産数億、政財界にも顔が利く名士。

それが、私の「父親」の正体だった。

のに、母の姿がなった。の朝、痛む膝を引きずりながら堂の勝をけていた母。たいで米を研ぎ、赤くひび割れた指先に絆創膏を何にも巻きつけていた母。子どもの頃、友達が持っているようなしい文具をねだるたび、申し訳なさそうに眉をげて「来ね」と呟いていた母。

油の染みたエプロンを何度も縫い直し、私をで育てるために、をにしてすり減らしていった母の。

そのの隣で、この男は、豪華絢爛なホテルのスイートルームでシャンパンをんでいたのだ。

喉の奥が、焼けるようにくなった。

「富豪だから何なんですか? 持ちなら、放置した娘に札束を投げつけて、それで父親面ができるとでもっているんですか?」

私の激しい言葉にも、弁護士は取り乱す様子を見せなかった。ただ、元の帳をき、淡々と言葉を継いだ。

「条先は現、末期の膵臓がんを患っておられます」

臓が、トクンと嫌な音をてた。

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「余命は、くて半と宣告されております。ご自のを清算されるで、どうしても奈様にお会いし、過の過ちをお詫びしたいと……そう切望されているのです」

弁護士は内ポケットから、箔のエンボス加が施されたな封筒を取りした。

「の午、都内の『ホテル・クジョウ京』の特別でお待ちしております。くかかないかは、奈様の自由です。ですが、もしお越しいただけるなら、先はすべてをお話しするおつもりです」

封筒が、テーブルのに置かれた。触れなくてもわかるほど、質なの匂いがした。

「千万円を返されるかどうかも、直接先にお会いになってからお決めいただいて構いません。ただ……度だけでいいのです。老い先い老の最の願いだと、そうっていただけないでしょうか」

杉浦弁護士はくをげ、伝票をに取って席をった。ラウンジの柔らかな接照の、私のには、あの々しい封筒だけが取り残されていた。

アパートへ戻ると、母は疲れた顔で眠っていた。スーパーの夜勤のパートを休むわけにはいかず、私はいつものように油の匂いが染みついた制に着替え、バックヤードで黙々とキャベツの千切りを作り、フライヤーのにった。

ジュワジュワと激しい音をてて揚がるコロッケ。

千円。汗を流して、ようやくコロッケ個分の稼ぎ。

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