みかん小説
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"「前のパパをこっそり好きじゃダメなの?」" 第13話

ドサリ、と美咲の目のに落とす。

「……何よ、これ」

「あんたが輔さんと婚したから、私がつけ続けてきた記録よ」

美咲が息を呑む。

「あんたが夜勤で陽太を預けていた数。あの子がをして病院へった回数。幼稚園の謝がりなくて私がて替えた額。……そして、あんたが輔さんへの怨み言を吐き散らして、陽太がを塞いでいた夜の記録」

ノートのページが、隙にめくれた。 几帳面な文字で埋め尽くされた、の活の傷跡。

「美咲。あんたは貧しさから逃げたかっただけよ」

私の声は、く、え切っていた。

「母子庭とろ指を指される惨めさから逃げたくて、世並みの『派な庭』という板をで買い取ろうとした。修さんの千百万のローンにぶらがって、自分のを全部、あの男の分い財布で埋めわせようとしたのよ」

「違う!私は陽太のために――」

「陽太のため?!」

私は膝をつき、娘の顎を掴んで無理やり自分を直させた。

「あの子に嘘の『お父さん』を言わせることが、あの子のためなの?!あの子の胃が引きちぎれるほど吐くまで追い詰めることが、母親のやることなの?!あんたはね、自分のと見栄のために、陽太のを宮本に売りばしたのよ!」

美咲の瞳が、恐怖で見かれた。

「輔さんは借を作って逃げた。許されない男よ。

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でもね、美咲。目ので怯えるが子のを塞ぎ、過を消しゴムで削り落とさせて男に差ししたあんたは……あの輔さんと、体何が違うっていうの」

「あ……」

美咲のから、掠れた空気の音が漏れた。

反論の言葉は、もうてこなかった。 娘の肩が、激しく震え始める。 喉の奥から、さく、ひび割れた声が絞りされた。

「……怖かったのよ……」

美咲は両で顔を覆い、畳に額を擦りつけた。

「怖かったの……!いつまで経っても貯は増えなくて、陽太のはさくなっていくのに買い替えてあげられなくて……『お父さんは?』って所のに聞かれるたびに、臓が止まりそうだった……!修さんが現れて、全部引き受けるって言ってくれた……私、これでやっと息ができるって……救われたってっちゃったのよ……」

女の、偽りのない剥きしの音だった。 けれど、そのさをが子のさな背に背負わせた罪は、決して消えない。

「もう度、現実を見なさい」

私は美咲の背に、静かに言い渡した。

「逃げるのをやめなさい。輔さんからも、修さんからも。そして……母親としての、あんた自からも」

週けの曜。 京庭裁判所のたい廊は、消毒液と湿ったの匂いがち込めていた。

待のいプラスチックのベンチに、美咲は座っていた。 着物ではない。 洗いざらしのシャツに、履き慣れたスラックス。

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化粧気のない顔はひどく青ざめていたけれど、その背筋だけは、逃げさないようにピンと伸ばされていた。

ガラガラ、と調のいドアがいた。 初老の男性調員が、鏡の奥から私たちを見ろした。

「佐伯美咲さん。……申の輔さんから、調を通じてあなたに直接、お渡ししたいものがあるとお預かりしています」

調員がテーブルのに滑らせたのは、冊の真しい通帳だった。

美咲は震える指先で、その紺の表をいた。

ページ目。 の、あの蒸発した翌から始まっていた。

毎。 万円、万円、には万円。 決してくはない額が、途切れることなく、毎、毎、振り込まれ続けていた。

摘欄には、ただ言。

『陽太へ』

「輔さんはね」

調員が、穏やかな声で語り始めた。

「当の借を完済するまで、運送会社の距トラックに乗り、夜警備のアルバイトを掛け持ちされていたそうです。美咲さんに連絡をすれば、また迷惑をかける。自分のけない姿を陽太くんに見せるわけにはいかないと」

美咲の指先が、数字ので止まった。

「借が全て片付き、さな運送会社で正社員として雇われたのが先。まとまった退職の払いと、分の積みてをわせて、全額を括で振り込まれました」

調員は、もう枚の類をした。

輔さんの、拙い跡でかれた申だった。

『美咲さんが再婚されるとの噂で聞きました。

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