みかん小説
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"薬を飲むと、母が消える" 第7話

箸が3膳

訂正の文をくのに、ひと晩かかった。

いては消して、またいた。いちばん難しかったのは、今度も「黒田さんには何の非もありません」とはけないことだった。

最に送ったのは、こんな文章だった。

〈野遥です。

3初め、野さんがこのグループに、黒田さんがうちの台所の柱を倉庫に隠していると投稿しました。その話を伝えたのは私です。あの2本の柱は、が倒れた原因を調べるために、黒田さんが残しておいたものです。調査費用も、ご自分でしていました。保管していたものを、隠していたと言ったのは、私の違いです。

あの12秒の画は、切り取られたものでした。止められていたのは私です。止めてもらわなければ、軒の敷きになっていました。

震のの夕方、母を押さえていた梁を所のがジャッキで持ちげようとしたのを、黒田さんが止めたのは事実です。545分から、7半過ぎまでです。健さんの話は本当です。なぜ止めたのかは、ご本にも、そのの医師にも聞くことができます。

私は、自分の疑いを、事実のようにに話しました。申し訳ありませんでした。

野遥〉

送信してから、スマホをテーブルに伏せた。なかなか裏返すことができなかった。

最初に返事をくれたのは、野のおばあちゃんだった。76歳で、文字を打つのが遅い。

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30分くかかって、届いた。

〈柱の話を広めたのは私です。よく確かめずに投稿しました。黒田さん、子さん、申し訳ありませんでした。皆さんも、あの画はもう転送しないでください〉

そのあと、謝るスタンプを送るがいた。から変な画だとっていた、と言うもいた。何も言わず、グループを抜けたもいた。

健さんは返信しなかった。翌朝、務のに、発泡スチロールの箱がひとつ置いてあった。氷に埋もれたカレイが入っていて、何もかれていなかった。子さんは、見覚えのある箱だと言った。

4。私は値引きで3,900円になっていた赤いスニーカーを履き、由紀おばさんと鳴浦鉄に乗ってへった。鮮丼の盛りを頼んだ。砂浜に座り、太陽がに沈んでから帰った。

5には、沢の印刷に、週3から戻りはじめた。薬もんで、通院も続けた。母は今でも、ときどき窓辺に座っている。そう話すと、藤井先は、こう言っただけだった。

「くいなくなってもらおうとしなくていい。無理に引き留めなくてもいい」

5最初の曜。午4に、ドアを叩く音がした。

「黒田です」

「どうぞ。入ってください」

部から返事をして、玄関へ向かった。

ドアのに、黒田のおじさんと子さんがっていた。私はまず、きれいに拭いてしい池を入れた作業灯を渡した。

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底のテープは、そのままだった。K-7。

「それから、裁縫箱と、柱と、グループのこと。ごめんなさい」

おじさんは灯りを受け取った。いいよ、とは言わなかった。

「つらくなかったと言えば、嘘になる。でも、訂正してくれたのは読んだ」

私はうなずき、入りを空けた。

おじさんは具を持ってきていた。窓のに膝をつき、緩んだ留め具を取り替えた。で支え、でねじを回した。がかかった。窓を閉めて、押してみる。もう、がたがた鳴らなかった。

具をしまうとき、あの古い気スタンドにが当たった。コードにさな札がついていた。刻みつけたような字だった。

〈修理:スイッチ、コード。218。また壊れたら、直します。黒田〉

晩ごはんは、私が作った。ごはんと噌汁、野のおばあちゃんにもらった煮物。それから、砂糖を入れず、塩を入れて焼いた卵焼き。

箸をすとき、引きしのでし止まった。

由紀おばさんに1膳。子さんに1膳。私に1膳。黒田のおじさんは、まだがうまく使えないので、スプーンを置いた。

それから、4膳目の箸。

仮設宅に来たから、毎、1膳く並べていた。今はもう、みんなが座っている。その箸を置く所はなかった。

引きしに戻した。

閉めるとき、が震えた。引きしのの表面に触れた。たくて、平らだった。4秒吸って、6秒で吐く。

それから、卓へ戻って座った。

箸が3膳、スプーンが1本。

噌汁は、しょっぱすぎた。黒田のおじさんはスプーンでひとずつみ干して、「ちょうどいい」と言った。

子さんが夫を見て、笑いをこらえた。

卵焼きもしょっぱかった。由紀おばさんがひと切れべて、言った。

「そう、この」

私もべた。わず顔をしかめそうになるほど、しょっぱかった。

もうひと切れ、取った。

母は現れなかった。

それでも私は、ごはんを残さずべた。

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