"「私はいつ休めるの?」に夫は「家にいるだろ」と返した" 第19話
私は洗面台の鏡を見げた。 そこには、目のにクマを張り付け、怯えた獣のように周囲を警戒していた女の姿は、もうなかった。
く、く、息を吐きした。 肺のに溜まっていた数ヶ分の澱が、綺麗に抜け落ちていくような気がした。
夜。 悠斗は夫のによってお呂に入り、ミルクをみ干し、ベビーベッドので穏やかな寝息をてていた。
器の片付けを終えた夫は、「の朝のゴミ、まとめておくわ」と言ってキッチンへ向かい、ペットボトルを潰すリズミカルな音をてている。
私は、誰もいないリビングのソファに腰をろした。
脱ぎ捨てられたジャケットも、丸まった靴もない。 く体を沈めると、クッションが柔らかく背骨を受け止めてくれた。
テーブルのには、先ほど淹れたばかりのマグカップがひとつ。 ほうじ茶のばしい湯気が、ふわりと井へ向かってちっている。
両でカップを包み込む。 じんわりとした温もりが、指先からのひらへ、そして腕を通って胸の奥へと広がっていく。
、をつける。 温かい。
誰にも邪魔されない。 泣き声に怯えて途で置くこともない。 め切った液体の表面に絶望することもない。
私は、ソファにくく寄りかかりながら、目を閉じた。
かつての私は、結婚活における幸せとは、誰かに「養ってもらうこと」
や「守ってもらうこと」だとい込んでいた。 しているという甘い言葉や、たまの、記のプレゼント。そんなわかりやすい記号のに、幸福があるのだと信じていた。
けれど、違った。
本当の幸せとは、もっと臭く、もっと静かで、途方もなく現実な所にある。
自分の活を、に丸投げしないこと。 の活を、無制限に背負い込まないこと。 そして。
の終わりに、ただらかに腰をろし、もう度と別の誰かの尻拭いをしなくていいという確信ので、杯の温かいお茶を最までみ干せること。
目をけると、静まり返った部の向こうで、夫がゴミ袋のをぎゅっと縛る音が聞こえた。
私はマグカップを持ち直し、温かいお茶を、最の滴までゆっくりと喉に流し込んだ。