"「お母さんのところに行きたい」9年後に届いた娘の声" 第4話
修司の言葉を信じ、調委員の言葉を信じ、「あの子が望むなら」と物分かりの良い母親を演じて、を引いた。
引き止める結のさなを、私の方から振り払ったのと同じだった。
震える指で、に落ちた誠さんのをもう度引き寄せた。 涙で文字が滲んで読めない。袖で乱暴に目を擦り、続きのを追った。
そこには、さらに残酷な真実が記されていた。
『あの録音を取った夜、俺は兄貴に激しく問い詰められました。 兄貴は俺のから録音を奪い、絶対に真紀さんに渡すなと命令しました。 「子供が度決めたことを蒸し返すな。結の将来を壊す気か」と鳴られました。 俺は、兄貴の会社で働かせてもらっていた、逆らうことができませんでした。
真紀さん、本当に申し訳ありません。 俺が隠していたのは、録音だけではありません。 結ちゃんが歳と歳の、あなた宛てにいたが通、まだ俺の元にあります。 それも全部、兄貴がポストから抜き取り、俺に処分しろと押し付けてきたものです。
結ちゃんは今、埼玉のデザイン会社で働いています。 暮らしをしています。 でも、結ちゃんは今でも信じています。 歳の、自分がお母さんを求めて泣いていたのに、お母さんは度も迎えに来てくれず、しいを選んで自分を捨てたのだと。
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結ちゃんは、あなたをみながら、になってしまいました』
「……そんな」
を持つが、激しく波打った。
の最に、桁の携帯話の番号がかれていた。 誠さんの番号だった。
壁の計を見る。夜のを回っていた。 たいフローリングの気が、膝から太ももへといがってくる。
私はスマートフォンを握りしめ、震える親指でその番号を打ち込んだ。
呼びし音が鳴る。 度、度、度。
息が止まりそうになったその瞬、カチャリと通話が繋がった。
『……はい』
受話器の向こうから、あのの夜と同じ、ひどく掠れた誠さんの声が聞こえてきた。
「……誠さん」
自分の声が震えて、うまく音にならなかった。 受話器の向こうで、さく息を呑む気配がした。
「……、読みました。録音も、聞きました」
静寂が落ちた。 誠さんの荒い呼吸だけが、元で擦れるように響いている。
「……すみません。本当に、すみませんでした」
言い訳はなかった。 かつて私をたく見ろしていた男の面は、どこにもなかった。
「あの、俺が兄貴に逆らって渡していれば、こんなことにはならなかった。全部、俺がかったせいです。兄貴の会社で料をもらっていて、見捨てられるのが怖くて……兄貴の言う通りにするしかなくて」
「結は」
遮るように、声がた。 指先がたく張り、スマートフォンの角がのひらに痛いほどい込む。
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「結は今、どこにいるの。……会わせてくれる?」
話の向こうで、誠さんが息を詰まらせた。 い沈黙のあと、い声が返ってきた。
「……所や話番号を、俺のから勝に教えることはできません」
「どうして」
「結ちゃんはもう、歳のの女性です。誰にも頼らず、自分で働いて部を借りて暮らしている。俺たちが勝にをいじくり回したせいで、あの子はずっと傷ついてきたんです。これ以、親の都で振り回すわけにはいかない」
胸の奥を、鋭い刃物で突かれたような気がした。
誠さんの言う通りだった。 歳のあの子を置きりにしたのは、ならぬたちだ。 の空を無して、母親の権利を振りかざし、突然押しかけることなど許されるはずがなかった。
「……わかった。無理に聞きそうとはしない」
喉の奥の渇きを堪えながら、必に言葉を絞りした。
「でも、誠さん。これだけは伝えてほしいの。もし、あの子が度でも話してくれる気があるなら、私はいつでも待っていると。……会いたくないなら、断ってくれていい。突然現れたりもしない。それだけ、伝えてくれないかな」
誠さんはしばらく押し黙っていたが、やがて「わかりました」とく答えた。
「俺から結ちゃんにメールを送ってみます。返信があるかどうかは、分かりません。
でも……必ず伝えます」
通話を切ったあと、私は部のかりもつけず、暗のに座り込んでいた。