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"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第20話

なんて、もう度と欲しくはないから。

初の爽やかなが吹き抜ける、曜の午分。

私は、あの懐かしい学ののにっていた。 通学の緑の側帯。犀のは青々とした葉を茂らせ、初の差しをキラキラと照り返している。

半、退院したばかりの私が、アスファルトのに崩れ落ち、鍵を投げ捨てられた所。 あののたい絶望の触は、今でも皮膚の奥に微かに残っている。

けれど、今の私の元には、しっかりとを踏みしめる力があった。

キーンコーンカーンコーン――。

を告げるチャイムが、舎のスピーカーから鳴り響いた。

数分、舎の玄関から、とりどりのランドセルを背負った子供たちが斉にびしてきた。 甲い笑い声と、音の群れ。

その雑踏の真んに、見覚えのある紺のランドセルが見えた。

し背が伸びて、ランドセルがさく見えるようになった息子。 あの子はをたところで、ふとち止まった。

そして、の脇につ私を見つけると――。

あの子のが、弾むようにを蹴った。

誰の顔も窺わない。 ろを振り返って、誰かの許を待つこともない。 ただ、まっすぐに。だけを見て。

「ママ――ッ!!」

黄い子をで押さえながら、直線に私に向かってってくる。

私はそのに、しっかりと腰を落としてしゃがみ込んだ。

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両をきく広げる。

ドスン、と温かいみが胸のにび込んできた。 確かな命のみ。 あの子の柔らかい髪の毛が、私の鎖骨のあたりをくすぐる。

「悠真、おかえり」

「ママ! 今ね、図でね、すっごくにできたんだよ!」

悠真は胸のから顔をげると、に持っていた画用を誇らしげに広げて見せてくれた。 そこには、クレヨンで描かれた、し歪な、けれど鮮やかなの絵があった。

「すっごく。お部に飾ろうね」

「うん!」

悠真はちがると、ランドセルの肩ベルトをくいっと持ちげた。

かつての私なら、あの子の荷物を全部奪い取って、代わりに背負ってあげようとしていただろう。 いいをさせたくない、完璧に世話をしてあげたいと、全部を抱え込もうとしていただろう。

でも、今は違う。

「悠真、ランドセルい?」

「ううん、丈夫! ぼく、もうだから持てるもん!」

あの子は胸を張って、自分ので歩きした。 私はそのさな背を見守りながら、そっと横に並び、さなを握りしめた。

ぎゅっと、握り返してくる確かな体温。

親が子供の荷物を、全部代わりに背負う必なんてないのだ。 子供には子供のがあり、背負うべきみがある。 親がするべきなのは、そのみに押し潰されそうになったとき、隣でそっとを繋ぎ、緒に歩いてあげることだけ。

「ママ、今ね、ぜんぶべたよ!」

繋いだをにきく揺らしながら、悠真が得げに笑った。

「そう。えらかったね」

「ハンバーグより、おいしかった!」

「それはちょっと、ママ悔しいな」

で声をげて笑いいながら、漏れの揺れる通学を、ゆっくりと歩いていく。

が、優しく吹き抜けていった。 もう、病のい井を見げて泣く夜は来ない。

私たちの本当のは、この柔らかな初の差しのから、静かに、力く始まっていた。

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