"「次男にこの家を譲ります」義母が宣言したのは私名義の家だった" 第6話
「健太が、あなたにそう言ったのね?」
「はい……。だから俺、商社とリース会社の担当者に言っちゃったんです。『来週親族会議があって、兄の妻が所している横浜の建物を根抵当に入れて融資を引き直す筈になっている。登記識別報も来週には揃うから、曜の差押えだけは待ってくれ』って……」
「……馬鹿なことを」
わず、徹な声が漏れた。
「義姉さん、頼みます! 嘘だったなんてバレたら、曜の朝番で信用関に事故報が回る! の座も止められて、形も落ちない! 俺、本当に首をくくるしかなくなるんです!」
話から、のの泣き声が漏れ聞こえてくる。
だが、私のには、滴の同も湧かなかった。
「亮介さん、よく聞きなさい」
私はえ切った指先で、テーブルの角をく押さえつけた。
「曜の朝、担当者に話しなさい」
「え……?」
「『所者である義姉から正式に担保提供の拒絶を受けた。産担保の差し入れは能だ』と、自分ので正直に伝えなさい」
「な……っ!? 義姉さん、何言ってるんですか! そんなこと言ったら、うちが潰れるって今言ったじゃないですか!」
「あなたのの経営責任は、あなたにあるの」
私は言言、氷を削るような調で言い渡した。
「私が度も承諾していない産を勝に担保予定として吹聴し、支払いを猶予させるなんて、法には派な詐欺為よ。
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私の承諾のない担保設定なんて、どこの融関も通さない。もし曜の朝までにあなたが自分で訂正しないなら、私から直接、その商社とリース会社に内容証を送るわ」
「な……っ、義姉さん!」
「『所者である藤澤美咲は、当該物件の担保提供および物保証に切同していない』とね。そうなれば、あなたは支払いの猶予を失うだけでなく、虚偽の説をしたとして完全に信用を失うわよ」
「待ってくれ! 頼むから待ってください! 兄貴は『絶対になんとかなる』って言ったんだ! 兄貴と母さんが、美咲さんを説得して類に判を押させるからって、そう約束したんだよ!!」
受話器の向こうの絶叫は、もはや願ではなく、裏切られた子供のパニックだった。
「私の代わりに返事をする権利は、健太にも、お義母さんにもない」
そう告げて、私は無質に通話終ボタンを押した。
静まり返ったリビング。
の奥で、自分の激しい鼓だけが鳴り響いていた。
夫は、弟の破滅が曜に迫っていることをっていたのだ。
だからこそ、あの料亭の席で、あそこまで焦って堀を埋めにかかった。
親族ので私を孤させ、逃げを奪い、のうちに実印を押させるために。
の善と財産を、体何だとっているのか。
私はちがり、の襖を乱暴にけ放った。
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「起きて」
暗ので、布団にくるまっていた夫がビクッと肩を揺らした。
「……何だよ、夜に……」
「起きて。亮介さんと話したわ」
その言で、夫のきが完全に止まった。
寝返りを打とうとしていた体が、のように直していくのが、暗がりのでもはっきりと分かった。
けて曜。
朝を回った頃から、私のスマートフォンは休むもなく鳴り続けていた。
液晶画面に表示される名は、昨の宴席にいた親族たち。
夫の従兄弟、埼玉の叔父、そして――昨の席で最も声で亮介を祝福していた、義父の妹である敏子叔母さん。
ため息を吐きし、通話ボタンをスライドさせた。
「はい、藤澤です」
『あ、美咲さん? ちょっと、どういうことなの昨のあれは!』
元を突き刺すような甲い声。
気遣いや労りのなど微もない、無慮な世体の刃だった。
『今朝、子さんから泣きながら話があったわよ! 美咲さんが急にを渡さないって言いして、亮介ちゃんを追い詰めようとしてるって!』
「叔母さん、落ち着いてください。昨の話ですが――」
『落ち着いてなんていられないわよ! あそこはずっと、お兄さんがくなってから子さんが守ってきたおでしょう? 親戚の法事だって、お盆の集まりだって、みんなあのおでやってきたのよ。それを今更、嫁の持ち物だから歩も譲らないなんて……あなた、藤澤の恩を何だとってるの?』
藤澤の、恩。
喉元までかかったりの炎を、私は徹な理性で押し殺した。