"19歳で相続した呪われた屋敷" 第10話
「これを持ちなさい」
父の目は、真剣だった。
「そして、もし万がのことがあったには、の奥にあるあのへきなさい」
しずは、をく握りしめた。
「そこには、が族が目を背けてきた真実と、そしておがき延びるための答えが眠っている」
その数、父は静かに息を引き取った。
医者を呼ぶもなく、葬儀をす余裕すらなかった。
しずはただで、所の寺の僧侶にをげ、父を質素なに葬った。
そのに使った最の銭が、彼女を底なしの絶望へと追い込んだのである。
代から届いたは、まさにその絶望のどん底に差し伸べられた、毒を含んだ蜘蛛の糸のようなものだった。
借まみれの敷。
誰も寄らない呪われた。
それでも、そこには血を分けた族の跡があった。
父が命を削って守ろうとした秘密が、隠されていた。
戸をれ、揺れる馬に揺られて辿り着いた川宿。
たい空気とたちの骨な蔑みの線は、彼女がこれから歩むの険しさを最初から物語っていた。
しかし、なぜそこまでしてあのは忌み嫌われ、誰もがを閉ざすのだろうか。
その答えの端は、あのの部にあったのにあった。
さらにく遡れば、それは祖父の代にまで辿り着く因縁だった。
当、この帯を取り仕切っていたのは、の名望でありながら、裏では悪どい利殖をっていた古い豪族だった。
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黒崎である。
彼らは自らの悪事や隠し財産の隠れ蓑として、里れた最の敷を利用しようと企てたのだ。
最は元来、政治や権力争いに関わらず、ただ静かにを耕しを伐って暮らす穏やかな族だった。
しかし、そのしい性格につけ込んだ元の権力者たちは、無実の旅たちを次々と罠にかけた。
その財産を奪うという残虐な凶を、そので繰り返したのである。
異議を訴えようとした父親は、逆に「の秩序を乱す吉な曰く付きのの呪いを引き起こす者」という濡れを着せられた。
分にされ、孤させられた。
信用していたはずのの仲たちも、権力者の圧力と保のに、次々と背を向けた。
親しい友だとっていた男が、黒崎からのわずかな貨に目が眩み、父親の計画を密告したのだ。
その裏切りの瞬を、父親はくから目撃していた。
信じていたに裏切られ、温かいコミュニティから酷に放りされた。
その絶望は、言葉では言い表せないほどいものだった。
父は故郷を追放されるようにしての奥へ逃れた。
度と表台に戻ることはなかった。
そして、その悔と恐怖を胸に抱いたまま、ひっそりとき延びたのである。
父が残した遺言と、あのの遺品たちは、単なる過のいの品ではなかった。
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それは、いつのか正を暴き、奪われた名誉を取り戻すための、血に染みた告発そのものだったのだ。
しずがその過酷な過の経緯をのでつずつ組みて直しているだった。
のは段とたさを増し、根を激しく打ち付けていた。
彼女は、母の套のポケットにを入れた。
父から受け継いだ真鍮の鎖を、そっと握りしめた。
そのたい属の触は、孤独な彼女に奇妙な勇気を与えていた。
自分はではない。
父が守り、祖父が耐え忍んだこの所で、今度は自分が全ての嘘と偽りを剥ぎ取る番なのだ。
翌、しずは朝くから納の作業台に向かっていた。
昨の今で、彼女のには迷いの片もなかった。
彼女は、父の遺した具のから斧とさな鑿を選びした。
に広がる暗へと、再びを踏み入れた。
の部の空気は、ひんやりと乾いている。
昨夜見たつの遺品が、静かに彼女の作業を見守っているかのようにそこに鎮座していた。
彼女は、板の裏側にあたる井の組みを丹に調べげた。
ただのではなかったのだ。
そこには、さらに奥へと続く隠し扉の痕跡があった。
の湿気と埃にまみれ、見するとただのに見えるその所。
注く叩いてみると、とは違う空洞の響きを返してきた。