みかん小説
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"19歳で相続した呪われた屋敷" 第3話

「に誰もおりませんから」

女は、度首を横に振った。

そして、砂糖の容器をカウンターの端へと押しやった。

しずから銭を受け取ると、女は度数え直した。

なぜか本来の釣り銭よりも、文く返ってきた。

しずは、そののひらの銭を見つめた。

女は、顔を背けて呟いた。

「歩き賃のしにしなさい」

女はそのまま、背の棚へと向き直ってしまった。

にると、夕暮れのはすっかりれていた。

まるでめた番茶のような、細いになっていた。

しずは、荷物をもう片方の肩へと持ち替えた。

順を尋ねるために、馬へ向かおうとした。

しかし、その必はなかった。

教会の脇の細いに、ひっくり返した箱に腰かけたの老がいた。

柄で、薪のように乾き切った体をしている。

の乱れた髭をやし、混濁した濁った目をしていた。

膝には、本の杖がてかけられていた。

しずが通り過ぎようとしても、老は顔をげなかった。

まるでずっとからそこで待っていたかのように、乾いた糸を引くような声でぽつりと言った。

「娘さん」

しずは、驚いてを止めた。

「はい」

老は、虚空を見つめたままをいた。

「あのが、を殺したわけではない。板が物を言うが来たら、そのことを決して忘れるなよ」

老は、それ以何も言わなかった。

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両を杖のにね、顎を胸にく沈めた。

しずは、もう度息をえた。

町の端で、犬が声吠えるのを聞いた。

振り返った、老はまるで最初からそこには誰もいなかったかのように、目を固く閉じていた。

彼は、度と目をくことはなかった。

その言葉のを、しずには理解できなかった。

しかし彼女は、まるで套のポケットで見つけた、由来の分からない銭を切に握りしめるように、その言葉を胸の奥にしまい込んだ。

馬の若い男もまた、彼女の目をまっすぐに見ようとはしなかった。

彼は、顎でのを指し示した。

「は尾根を登り、松林のにりる。けばすぐにわかる」

彼は、し声を潜めて付け加えた。

「納の脇の戸に、錆びていなければ、柄の引っ掛け箒があるはずだ」

しずは、さくをげた。

「ありがとう」

背の酒の縁側から、再び黒崎像の声が々のざわめきを割って響いてきた。

「週も持たんさ。も経てば、あの娘は泣きながらいつくばって戻ってくる。そのになれば、あのは俺が半分以の端でに入れてやるよ」

嘲笑の波がそれに続いた。

しずは、肩にかけた呂敷包みの紐を結び直した。

川宿を背にして、へと続く獣のようなへとを踏みした。

の者たちが、から見つめているのをじていた。

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それでも、彼女は度として振り返らなかった。

は、急な登り坂だった。

噂通り、かつての荷馬が残したい轍が幾にも刻まれていた。

数週誰も通っていないために、雑がい茂っていた。

両側には、枯れた杉のが広がっている。

そのでは、夕暮れの空が青の気な彩へと移り変わっていた。

しずは、ただ黙々と歩き続けた。

歩をねるごとに、呂敷はずっしりと肩にい込んでくる。

の腰からの腰へと持ち替え、ついには両で抱えるようにしてんだ。

彼女のブーツの跡は、すぐろから吹いてくる夜によって、まるで何事もなかったかのように消しられていった。

尾根を過ぎた辺りで、太陽は完全にの向こうへと沈んだ。

空気は気にえ込んだ。

音もなく、夜鷹がジュニパーの茂みからびった。

それはのへと消えていった。

くでコヨーテの吠えが響いた。

別ののそれが、それに答えるように鳴いた。

聞こえるのは、自分の荒い息遣いと、荷物の持ちが軋む乾いた音だけだった。

の頂に辿り着いた、の空の最のが消えろうとしていた。

そのに、松林と奇岩に囲まれた窪があった。

そこに、最の敷が姿を現した。

っぽく浮かびがる、階建ての板葺きのだった。

側の根は、まるで折れた肩のようにけなくたわんでいた。

正面の縁側は、すりが半分ほど崩れ落ちている。

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