"息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」" 第9話
テーブルのには、付かずのめた茶。
「お忙しいところ、呼びしてしまって申し訳ありません」
美奈子の声は、曜にがのリビングに響いていたあの華やかなトーンではなかった。 掠れて、々しく震えている。
私はバッグから、枚のを取りした。 万千円の領収。 写真館のロゴが入った、角の擦れたレシート。
コト、とテーブルの央に置く。
「……これは?」
「悠斗の、歳の成記写真の領収です。 私が半、パートのシフトを増やして貯めたおで、全額払いしました」
美奈子の指先が、ピクリとねた。
「あの写真館を予約したのは、私です。 悠斗がまれたときからずっとお世話になっていた、あの子の成を見守ってきたの写真館です。 健さんは、あなたにどう説していましたか?」
美奈子は息を呑み、唇を噛み締めた。 線が、領収の宛名――『真理子様』の文字に釘付けになっている。
「健さんは……」
美奈子の声が、震えていた。
「健さんは、私にこう言ったんです。 『真理子も、美奈子さんが来ることをからんでいる。 あいつは控えめな性格だから、当は体調が悪いことにして見学に回る。 だから美奈子さん、気兼ねなく悠斗の隣に並んで、族として写真を撮ってやってくれ』って……」
……は?
の奥で、カチリと音がした。
「……私が、んでいる?」
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「はい。真理子さんは自分がしゃばるのを嫌がっていて、実の母親である私に席を譲りたがっていると……そう聞かされていました。 写真館の配も、健さんが『俺が全部段取りをつけておいたから』って……」
乾いた笑いが、喉の奥からせりがってきた。
控えめな性格? 体調が悪いことにして見学?
健。 あの男は、どこまでを侮辱すれば気が済むのだろう。
「写真館で、カメラマンが『奥様もご緒に』と言ったとき。 健さんが何と言ったか、覚えていますか?」
美奈子は青ざめた顔で首を振った。
「『このは実の母親じゃないから、いいです』。 そう言って、私を袖でスタジオの隅へ押ししました。 私の払いしたおで、私が選んだスタジオで。 私は、照の当たらないのにたされていたのよ」
美奈子の目から、ポロポロと粒の涙がこぼれ落ちた。
「そんな……そんなこと、私……」
「美奈子さん」
私はを乗りし、逃げようとするその線を捉えた。
「らなかった、では済まされません。 あなた、本当に健さんのその言葉を信じていたの? 、度も顔を見せなかった母親が突然現れて、育ての親が笑顔で『どうぞ私の席へ』なんて譲るはずがないと、同じ母親なら、しでも考えなかったの?」
美奈子は両で顔を覆い、肩を激しく震わせた。
「……甘えていました」
嗚咽交じりの、掠れた告。
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「都よく、信じたかったんです。 私が悠斗を捨てたわけじゃないって、誰かに許してもらいたかった。 健さんが『真理子は物分かりがいいから丈夫だ』って何度も言うから……それに縋り付いて、自分の罪悪から目を背けていました……」
ラウンジの静寂のに、女の啜り泣きが落ちていく。
、あの子のを測り、を落とし、反抗期を受け止めてきた私の。 それは、元夫婦の都のいい罪滅ぼしのために、まるごと踏み台にされていたのだ。
「どうして……、度も会いに来なかったの?」
私が問いかけると、美奈子は涙を拭い、途切れ途切れに話し始めた。
そこに転がりてきたのは、私が聞かされていた「母親の勝な蒸発」とは、似ても似つかない真実だった。
。 婚の原因は、健の度なるモラハラと、義母からの執拗な嫌がらせだったという。 精神に追い詰められ、実へ逃げ帰った美奈子に対し、夫は容赦のない条件を突きつけた。
『親権を渡せ。さもなければ、調でも裁判でも徹底に引き延ばして、おの実を社会に破滅させてやる』
『度と悠斗にづくな。もし目でも会おうとしたら、あいつに「おを捨てて男と逃げた汚い母親だ」と吹き込んで、父親をむように育ててやる』
調を起こす気力もも奪われ、美奈子は泣く泣く親権を放した。
面会交流の審判を申してようとするたび、健から「息子の戸籍に傷がつく」