みかん小説
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"「前のパパをこっそり好きじゃダメなの?」" 第2話

「それは、本当にありがたいことだとってるわよ」

「だったら、過を引きずるような真似させないでよ!あの男がこの、何をしてくれたっていうの?養育費だって、婚して半で途絶えたじゃない。誕だって、クリスマスだって、度も連絡寄越さなかった男よ!」

美咲の呼吸が荒くなる。 額に青い筋が浮きている。

「あんな無責任な男の記憶なんて、陽太にとっても毒にしかならないわ。く綺麗さっぱり忘れて、修さんを本当の父親だってえるようにしなきゃ、あの子がじゃない!」

「美咲」

私は娘の震えるを、そっとから包もうとした。 けれど、美咲はそのを、まるで汚いものを払うように払い除けた。

「母さんは、私が幸せになるのが嫌なの?」

たい言葉だった。 氷の破片を直接、臓に突きてられたような痛みがる。

「で必に働いて、夜に陽太のがて、泣きながら救急呼んで……あの獄のような活を、母さんは見てきたでしょ?私はね、やっと並みの活に戻れるの。世から『な母子庭』って目で見られずに済むのよ!」

「……世体のためなの?」

「違う!族になるためよ!」

美咲はちがり、画用を乱暴に折りたたんで自分のバッグに突っ込んだ。

「陽太にはね、もう言い聞かせてあるの。修さんのでは、昔のことは切にさないこと。

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それがしいおに入るためのルールだって」

「美咲、あの子はまだ歳よ」

「歳だからよ!今ちゃんとしつけなきゃ、引きずるわ!」

美咲の頑なな横顔を見つめながら、私は元から崩れていくような覚を覚えた。

娘は、する男のために必なのだ。 度目の失敗を恐れ、に入りかけた産の定にしがみついている。 その必さが、が子の喉元にたい刃を突きつけていることに、本は全く気づいていなかった。

曜、引越し準備のために、私は美咲たちの居となるマンションへ向かった。

郊にしく建った、を基調とした階建てのファミリー向けマンション。 エントランスにはオートロックと防犯カメラが並び、庭には入れのき届いた芝が広がっている。

修さんは、すでに部ので汗を流していた。 仕ての良いポロシャツに、清潔なスラックス。 いつ会っても、柔剤の甘くったりがするだった。

「お母さん、わざわざ来ていただいてすみません。いものは僕が全部やりますから、座っていてくださいね」

爽やかな笑顔。 完璧な気配り。 私の親族も、所のたちも、誰もが「美咲ちゃん、今度は本当にいいを捕まえたね」とを揃えていた。

リビングには、すでにの具から届いた真しいダイニングテーブルと、革張りのソファが置かれていた。

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壁には、型の液晶テレビ。 かつて美咲がんでいた、湿気のい造アパートとは、文字通りむ世界が違っていた。

「陽太くん、おいで。君の部に置くしいオモチャ、買っておいたよ」

修さんが、真しいダンボール箱をけた。 からてきたのは、最型の幹線がる、巨なプラレールのセットだった。 レールを何にも組みてられる、価な限定品。

「どう?かっこいいだろう。お父さんと緒に、今夜組みてようか」

修さんは、当然のように「お父さん」と自分のことを呼んだ。 陽太は、巨な箱のにち尽くしたまま、かなかった。

「……ありがとう、ございます」

「『ございます』はいらないよ。これからは族なんだから」

修さんは満そうに陽太のを撫でると、元に置いてあった古い段ボール箱に目を留めた。 美咲のアパートから運び込まれた、陽太の私物が入った箱だった。

ガサリ、と音がした。

修さんが箱のから引きずりしたのは、塗装のあちこちが剥げ落ちた、青い通勤のオモチャだった。 輪のゴムは千切れかけ、プラスチックの角は丸く削れている。 かつて、元夫の輔さんが、陽太の歳の誕に買ってやったものだった。

「美咲さん。これ、まだ取ってあったの?」

修さんの声から、すっと温もりが消えた。 っているわけではない。

ただ、完璧にコーディネートされたショールームに紛れ込んだ、目障りなゴミを見るような目だった。

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