みかん小説
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"息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」" 第14話

私はちがり、調した訪問着の裾をえた。 歩み寄る私を、美奈子は歩がった所から、静かに見守っていた。

スタジオの央。 眩しいアンブレラ照が、真っなをに落としている。

悠斗は、自分がっていた番良い所を空けて、私をそこへたせようとした。 『ここが真理子さんの所だよ』と言わんばかりに。

私は、ふっと微笑んだ。

そして、あの子が譲ろうとした位置から、半歩だけ横へずれた。

「……真理子さん?」

悠斗が議そうに眉を寄せる。

「いいのよ、悠斗」

私は息子の肩に、そっとを添えた。

「主役はあなた。私は、ここがいいの」

誰かの代わりにつのではない。 誰かを無理に押し退けて、その座を奪うのでもない。 私が、自分の志であの子の隣にち続けてきた、その証としての所。

カメラマンがファインダーを覗き込む。

「では、参ります。おとも、素らしい表です」

「はい」

「3、2、1――」

カシャリ。

いが、界を埋め尽くした。

のにっていた。 誰のにも隠れず、誰の慮も背負わず。 私は、私が自分で選んだ所に、しっかりと両でっていた。

数週。 写真館から届いた包みをけた。

そこには、枚の写真が収められていた。

枚は、悠斗が自分の部に飾るための写真。 美奈子と悠斗、そして私と悠斗、それぞれが別々に並んだ、境界線のあるアルバム。

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そしてもう枚。 私宛てに、悠斗が送ってくれた枚のポートレート。

袴姿の悠斗の隣で、穏やかに微笑む私の姿。 写真のの私は、驚くほど背筋が伸びて、堂々としていた。 歳の、し目尻に皺の刻まれた、けれど凛とした顔。

リビングの飾り棚には、もう何も置いていない。 夫が勝に飾ったあのの額縁は、夫自の部へ引き取らせた。

私は、届いた写真を、私の寝のドレッサーの横に置いた。 さな、のシンプルなフレーム。

、歳の子どものを握ったあのから、私はずっと恐れていたのだとう。 いつか「本当の母親」が現れたら、私の居所は消えてしまうのではないか。 私はただの、偽物の母親に過ぎないのではないか。

その恐怖があったからこそ、夫のモラハラにも耐え、義母の嫌にも笑い、物分かりのいい「できた継母」を演じ続けてきた。 自分で自分を、のへ追い込んでいたのだ。

けれど、もう度と、誰かの顔を窺って自分の所を譲ることはない。

悠斗は悠斗のを歩み、実の母親とのしい関係を築いていくだろう。 夫との婚姻関係も、これからは徹な契約の元で、私が私の尊厳を守る形でしか続かない。

することは、自分を消しることではない。 相の幸せを願うことは、自分の痛みを押し殺す免罪符にはならない。

窓のには、の澄み切った青空が広がっていた。

たいが、部の隅々まで満ちていく。 私はのフレームのガラスを指先でそっと拭い、さく息を吸い込んだ。

の当たる所は、誰かに与えられるものじゃない。 自分ので歩いて、そこにつと決めた瞬に、初めてまれるものなのだ。

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