"息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」" 第12話
「悪かったよ。だがな、俺だって……あの頃は必だったんだ。 美奈子にていかれて、親戚から笑われて……悠斗をで育てなきゃいけなくて、気がってたんだ。 赤ペンで直したのだって、悠斗が変な噂をてられないようにだな……」
「世体、ね」
私は、夫の言い訳を静かに遮った。
喉の奥が、え切っていた。 りすら湧かない。 ただ、目のにいる男の浅ましさに、胸の底から吐き気がした。
「あなたが守りたかったのは、悠斗じゃない。 親戚や所に対する、自分のちっぽけなプライドだけ。 そのために、あの子のをも踏み躙り、私を都のいい使いとして使ってきた」
「使いだなんて、そんなこと……!」
義母が慌ててを挟もうとする。
「お義母さん」
私は義母を瞥した。 そのたい線に、義母は息を呑んで言葉をみ込んだ。
「、域包括支援センターへ連絡を入れます。 お義母さんのデイサービスの増と、ショートステイの利用続きをめてください。 私の無償の介護は、今で完全に終です。 費用は、お義母さんのと、健さんの座から引き落とされるよう配します」
「な……何を勝なことを! 息子の稼ぎで暮らしてるくせに!」
義母がヒステリックに叫ぶ。 私はトランクのポケットから、通の類を取りした。
政士に作成してもらった、婚姻関係の見直しと財産管理に関するの案。
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ドン、とテーブルのに置く。
「このの登記簿謄本を確認してください。 私の持分が割入っています。 私がをるなら、その分の資産価値を現で私に支払うか、このを売却して分配してください。 それが嫌なら――」
私は夫の目を、まっすぐに見据えた。
「健さん。あなたの与細、費の引き落とし、活費の折半。 すべて面で取り決めます。 私を『都のいい同居』としてタダでこき使う活は、度と許しません。 納得できないなら、今すぐ庭裁判所に婚姻費用の分担調と、婚調を申してます」
夫の顔から、完全に血の気が引いていくのがわかった。
会社での役職。 所の町内会での体裁。 親戚への見栄。 調や裁判汰になれば、自分が番恐れている「世体」が完全に崩壊する。 その事実を、夫のは痛いほど理解していた。
「ま、真理子……頼むから、考え直してくれ。 緒にやってきただろ? っていうものがあるじゃないか……」
すがりつくように伸ばされた夫の。 私は歩がり、そのをややかに避けた。
「を盾にするのはやめてください。 私のを番最初にゴミ箱に捨てたのは、あなたです」
それから、週が過ぎた。
のの空気は、完全に変していた。 夫は仕事から帰ると、私と目をわせることもできず、自分でスーパーの惣菜を温めて無言でべていた。
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義母も、私が切を利かなくなったことで、気なほどしくなった。
私が作ったのは、自分分の朝と夕だけ。 自分の洗濯物だけを干し、自分の部だけを掃除した。
、族という名の檻に縛られていたから、ようやく自分のでへ踏みしたような、透な静けさ。
けれど、悠斗だけが、に帰ってこなかった。 学の友達のアパートを転々としているらしいと、健がボソボソと話しているのをにした。
曜の夕方。 買いしから戻ると、玄関のに、がっていた。
え込むの、マフラーも巻かずに、背を丸めてっている青。
「……悠斗」
私が声をかけると、あの子はビクッと肩を震わせて振り返った。
目のに、濃い隈ができていた。 入れのされていない無精髭。 には、コンビニの袋ではなく、等なの封筒が握られていた。
「……真理子さん」
掠れた声。 唇が、寒さでになっていた。
「部に入りなさい。邪をひくわよ」
鍵をけようとすると、悠斗が首を横に振った。
「ここに……入る資格、ないから」
あの子は、そのにくをげた。 で、通の線があるのも気にせず、度腰を折ったまま、かなくなった。
「ごめんなさい」
絞りすような声が、アスファルトに落ちた。
「写真館の……僕が俯いたから。 真理子さんのを、僕が振りほどいたから。