みかん小説
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"「前のパパをこっそり好きじゃダメなの?」" 第3話

「あ……ごめんなさい、修さん。陽太がどうしてもリュックに入れて持ってくるって聞かなくて」

台所から顔をした美咲が、申し訳なさそうに縮こまる。

「陽太くん」

修さんは膝をつき、陽太と線のさをわせた。 その顔には、いつもの完璧に穏やかなの微笑みが浮かんでいる。 けれど、その目は笑っていなかった。

「しいおにはね、しいいだけを入れていくんだよ。こんなに汚れて壊れたオモチャを持ってきたら、せっかくのしいお部がだろう?」

陽太は、息を止めていた。

「この青い、もうかないよね?さっきのしい幹線があるんだから、もういらないよね」

修さんは、陽太の返事を待たなかった。 元にあった半透の指定ゴミ袋を広げると、ためらいもなく、その青いを放り込んだ。

カラン、と乾いたプラスチックの音が響いた。

陽太の肩が、さくねた。 両の拳が、半ズボンの縫い目に沿って、く、く握りしめられる。 指の関節が真っになるほどだった。

「……うん」

絞りすような、肯定の言葉。 修さんは満そうにちがり、ゴミ袋のをキュッと縛った。

「よし、物分かりのいい子だ。男同士の約束だな」

修さんは美咲の肩を抱き寄せ、で楽しそうにキッチンの方へ歩いていった。 リビングには、換気扇の回るい音と、の笑い声だけが満ちていた。

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私は、息ができなかった。 目ので繰り広げられたのは、暴力ですらない。 悪の欠片もない、善と観による、徹底な「抹殺」だった。

夕方、美咲と修さんが所の管理組への挨拶回りで部をただった。 私は、キッチンで片付けをしていた。

トントン、とエプロンの裾を引かれた。

振り返ると、陽太がっていた。 廊の暗がりの、あの子の瞳だけが、異様に濡れていた。

何も言わず、陽太は背に隠していたさなを差しした。

埃にまみれ、台所のゴミの匂いがかすかに染み付いた、あの青いだった。

縛られたゴミ袋の結び目を、さな爪で引きちぎって救いしてきたのだろう。 陽太の指先は赤く擦り剥けていた。

「ばあば」

唇が震えていた。 声をせば、何かが決壊してしまうと分かっているかのように。

「……これ、ばあばのエプロンに入れて」

陽太は、私のエプロンのきなポケットに、無理やりその壊れかけたを押し込んできた。 たいプラスチックの触が、私の太ももに突き刺さる。

「捨てないで」

震える声だった。

「ここに隠してて。ママに見つかったら……ママ、また泣いちゃうから」

私は、膝をついて陽太を抱きしめた。 抱きしめたさな背は、恐ろしいほど張っていて、歳の子どもの柔らかさはどこにもなかった。

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の都で作られた「しい幸せ」の枠組みに、この子は全の骨を折るようにして、自分を押し込めている。

「お母さん、しお話があります」

挨拶回りから戻ってきた修さんが、玄関先で靴を脱ぎながら言った。

美咲は、陽太を連れて階の郵便受けを見にっている。 部のには、私と修さんのきりだった。

修さんはダイニングテーブルの子を丁寧に引き、私に座るよう促した。 そして、自分の着の内ポケットから、きっちりとつ折りにされた類を取りした。

テーブルのに滑りてきたのは、役所の判子が押された緑の枠線の用だった。

「養子縁組届」

そして、そのには庭裁判所の文字が入った「氏の変更許申」。

「来週、美咲さんと籍を入れます。それと同に、陽太くんの養子縁組も提する予定です」

修さんは、澄んだ声で言った。 そこには点の曇りもない、誠実な青の響きがあった。

「学の方にも、すでに相談してあります。学期の途で名字が変わるのは世体として目ちますが、担任の先には根回しをして、名札も持ち物の名も、全て『宮本』に斉に変えてもらう筈をえました」

私は、類の文字を見つめた。 黒々としたペンで、美咲の署名がすでにき込まれている。

「修さん。……し、急ぎすぎてはいませんか」

私はできる限り、声を荒げないように言った。

「陽太はまだ、学にがったばかりです。

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