"車椅子の看板娘と一億円の代償" 第17話
ちなみに、俺はあの、実犯である獅原淘汰が自害してこの世をったことについては、ナツさんや蒼井ちゃんには切伝えていなかった。
彼女たちに伝えたのは、ただ言、「蒼井ちゃんを傷つけた実犯は、警察の管轄で完全に捕まえ、度と世にられないように処分した」ということだけだ。
犯が最期まで反省も悔もせず、狂気のまま命を絶ったという醜悪な真実など、これからの未来をきていく彼女たちがる必はどこにもない。無駄なの荷を背負わせる必は、これっぽっちもなかったのだ。
「あ、そうそう、かず君」
ナツさんが嬉しそうに目を細め、厨の奥へと線を向けた。
「蒼井ね、その寄付の活がきっかけで、施設の方たちやボランティアの若いたちと々と関わるようになったのよ。をもらったり、お礼を言われたりしてね……」
「へえ……! そうなんですか」
「ええ。よりもずっと笑顔が増えてね、最じゃ『私、リハビリを頑張って、将来は困っているを支えるカウンセラーになりたい』なんて言いしているのよ。しずつだけど、歩器を使って歩く練習も始めているの。……全部、あの子の笑顔が戻ったのも、それがきっかけだとうのよ」
ナツさんの言葉に、俺の胸はいもので満たされた。
に、奥の引き戸がき、子に乗った蒼井ちゃんが顔をした。
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膝掛けはもう掛けられておらず、髪は綺麗に切り揃えられ、頬には健康な赤みが差していた。彼女はカウンターに座る俺の姿を認めるやいなや、瞳を輝かせ、満面の笑みを浮かべてを振ってくれた。
「かず兄ちゃん! いらっしゃい!」
その澄み切った、屈託のない声を聞いた瞬、俺の界が微かに滲んだ。
あの、絶望の底で凍りついていた女の魂が、確かに今、を取り戻してへと歩みしていた。
ナツさんはそんな娘の姿をおしそうに見つめた、再び俺に向き直り、両をで揃えて々とをげた。
「本当に……本当にありがとうね、かず君。あなたのおかげよ」
「いえいえ……そんな、俺なんてしたことはしていませんよ」
俺は照れ笑いを浮かべながら、運ばれてきた々のキツネうどんに割り箸を伸ばした。
ふっくらとした油揚げをに含み、滋あふれる汁を喉へと流し込む。全に温かな力が満ちていくのをじる。
これからも、このできる々が、理尽な暴力に怯えることなく、平に笑って暮らせるをつくりたい。そして、その平穏を脅かすがいるならば、俺は何度でも、この命を賭してを被り、盾となろう。
ちるい湯気の向こうで微笑むナツさんと蒼井ちゃんの姿を見つめながら、俺はから、静かにそう誓っていた。