"息子の成人式で夫は言った「お前は本当の母親じゃない」" 第4話
族だから、当たりだとってた。でも、あなたたちは違ったのね。私がおを払って予約した所から私を追いして、親子のの再会を演して……それで、から代を返せば『はい、これでチャラね』って済む話なの?」
「そんなこと言ってないだろ!」
悠斗の声が、急にきくなった。歳の青の、く濁った声。幼い頃の、かんい泣き声の面はどこにもない。
「じゃあ、どうすればよかったんだよ!俺だって、ずっと会いたかったんだ!物ついたときから母さんがいなくて、友達のには当たりに母親がいて……写真の枚くらい、本当の母親と撮りたかったってうのが、そんなに悪いことなのかよ!」
叫んだあとの、い静寂。悠斗の荒い息遣いだけが、狭い物置に満ちていく。
「悪くないわ」
私は静かに言った。
「あなたが実のお母さんに会いたいとうのは、あなたの自由よ。血の繋がりを求める気持ちを、私が否定する権利なんてない」
「じゃあ……!」
「私が聞いているのは、そこじゃないの」
私は、に持っていた学の卒業文集を、胸のさに掲げた。表にかれた、あの子の拙い跡。
「写真館で、カメラマンが『奥様もご緒に』って聞いたとき。父親が『このは実の母親じゃないからいいです』って言ったとき。悠斗、あなたはどうして、目を伏せたの?」
悠斗の喉が、引き攣るようにいた。
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「どうしてあのとき、『真理子さんも緒に』って言えなかったの?あなたが実のお母さんと写真を撮ることと、あなたを育ててきた私をそのから排除することは、まったく別の問題よ」
悠斗は答えなかった。唇を噛み締め、線を壁のシミへと逃がす。
っている。この子は、悪者になりたくなかったのだ。久しぶりに会えた実の母親に気を遣い、父親の威圧な空気に呑まれ、そして「いつもしてくれる継母」に甘えた。私が何も言わずにスタジオの隅へ退いてくれれば、誰も傷つかずに、綺麗ないが完成するはずだったのだ。
私が、をかなければ。私が、物分かりのいい「都のいい」のままでいてくれれば。
「……なぁ、真理子さん」
い沈黙のあと、悠斗がぽつりと言った。恐る恐る、こちらの顔を伺うような、卑怯な声だった。
「もし……これから先、俺があのを『母さん』って呼んだら、傷つく?」
背筋が、すうっとたくなった。
この子は今、私に免罪符を求めている。「傷つかないよ、あなたの好きにしていいのよ」という、優しい母親の仮面を被った言葉を、私から引きそうとしている。自分が罪悪なしに、実の母親としい関係を築くために。
今までの私なら、きっと笑ってそう言っただろう。『あなたが幸せなら、それでいいのよ』と。
けれど、もう度と、その言葉で自分を切り売りするのはやめようと決めていた。
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「傷つくわよ」
はっきりと、悠斗の目を見て言った。
悠斗の瞳が、驚きで見かれる。
「当たりでしょう。、母親の代わりを務めてきたが、目ので別の女性を『お母さん』と呼ばれて、平気な顔をしていられるとう?私は聖君子じゃない。ただの、血の通ったよ」
「……真理子さん」
「でもね、悠斗。それは私が自分で引き受ける痛みなの。あなたが気にすることじゃない。ただ、私に『痛くないフリ』をするのはやめて。あなたの勝なわがままに、私のを巻き込まないで」
文集を棚に戻し、私は物置のかりを消した。
暗の、悠斗がち尽くしているのがわかった。帳に挟んだ領収を指先でなぞりながら、私は度も振り返らずに、自分の部へと戻った。
曜。玄関のチャイムが鳴ったのは、午をし回った頃だった。
「いらっしゃい、美奈子さん! さあさあ、がってちょうだい」
リビングから、義母の弾んだ声が廊まで響いてくる。いつもの神経痛が嘘のように、りで玄関へ向かう音。夫の健も、休の昼から奇麗なポロシャツに着替え、落ち着かない様子で髪を撫でつけていた。
「お邪魔します。これ、駅のデパで見つけたんですけれど、おにえば……」
美奈子の、鈴を転がすような品な声。
「まあ、ご丁寧に! あそこのバームクーヘン、並ばないと買えないやつじゃないの。