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"19歳で相続した呪われた屋敷" 第12話

まだ幼い子供も、しずのをついて回った。

落ち葉を拾い集めたり、さな釘を運んだりして懸命にお伝いをした。

かつては誰もづかない、気な呪われた敷と呼ばれていた所。

そこが、温かい湯との確かな営みの息吹によって、しずつとしての姿を取り戻していった。

さらに数が過ぎると、からの変化も現れた。

初めは巻きに見つめるだけだったたちのに、夜に乗じてこっそりと協力する者が現れた。

その先陣を切ったのは、あの馬のだった。

彼は父親の目を盗んで、頑丈な板切れや釘、さらには修復に必な具をこっそり荷馬に乗せて運んできてくれた。

「おじさんがね、これ使えって。本当は内緒だけどさ」

は照れくさそうに笑い、すぐにまた駆けで宿町へと戻っていった。

週末には、頑固でられるの鍛冶の男が無言でやってきた。

い槌と修理用の鉄を担いでいた。

彼は挨拶もそこそこに、母の歪んだ梁の補をテキパキと直した。

夕暮れになると、「次は柱の補だ。また来る」と言い残してっていった。

孤していたはずのしずの周りに、いつのにか温かなの輪が広がり始めていたのである。

労働のを縫って、しずは敷内の環境備にも力を入れた。

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い放置され、雑に覆われていた畑のを鍬でく耕した。

の寒さに耐える作物の種を蒔いた。

井戸の周囲を綺麗に組みで囲い直した。

湧きるは、かつてないほど透でたさを取り戻した。

夕方になると、犬となったあの片目の犬が、彼女の元にぴたりと寄り添った。

静かに労働の終わりを見守っていた。

荒れ果てた野原だった所が、丹な入れによってききとした活の匂いを放つ、美しい空へとまれ変わっていった。

しかし、その平穏な々をくわない者たちがいた。

黒崎像のたちが、夜のに乗じて折敷の周辺をうろつくようになった。

ある夜、しずが縁側で帳簿の理をしていたのことだ。

くの松林の向こうから、怪しいがいくつもづいてくるのが見えた。

彼らは直接敷内には踏み込んではこなかった。

しかし、の周囲を取り囲むように松のかりを揺らし、無言の威圧をかけ続けた。

それは、「おたちのやっていることは全てお見通しだ」という黒崎からの残酷な無言の圧力だった。

しずは恐怖に震えそうになるで、しっかりと面を踏みしめた。

套の内側に縫い付けられた古文の束に、そっとを触れた。

自分には隠すべき真実があり、それを暴くための仲たちがにいる。

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そうい直すことで、彼女は恐怖を志へと変えた。

修復作業がむにつれ、敷の内部も劇な変化を遂げていた。

煤けて黒ずんでいた板壁は綺麗に拭き清められた。

板はしっかりと釘で打ち直された。

かつて気な音をてていた隙は、完全に消えっていた。

のには、いつも薪が燃えるよいりが漂っている。

お絹の作る汁物の匂いが満ちていた。

夜になると、ランプの柔らかなが障子戸の向こうに温かく浮かびがった。

くの尾根から吹きろすたいを、しっかりと遮断していた。

あるの夕方、全ての作業を終えて縁側に腰をろした。

しずは、の空に沈んでいく夕を眺めていた。

のひらの皮はくなり、指先には消えないさな傷跡がいくつも刻まれている。

しかし、その痛みは彼女にとって、誇らしい勲章のようにじられた。

自分がこのに根を張り、正のにち向かうだけのさをに入れた証拠だった。

お絹が、温かいお茶を持って縁側にてきた。

しずの隣に、静かに座った。

「お嬢さん、あなたのおかげで私たちは本当に救われました」

お絹は、涙ぐみながら言った。

しずは首を横に振った。

くの川宿のかりを見つめながら、静かに答えた。

「いいえ、救われたのは私の方です。このが私を本当のさに目覚めさせてくれたのですから」

夜がまり、松林のざわめきだけが周囲を包み込んだ。

しずは、から始まるたな局面に向けて、を澄ませていた。

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