"父親になりたくないなんて、一度も言ってない" 第6話
だとっていた。
。 すぎるだった。 お互いに歩み寄り、理解しってきたとっていたは、ただの壮な勘違いのに成りっていた。 夫は私が変わるのを待ち続け、私は夫が私を理解してくれたとい込んでいた。
「……斎のデスク、買うのやめるね」 私は取り図を、ゆっくりとプラスチックケースのに戻した。
「え?」 夫が顔をげる。
「この部、斎にはしない。……何にも、しない」
こんな文字が残された部に、自分のデスクを置いて仕事なんてできるはずがなかった。 この部は、斎にもなれない。 そして、子ども部にもなれない。
私たちののすれ違いと、押し殺された願望だけが詰め込まれた、ただの空っぽの空。 それが、この部の本当の名だった。
夫は何も言わなかった。 引き止めもしなかったし、「気にせず斎にしろよ」とも言わなかった。 ただ、力なく垂らした夫の指先が、さく震えているのを、私は界の端で見ていた。
窓のでは、晩の暗いが空を覆い始めていた。 もうすぐ、たいがりそうだった。
「悠介おじちゃん、見て! 幹線、できた!」
歳になる男の子が、プラスチックの青いレールをく掲げて叫んだ。 曜の午。 学代からの友である真紀の自宅リビングは、とりどりのと、皿に盛られたフルーツサンドで埋め尽くされていた。
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「すごいな、颯太。これ、自分で繋げたのか?」
夫はフローリングに胡をかき、男の子と同じ目線まで顔をづけて笑っていた。 膝をつき、壊れかけたブロックの台を器用に指先で支える。 子どもの目を見て、話を遮らず、ゆっくりと言葉を拾いげる。
その慣れた仕に、胸の奥がチクリと痛んだ。
「奈美、お皿りてる? そっちのイチゴ、適当につまんでね」 キッチンカウンターの向こうから、エプロン姿の真紀が声をかけてくる。 洗い物の音と、子レンジの子音。 部の隅では、真紀の夫がビデオカメラを構えて子どもたちの姿を追っている。
「伝うよ、真紀。何か切るものある?」 カウンターへに向かった。 夫と子どもの姿から、しでも線をしたかった。
「平気平気、奈美は座ってて。……ごめんね、呼んどいてバタバタしちゃって。最本当に目がせなくてさ。夜もおきに夜泣きされるし、朝起きたらリビングは爆弾落ちたみたいだし」
真紀は苦笑いしながら、際よくペーパーナプキンを並べる。 愚痴をこぼしてはいるけれど、その目尻には隠しきれない充実が滲んでいた。 寝でし荒れた肌も、ラフに束ねた髪も、すべて「母親」としてのに裏打ちされている。
真紀は私の考えをっている。 学代から「私は子どもを産まない」
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と言い続けていた私に、度も「産めば変わるよ」などと言ったことはなかった。 今も、私に気を遣わせないよう、育児の話題を押しつけることは切しない。 その優しさが、かえって痛かった。
リビングの央から、子どもたちの歓声と、く響く夫の笑い声が届いた。
「悠介おじちゃん、もう回! もう回やって!」 「よし、次はもっといやつ作ろう。トンネルも通すか?」
夫の横顔が見えた。 元を緩め、眉をげて、全で子どもを受け止めている。 喉の奥から湧きるような、からの笑顔だった。
息が止まりそうになった。
あんな笑顔、この数ヶ、ので度も見たことがなかった。 私と緒にいる、夫はいつも穏やかで、いつも優しかった。 けれど、それはどこかの角を丸め、私を傷つけないようにえられた「配慮の笑顔」に過ぎなかったのだと、いらされた。
夫のには、こんなにも温かくて、無防備なが眠っていた。 私ときりの平米の部では、決して引きしてあげられない景。
私には、あの顔を夫にさせることができない。 、絶対に。
帰りのみなとみらい線は、曜の夕方ということもあって混みっていた。 並んで吊り革に掴まりながら、鉄の暗い窓に映るのを見つめた。 の揺れにわせて、夫の肩が私の肩に触れる。
「……楽しかった?」 声がかすれないよう、慎に言葉を選んで尋ねた。
夫は窓のから線を戻し、さく頷いた。