"「いなくても回る」と言われた私に、12件の着信" 第5話
曜に納品されなければ、曜の惣菜が作れなくなる。 候による納品調は、先方のチーフバイヤーと正式な覚を交わしてうものであり、埼玉の卸が勝に決めていいはずがない。
「ベルク様との契約には、納品変更は『納品々の正午までに面でのをする』と記されています。勝にデータをずらせば、倉庫側で荷エラーがるのは当然です。島さんがピッキングを止めたのは、誤荷によるペナルティを防ぐための正しい判断でした」
私の淡々とした説に、あのはワナワナと唇を震わせた。 「な、何よそれ……! らなかったんだから仕方ないじゃない! だったらそうやって、事に分かりやすく教えなさいよ! 全部あなたの引き継ぎでしょ!?」
逆ギレ。 見苦しいにも程がある。
私はく息を吸い、デスクの引きしから枚の類を取りした。 曜にあのがに叩き落とした、あの引き継ぎメモだ。
ページ目の、赤枠で囲んだ部分を指差す。
「『特記事項:ベルク様向け案件は、先方センターの受領枠が厳格に固定されています。いかなる理由があろうとも、営業側で荷・の変更操作をわないこと。変更が必なは必ず物流部・島へ相談のこと』――赤字で太きにしておきましたが」
あのの喉から、ヒュッという息の漏れる音がした。
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完全に、言葉を失っている。
フロアのあちこちから、ややかな線がに注がれていた。 さんが呆れたように首を横に振り、くの席の若社員が元に線を落とす。
完全に、チェックメイトだった。
だが――。 社は、赤く染まった顔で拳を握りしめ、私のデスクをドンと叩いた。
「……もういい!」
鳴り声が、井に反響した。
「誰のミスだとか、ログがどうだとか、そんな箱の隅をつつくような真似をするな! 奈緒さんは良かれとって気を利かせたんだろうが! それを鬼の首を取ったように責めてて……君のそういう湿なところが、職の空気を悪くしてるんだよ!」
理尽。 その言葉以に、このを形容する語彙を私は持たなかった。
ミスをした内を庇い、証拠を突きつけた古参社員を「湿」となじる。 、この会社のためにを削ってきた結末が、これだ。
「とにかく、この話は終わりだ! ベルクには私から話を入れて収めておく。佐藤さん、君もいつまでも被害者面していないで、遅れた分の伝票処理をさっさと片付けなさい!」
社はそう吐き捨てると、肩をらせて社へと戻っていった。 あのは、悔し涙で目を潤ませながら、私を殺すような目で睨みつけた、自分の席へとりでっていった。
フロアには、再び複の排気音だけが虚しく響いていた。
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「……由さん」 背から、い声がした。 振り向くと、作業着姿の島さんがっていた。 には、昨の荷エラーの伝票の束。
島さんは社のドアを瞥し、私に向かってさくをげた。 「悪かったな、休みのに。俺たち現は分かってっから。由さんが悪くないことくらい、みんなってるからよ」
その言に、張り詰めていた胸の奥がチクリと痛んだ。 「……ありがとうございます、島さん。伝票、すぐ修正します」
「ああ、頼むわ」
島さんがった、私はで子に座り、パソコンの画面を見つめた。 りは、すでに消えていた。 ただ、どこまでもたい、氷のような諦めが胸の底に沈殿していくのをじていた。
この会社は、もうく持たない。 現の信頼をいつぶし、内の無能を隠すためにルールを破壊する。 そんな組織に、私の居所はない。
だが、あのの暴は、ここで終わりではなかった。
そのの午。 営業部のフロアに、甲い声が響き渡った。
「全員、を止めて聞いてください!」
デスクのに両をつき、勝ち誇ったような顔でっているあのの姿があった。 午の屈辱をらすためか、その目には異様な興奮が宿っている。
「今回の荷トラブルを教訓に、営業部の業務改革をいます!」
元に配られた枚のカラープリント。
そこには、見慣れないクラウド型業務管理ソフトのロゴと、雑把なフローチャートが印刷されていた。