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"姉の身代わりで謝罪したら「最初からあなたをご指名です」" 第4話

そして何より――袋の底のまつり縫いは、お世辞にもとは言えないほど、縫い目が揃いに歪んでいた。

私の息が止まった。

「これ……私が、縫ったやつです……」

を卒業したばかりの頃、祖母の真似をして、持ちの端切れで初めてで縫いげた巾着袋だ。 売り物にはならないからと、祖母が「お守り代わり」としてクラフトの資材カゴに入れていたものだった。

「完売したの夕方、お祖母様が『これ、うちの器用な孫が懸命縫ったんだけど、あげるよ。瓶入れにちょうどいい』と、私に持たせてくれたんです。以来、のデスクの引きしに、ずっとしまってありました。仕事でき詰まるたびに、これを見て、あのクラフトのの温かさをいしていたんです」

松本さんの声は、どこまでも澄んでいて、静かだった。

「半ほど、元のクラフト作の集まりで、お祖母様が数にくなられたことをりました。そして、あののお孫さんが、今も埼玉で会社員をされていて、独でいらっしゃることも」

「それで……仲さんを……?」

「はい。共通のを通じて、正式に『川の次女、奈緒さんにお見いを申し込みたい』とお伝えしました。私の元やの経営状態、族構成をいたも、すべてあなた宛てにお送りしたはずだったんです」

ので、バラバラだったピースが気に繋がった。

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仲から川に届いた封筒。 父も母も、まともにを読まなかったのだ。 「野の品加会社の跡継ぎ」という肩きだけを見て、勝に「まずは好条件の女に」と気をしたのか。 あるいは、「次女の奈緒にご指名」などという事実が、母のプライドにとって受け入れがたいものだったのか。

いずれにせよ、川ので、私の名は最初から図に握りつぶされていたのだ。

「……私の実では、姉がすべてなんです」 気づけば、私の目からポロポロと涙がこぼれ落ちていた。 喫茶のテーブルので、みっともなく両で顔を覆う。

「姉は美で、仕事もできて、両親の自で……私は、その引きて役でしかありませんでした。今も、姉がきたくないと喚いたから、私がをかぶるためにここに来たんです。私なんか、誰かに選ばれるようなじゃない……ずっと、そうってきてきました」

喉の奥から絞りされる、溜め込んできた私の澱。 初対面の男性のでにするようなことではない。 くて、暗くて、みっともないの話だ。

嫌われるに決まっている。 そうってを縮めた私の界に、松本さんのがそっと差し伸べられた。

彼のには、清潔ないリネンのハンカチが握られていた。

「誰かの代わりなんかじゃありませんよ」

松本さんは、私の目をまっすぐに見て、言った。

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「私は、今ここに来てくれたのが奈緒さんで、本当によかったとっています」

その言葉が、私の凍りついていた胸の奥に、あたたかいお湯のようにじんわりと染み込んでいく。

「でも、誤解しないでくださいね」 松本さんは、ハンカチを受け取った私を見て、し照れくさそうに笑った。

「昔のいがあるからといって、あなたに結婚をするつもりは毛ありません。昙野はいですし、私の仕事も、決して楽な商売ではありませんから。ただ……もし奈緒さんがよろしければ、のとして、連絡先を交換していただけませんか。お互いの今の暮らしを、しずつっていくところから始めさせてほしいんです」

救い主のような言壮語でもなく、勝な押しつけでもない。 対等な、ひとりのとしての誠実な申しだった。

私はハンカチでそっと涙を拭い、さく、けれどしっかりと頷いた。 「……はい。私でよければ、んで」

喫茶をた、川越のにはが差し込み、古い蔵造りの並みを朱に染めげていた。 のを気にする松本さんを駅の改札まで見送り、くお辞儀を交わして別れる。

胸の奥が、信じられないほど軽かった。 まるで、背負い続けてきた見えない鉛のを、ほんのしだけろせたような覚。

その余韻を切り裂くように、バッグのでスマートフォンがけたたましく震え始めた。

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