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"姉の身代わりで謝罪したら「最初からあなたをご指名です」" 第15話

言われなければ、私は自分がどれほど傲なことを言ったのか、気づけないままでしたから』

松本さんの声に、しだけ柔らかな温もりが戻っていた。

「私、もっと松本さんとお話ししてみたいです。お互いの仕事のことや、々の暮らしのことを、対等なで」

『はい。ぜひ、そうさせてください』

話を切った、私はデッキのたい空気ので、々と息を吐いた。 胸の奥に吹き荒れていた枯らしが、いつのにか穏やかなに変わっていた。

誰かに寄りかかるためではなく、自分のでちながら、誰かとを携えること。 その輪郭が、初めておぼろげに見えたような気がした。

だが、その温もりは、実の玄関をけた瞬に無残にも吹きばされた。

川越の自宅に着いたのは、夜のを回った頃だった。 父親の病院の付き添いをすっぽかし、野へ無断でったのだ。 どれほどの修羅が待っているか、鳴り声と平打ちを覚悟して引き戸をけた。

「ただいま……」

呟いた私の界にび込んできたのは、異様な景だった。

たたきから廊にかけて、とりどりの呂敷包みや、級菓子の袋、さらには桐箱に入ったマスクメロンの籠が、所狭しと積みげられていたのだ。 のしには、達な墨文字で『御祝』『寿』の文字が躍っている。

……何、これ?

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状況がみ込めずち尽くしていると、リビングの引き戸が勢いよくいた。

「あら! 奈緒! 遅かったじゃないの!」

エプロンをつけた母が、見たこともない満面の笑みを浮かべてりで駆け寄ってきた。 普段の、私を睨みつけるような険悪さは微もない。 まるで凱旋した英雄を迎えるかのような、気の悪い歓に満ちた表。

「ちょっとあんた、なんで野にくって最初から言わなかったのよ! くさいったらありゃしない!」

「……え?」

母は私の腕にすがりつくようにして、ぐいぐいとリビングへ引っ張り込んだ。

リビングに入ると、さらに信じられない景が広がっていた。 普段は物の発泡酒しかまない父が、級な純米吟醸の瓶をテーブルに置き、嫌で顔を赤らめている。 そしてソファには、腕を組みながら、氷のようにたい目でスマートフォンを睨みつけている姉の綾がいた。

「お父さん、奈緒が帰ってきたわよ!」

母が黄い声をげる。 父は嬉しそうに目尻をげ、私に向かって招きした。

「おお、奈緒。ご苦労だったな。曇野はどうだった。松本さんのところの息子さん、しっかりした跡継ぎだったろう」

昨夜まで「親を見捨てるのか」「恥を晒すな」と鳴り散らしていたたちと同物とは、到底えなかった。

「お母さん……これ、どういうこと? 玄関の荷物は……」

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私が恐る恐る尋ねると、母は待ってましたとばかりに胸を張った。

「どういうことも何もないわよ! 昼、仲の吉田専務の奥様からお話があったのよ!」

母は興奮のあまり、唾をばしながらまくしたてた。

「松本さんのところのね、ただの田舎のジャムじゃないんですってね! 座の名百貨や、流ホテルのレストランに直納してる、信州でも数のブランド企業なんですって! 自社農園も広なを持ってて、無借経営で元じゃ名士の系らしいじゃないの!」

の芯が、ツンと痛んだ。

「吉田専務の奥様がね、『奈緒さんなら、あの堅実な松本の嫁として申し分ない。悠真さんもすっかり奈緒さんを気に入っていらっしゃる』って太鼓判を押してくださったのよ! もう、それを聞いた瞬、お母さん鳥肌がっちゃって!」

「だからって、あの玄関の贈り物は……」

「親戚に話したのよ!」 母は何の悪びれもなく言い放った。 「群馬の伯母さんにも、横浜の叔父さんにも! うちの奈緒が野の優良企業の社に嫁ぐことになったからって! そしたらみんな、お祝いだって言って慌ててあんなに送ってきたのよ! がいわぁ、川からもやっと経営者の嫁がるなんて!」

吐き気がした。

昨まで「奥の貧乏男」「ろくでもない縁談」と見していた相の素性が分かった途端、のひらを返して親戚に触れ回る。

その浅ましさと図々しさに、全の毛穴からや汗が吹きしそうだった。

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