"息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」" 第10話
「片親の恥を晒す気か」と脅迫まがいの文メールが送りつけられてきた。
養育費の振込座すら教えられず、実宛てに送った誕プレゼントは、すべて受け取り拒否で送り返されたという。
「……あの子の歳の誕でした」
美奈子は、バッグから古びた通帳を取りした。
「送り返されてきたランドセルを見て、母が泣き崩れました。 これ以関わったら、悠斗が父親からどんな酷い目に遭わされるかわからない……あの子の平穏のために、歳になるまで絶対に接触するなと、実の両親に止められたんです」
通帳のページがかれる。 毎、欠かさず積みてられていた万円。 振込の名義は『悠斗へ』。 分の、引きされていない数字の羅列。
臓が、たいに浸されたようにくなった。
健は、私にはこう言っていたのだ。 『元妻は男を作っててった無責任な女だ』 『あいつは悠斗のことなんて度もいしちゃいない』と。
嘘だらけの男。 自分の支配欲と体裁のために、実の母親から息子を奪い、 その穴埋めとして私を「都のいい無償の母親」として招き入れ、 経って息子が成した途端、今度は「寛な父親」の顔をして元妻を呼び戻した。
全部、あの男の劇だったのだ。 私と美奈子は、その台ので、互いをらぬまま踊らされていた化に過ぎなかった。
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「真理子さん……」
美奈子が、テーブルに額を擦り付けるようにくをげた。
「本当に、申し訳ありませんでした。 私は、母親失格です。 健さんの卑怯さに気づきながら、自分の『母親になりたい』というエゴを優先して、あなたをく傷つけました。 わせる顔がありません……」
私は、をげる美奈子の、細く震える背を見つめていた。
憎しみは、議と湧いてこなかった。 あるのは、底れない疲労と、の虚無。
「顔をげてください」
私は静かに言った。
「あなたを許す気はありません。 あなたが傷ついた過があろうと、写真館で私を追いし、私の居所を奪った事実に変わりはないから」
美奈子が、涙で濡れた顔をげた。
「でも、敵を違えるのはやめましょう。 私たちが本当に向きうべき相は……今もがのリビングで、何わぬ顔でふんぞり返っている、あの男です」
夜。 自宅の玄関ドアをけると、え切った空気が漂っていた。
リビングのかりがついている。 へ入ると、夫がソファに座り、缶酎ハイを煽っていた。 テーブルのには、コンビニの空き容器が散乱している。 私が事を放棄してからわずか数、のはくも荒れ始めていた。
「おい」
夫が濁った目で私を睨みつけた。
「どこってたんだよ。飯はどうした」
「でべてきました」
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「あ? 主婦のくせにだと? 美奈子と会ってきたんだろ。何を吹き込んだ! あいつから『度と連絡してくるな、訴訟も辞さない』って文のLINEが来たぞ! お、余計なことペラペラ喋りやがって!」
夫がちがり、ドカドカと音を荒てて詰め寄ってきた。 アルコールの悪臭がをつく。
「もの蒸し返しをしてんじゃねえよ! 俺がどれだけ苦労してこのを守ってきたとってんだ! あいつを悠斗に会わせてやったのは、俺の慈だろ! それをぶち壊しにしやがって!」
「慈?」
私はややかに夫を見据えた。
「脅迫して親権を奪い、を突き返し、私には『男を作って逃げた』と嘘をついた。 それがあなたの言う慈なの?」
夫の顔が、瞬で引き攣った。
「な……何を馬鹿なことを……あいつが被害妄で嘘を並べててるだけだ!」
「美奈子さんが見せてくれたわよ。 にあなたが送りつけた、弁護士をチラつかせた脅迫メールのプリントアウト。 それから、毎悠斗のために積みてられていた通帳も」
夫の目が泳いだ。 言い訳を探すように唇をワナワナと震わせる。
「そ、れは……悠斗のためをってだな……!」
「嘘をおっしゃい!」
私の声が、リビングの壁を震わせた。 、度も荒らげたことのなかった私の声。
「悠斗のためじゃない! 全部、自分の世体のためでしょう! 妻に逃げられた惨めな男だとわれたくなくて、母親を悪者に仕てげ、 事と育児を丸投げできるしい女をタダでに入れた! あなたは悠斗をしていたんじゃない。