"「いなくても回る」と言われた私に、12件の着信" 第6話
「これまでの営業事務は、きのダブルチェック表だの、の引き継ぎメモだの、無駄なアナログ作業がすぎました! 特定のベテラン社員しか分からないような属なやり方をしているから、報の共が遅れるんです!」
あのの線が、わざとらしく私を射抜く。
「ですから本をもって、佐藤さんが勝に運用していた『荷ダブルチェックシート』は全廃します! からは、私がしく契約したこのクラウドシステムに、各自が直接注文を入力してください。なチェックなんて省いて、すべて自連携させます!」
ざわり、とフロアが揺れた。
さんが恐る恐るを挙げる。 「あの、副主任……ダブルチェック表をなくすのは危険ではないでしょうか。うちが扱っているのは品です。卸先ごとに『納品より賞期限が分の以残っていること』といった、いわゆる分のルールの条件が細かく設定されていますが、そのシステムは対応しているのですか?」
「さん、が固いですよ」 あのはで笑った。
「そんなの、賞期限の付フィールドに入力すればシステムが勝に判別するに決まってるじゃないですか。ITを舐めないでください。誰にでもできる単純なデータ入力に、いちいちのをかけるから残業が増えるんです。
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から完全移します。古いやり方にしがみつくは、これからの代ついてこられませんから」
会議は、方な宣言で打ち切られた。
誰にでもできる単純なデータ入力。 あのには、本当に見えていないのだ。 私たちがどれだけのを、その「アナログなチェック」で踏み抜かずに済んできたのかを。
終業。 フロアから全員が引き揚げ、静まり返ったオフィスで、私は、自席のパソコンに向かっていた。
から導入されるという、あのクラウドソフトのテスト環境。 管理者権限でログインし、設定画面をく。 画面の奥底、データベースの連携テーブル(設定項目)を確認した瞬――私の背筋を、たい汗がツーッと伝い落ちた。
「……嘘でしょう?」
喉から、掠れた声が漏れた。
システムの「賞期限換算ロジック」。 そこには、本の品流通の慣習である「分のルール」の計算式など、どこにも組み込まれていなかった。 それどころか、付のフォーマット設定が仕様のまま放置され、暦と暦の変換部分でエラーを吐きしている。
画面に並ぶ、テストデータ。 来週曜に発送予定の、スーパー向けチルド惣菜のバッチ処理結果。
賞期限の欄が、すべて文字化けを起こしていた。
『2026/??/??』 『ERROR_CODE_902』
画面のが、暗いオフィスので青く点滅している。
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付が狂ったまま荷されれば、に並ぶのは「賞期限切れ」か「付」の違法商品になる。 もしそれがスーパーのに並び、消費者のに渡れば――。
回収費用、数千万円。 取引止。 そして、保健所への届。
それは、の社員とその族を抱えるこのさな会社が、瞬で吹きぶ規模の限爆弾だった。
複のファンが、く唸りをげている。 私は震える指先で、画面の『ERROR』の文字を見つめていた。
「誰にでもできる仕事だから」
あのが言い放った言葉のみが、これほどく、これほど残酷な形で返ってくるとはわなかった。
クラウド型業務管理ソフトが営業部に制導入されて、わずか目の曜の朝。
フロアのあちこちで、保留音のけたたましいメロディが鳴り響いていた。 受話器を握りしめたさんが、掠れた声で何度もをげている。
「申し訳ございません! はい、すぐにお調べいたします! いえ、システムの入れ替えでにデータの同期が……はい、本当に申し訳ありません!」
話を切った瞬、さんの肩がガクンと落ちた。 机のには、未処理の伝票の束が崩のように積みがっている。
「佐藤さん、どうしよう……」 青ざめた顔のさんが、りで私のデスクへやってきた。 には、スーパーの物流センターから送られてきた枚のFAX。
「ベルクのチルドタレ、今の午指定で入るはずのケースが届いてないって……。ドライバーさんが伝票番号で照会しても、該当データがしないって言われたらしくて」