"姉の身代わりで謝罪したら「最初からあなたをご指名です」" 第12話
表面加をして、スリーブ(帯)にだけいのあるを使って刷りにすれば、印刷の型代も半分以に抑えられますし、組みてのも今の分のになりますよ」
気に話し終えて、私ははっとに返った。
……やってしまった。 初対面にい相の仕事に、素がを挟むような真似をしてしまった。 実で母から「あんたは余計なしばかりする」と叱られてきた記憶が、サーッと背筋をたくした。
「あ……ご、ごめんなさい! 私、専でもないのに、偉そうに勝なことを……!」
私が慌てて箱を置き、両を振って謝ると。
松本さんは、目を丸くしたまま、かなくなっていた。
数秒の沈黙の。 松本さんの顔に、信じられないものを見たような、驚嘆とびがじわじわと広がっていった。
「……すごい」
松本さんのから、掠れた声が漏れた。
「奈緒さん、それです。まさに、現のパートさんたちから『組みてにがかかりすぎる』と言われていたんです。それに、箱さんに相談しても『もっといにしましょう』としか言われず、コストがねがる方で悩んでいて……」
松本さんは、テーブルのの箱をおしそうに見つめ、それから私に向き直った。 その瞳は、のような純粋なを帯びていた。
「奈緒さんは、本当にすごいですね。事務のお仕事とおっしゃっていましたが、箱の構造やの性質まで、そんなにく理解されているなんて……」
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「い、いえ……私の勤めている印刷会社、品や化粧品のパッケージの受注がくて……職さんたちがよく『の目を見ろ』って鳴りっているのを、毎現で見ていただけですから……」
恥ずかしさで顔からがそうだった。 けれど、胸の奥底で、誇らしいがさく弾けた。
私が、埼玉のさな印刷会社で、に、真面目に積みねてきたは、無駄じゃなかった。 誰かの役にち、誰かに必とされる識として、確かに私のに根を張っていたのだ。
「参ったな」
松本さんは、底嬉しそうにを掻いた。
「今、奈緒さんをお招きして、本当によかった」
その笑顔があまりにも眩しくて、私はさく俯いた。 が差し込む作業に、甘い果実のりが満ちている。 ここには、私を傷つけるは誰もいない。 私の言葉を否定するも、私のを奪おうとするもいない。
この所に、ずっといたい。 瞬、そんな甘やかな考えがをよぎった。
けれど。
曇野ののはかった。 あっというには夕に包まれ、穂駅のホームにはええとした夜が吹き始めていた。
「今は、本当にありがとうございました」
改札ので、松本さんが私に提げ袋を差ししてくれた。 には、で作られたジャムの瓶と、芳さんが持たせてくれた作りの野沢菜漬けが入っていた。
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「こちらこそ、何のお構いもできず……でも、とても楽しかったです。お母様にも、よろしくお伝えください」
「はい。母も、また奈緒さんに来てほしいとんでいました」
松本さんはそう言って、の案内板を見げた。 埼玉へ戻る、り列の刻がづいている。
ホームへ向かう改札をにして、私はを止めた。 ここを通り抜ければ、またあの息の詰まる実へ、母と姉の待つあのたいへと戻らなければならない。 が、鉛のようにかった。
「奈緒さん」
背から、松本さんの声がした。
振り返ると、松本さんが真剣な差しで私を見つめていた。 灯のので、彼の黒目がちの瞳が揺れている。
「今の箱の話、本当に助かりました。それで……もしよかったら、ですが」
松本さんは、し躊躇うように言葉を選び、それから、を決したように言った。
「奈緒さん。もしよろしければ……これからも、のパッケージやデザインのこと、見に来てくれませんか」
「え……?」
「奈緒さんのような方が、そばでの仕事を伝ってくれたら……本当に、いとうんです」
――伝ってくれたら。
その言葉が、私のの奥にび込んできた瞬。
ドクン、と臓が嫌な音をててねた。
の芯が、すうっとたくなっていく。
伝ってくれたら。 伝い。 都のいい、伝い。
『あんたは気が利くから』 『あんたが代わりにやっておきなさい』 『伝うのがあんたの役目でしょ』